サンティアゴ巡礼 -フランス人の道- Day 12

4月23日。
隣のおっちゃんがスマホを画面かなり明るめで使うし、おまけにその時間が2時過ぎや6時前とかだったから、真っ暗な部屋の中ではもはや刺激物だった。
とりあえず自分は6時過ぎのアラームで(今日は秒で)起きて顔を洗った。全然乾いていない洗濯物を取り込む際、まだ夜明け前の空には星が見えていた。雨は降ってない。

部屋に戻ると暗闇の中から末っ子デイビッドのコニチワの声がした。右手首はもう痛い。痛すぎる。
とりあえず寒いのにシャツが乾いていないので、中のTシャツを少し厚手のものに着替えた。
7時にレカが起きた。隣の部屋はもう電気がついているから、この部屋もつけようかなと考えたがアイリッシュブラザーズはみんなまだ寝ている。夜まで騒いでるからや…。
それにしてもめちゃくちゃ寒い。寒すぎる。

レカは準備が早い。いや、自分が遅い。このアルベルゲは朝食がないから道中で探すと言っていた。自分はカステラとクッキーを一切れずつ食べたが、もちろん食べ足りないので同じようにするしかない。
アイリッシュブラザーズにSee youと言うとデイビッドからSayonaraと返ってきた。どうやら完全に覚えた様子。
靴箱の前で靴紐を結びながらヘビメタ兄さんにも挨拶をした。ストックは小さくまとめて袋の中に入れてサイドポケットに収めた。

水場の前でジブリおばあさんがストック忘れたと言っていたが、今日もまた、それが彼女自身の独り言なのか自分に質問してきているのかわからなかった。

さあ、今日も始めよう。

朝霧のかかった山道を歩いていく。いろいろと順調に進めばいいな。

ヘビメタ兄さんを抜く際、彼は木に付着している(苔?胞子?)謎の植物を触っていた。自分もそれには気になっていたが、近くで見るとより気持ち悪かった。ナウシカの腐海っぽくもある。

写真を撮るのを左手で挑戦してみるが、やはり慣れていないので大変だ。

カッコーはどこにでもいる。印象的な鳴き声だからというのもあるが、すぐにその存在に気づく。カランコロンと鳴る牧場でよく耳にする音も右側から聞こえる。牛の鳴き声もそのあとすぐに聞こえてきた。

8時10分にイニエスタとすれ違った。もしかすると偽物かもしれない。


今はまだ「幻想的」で済んでいるが、霧がもっと深くなった場合は道に迷ってしまうかもしれない。現在ですら前後の人がある程度離れると確認しづらくなるし。


霧の中のミステリーサークルと牛。ユニークな場所だ。


しばらく霧の中を進んでいたが、8時23分に前方から鐘の音、次いで車の音も聞こえてきて少し安心した。人の気配があるということは、町が近いのだろう。

Agesという町に着いた。

バルを発見した。ここで朝食が取れるかなと近づいたら、食事も可能そうだったし、レカのバッグパックも見つけた。

店内ではお菓子や果物等も販売していた。

店員のおばちゃんがずっと地元の常連客らしきこれまたおばちゃんと喋っていて、なかなか注文ができなかったし、スモデナランハも頼んだつもりだったのに出てこなかったけどまあいいさ。これらとは別にリンゴ丸々一個も購入した。  

トイレ前は混雑していたので次の町でも行くかと思ったが、よく見ると列ができているのは女性用トイレだけだった。レカとおばちゃんが待っていて、そのおばちゃんはガムをくれた。男側も一応先客がいたので少し待った。トイレ後に手を洗うのですら痛みが走る手首には困り果ててしまう。
外に出たら朝食を食べているアイリッシュブラザーズの真後ろでiPhoneを落としてしまった。心配してくれたけど…なんとかAliveです…危なかった…。末っ子だけでなく兄弟みんなサヨナラを覚えたな。

朝食も食べられたし元気です。さあ、また行こう。


この背の高い木が密集した、巨大樹の林とでも言える場所はかっこよかった。

遺跡付近ではレカとジブリおばあさんが一緒に歩いていた。ブエンミスティカミーノと自分が言うと、heheと笑っていた。

ここはアタプエルカという場所で、世界遺産にもなっているアタプエルカの遺跡ではヨーロッパの最初期の人類が残した石器等が発見されている。また、レオン王国のフェルナンド1世とナバーラ王国のガルシア3世の決戦の地でもある。

彼らには食人文化があったらしい。儀式の生贄等ではなく、敵対していた相手を殺して食べていたというホラーな理由みたいだけど。

例の自分と似た格好のおっちゃんを追い抜くとき、日本からだろ?俺はイタリアだよと話しかけられて(英語ほとんど喋れないからイタリア語だけと言っていたが)、写真を撮ろうと頼まれたので確かピースサインで一緒に写った。似た格好だよねというのはジェスチャーで伝えた。
チャオ!で別れたけど、イタリア語ももうちょい覚えようと思った。コンセントを一緒に使おうみたいな流れで、グラッチェとお礼を言ってきたのもこのおっちゃんだ。

霧の中の遺跡の町も情緒を感じる。この町に泊まるのも大いにありだな。いつも霧というわけではないだろうが。


現在は6kmか。あと約20kmだ。


畜舎のような建物からは何かの動物の鳴き声が、スポーツの歓声(もしくは悲鳴)のように聞こえていた。

前の2人がなかなかのペースなので離されないようについていく。

親切なことに石が転がっていて非常に歩きにくい道。それをストックなしで腕を組んで登る。

ヒゲのマリオのおっちゃんを抜いた。

霧の中の十字架で前の2人を追い抜いた。彼らが生者か死者かは自分は知っている。


道が見えねえ!とりあえず壊れたフェンス沿いを真っ直ぐに歩くことにした。

案内発見。

車だ。それもレスキューっぽい。近づくと制服を着た若い女性隊員からAre you OK?と聞かれて「大丈夫、ありがとう!」「ブエンカミーノ!」「グラシアス!」という会話になった。
きっと危険なところなんだろうなと思っていたが、写真を見返すと右下で女性巡礼者が隊員から処置を受けているように見える。怪我をしたのでレスキューを呼んだのかもしれない。こういう霧だと車で来るのも危険だったと思うが。

こちらの夫婦を追い抜く辺りで道は上りから下りになって、霧も少し晴れてきた。


霧が風に流されるのが見えた10時15分。こういった天気だと、歩いていると涼しいし、日焼けもしなくていいから助かる。

ここは分かれ道だった。左への矢印が多いように見えるが、右への矢印もあるし、前を歩く巡礼者もいたので右へ進んだ。だが自分の後ろから来る人たちが立ち止まって悩んでいたらやはり気になった。見える限り全員が右の道へ来ていたが。

ふと下の道を見ると歩いてる巡礼者の姿が見えた。多分町に寄るか寄らないかという分岐かな。


青空が頭上に広がるのがまるで台風の目の中にいるようで面白かった。元気な小鳥がその青空に向かって飛び上がりながら力強く鳴いていた。小鳥があんなに飛び続けるとこを見たのは初めてかもしれない。

結局左に曲がるということは先程見えていた下の道と合流するのだろう。


足の指先に疲労、もしくは痛みを感じる。両足の薬指付近の外側。(細かい)


遠くから見ると剣を持っている巨像かと思ったがただの木だった。

前後にはいなかった人たちの姿が現れた。どうやら下の道経由で来た人も多いみたいだ。後ろで歌っているのはアイリッシュブラザーズかな。

こういう国旗や言語が描かれている箇所に日の丸はほとんどない。要は日本人巡礼者は歓迎されるほど多くはないということ。

眩しいからサングラスをかけたい。肩も疲れてきたし、次の集落に良いベンチがあったらいいなと考えていると、カフェテリアを発見。

店内のカウンター前で並んでいるとき、一つ前のおばちゃんが流れる音楽に合わせて踊っていた。ストレッチングらしい。ちょっとだけ一緒に踊った。

この建物には、ボカテリア(ボカディージョ=硬いバゲッドパンにハムなどを挟んだスペイン人にとってのおにぎり的国民食)・カフェテリア・アルベルゲと書いてあるが、どこに部屋があるんだろうか。
アイリッシュブラザーズたちのグループは3人と父親と祖父かな。他にはスウェーデン夫婦や韓国のジョンなど顔馴染みもいた。ブラザーズはずっとEarth, Wind&FireのSeptemberを歌っていた。まだ4月なのに。

2.5€もすぐに用意できたし、いつものようにスモデナランハにしようかと思ったが、いや、なんだかごくごくと飲みたい気分だなとやっぱりスポーツドリンクにした。

よく見たらiPhoneの液晶画面に線が増えている。蜘蛛の巣にならなきゃいいけど…。実は貝殻もたまに外れるから硬い地面に落ちて割れないようにしっかりと結び直した。それから、首に強い日差しが当たっていたので日焼け止めを塗って、今朝買っていたリンゴを食べた。
グラッチェで有名なイタリアのおっちゃんはここへ立ち寄らず進んだが、チャオ!と声を掛け合った。
左足も右足もどちらとも小指裏のダメージは大きい。でも進むしかない。今日の道も、これからの道も。まだまだ先は長いから。

自分が発つ際にレカは若い女の子と来た。この子は初めて見たかもしれない。レカは今日はペースが上がらないからブルゴスで2泊すると思うと少しお疲れ気味に言うので、ナイスアイデアだと思うと返しといた。
自分はどうするだろう。2日休んでもこの足裏の状態はあまり変わらなさそうだし、元から休みを取る予定のレオンに加えてブルゴスでも休むとなると、結構カツカツになってしまうかもしれない。あとで計算してみようかな。まあ、とりあえずブルゴスに着かないと何も始まらない。そもそも自分はWi-Fiがないとホテルの予約もできないわけだし。

ブルゴスへの道を一歩ずつ進む。世界遺産の大聖堂が待つ都市へ。

巡礼者の皆さん頑張ってください!的な。


いや、曲かよ!ってくらいメロディが整った小鳥の鳴き声が耳へと飛び込み、思わずリズムにノッてしまう昼前。声量がある歌手だったので少し離れてからも聞こえていた。

左端のマークがサンティアゴで、右上の国境辺りは出発前後のスポット。マドリードより南は巡礼が終わった後の観光のあれこれ。まだ遠い日々のことだ。


子供たちが集まって飲み物を出していた。いかがですかーという感じで挨拶してきたので、いくらか尋ねるとスリーと返ってきた。結構取るやん…。ごめんねと断って先へ進んだ。

道路の看板にもBurgosの文字が。

距離が15kmを超えていた。わりと歩いてるな。意外だ。

グラッチェおじさんにブルゴスまで?と聞いたら、ムニシパル(に行く)と教えてくれた。今はもうホテルに泊まりたい気分だがどうなることやら。

お、空港の滑走路だ。ブルゴス空港らしい。

良い道じゃないか。

レカ以外も話し相手は欲しいけど、歩いてる間ってだいたい追い抜くか追い抜かれるかだし、ディナーのときはレカとばっかり話すし、何か良いアイデアはないかな。相手が複数だと話しづらかったりもするし。

OasisのLive Foreverを歌いながら歩いていた道。

お昼だけどまだ、ブエノスディアス(おはようございます)は使っていいんだなと地元の人が言うのを聞いて学習。

矢印は右折した道を指しているが、みんな様々な方向へと歩いている。

ブルゴス空港もあったし、てっきりもうブルゴスの外れかと考えていたが、まだカスタニャレスという町らしい。

ああ、アイリッシュファミリーはレストランに行っているのか。でも自分はそのまま街へと進むとしよう。飛び込みでビジホみたいなところに泊まれたらいいのにな。

この道を進めばブルゴスへ着くのだろう。


道路標識にはマドリードやレオンといった地名も。

トンネルの歩道は狭かったので、反対側から来ていた自転車に乗った地元のおじいちゃんを待っていたらお礼を言われた。

やっぱりお店へ入って食事をするか、それともソイジョイなどの在庫の食べ物にするか、はたまた何も食べないかという三択で悩んだが、明らかにお腹が減っていたので手持ちを食べた。

しばらく歩き続けているのにまだ着かない。


え…まだまだやん…。まだまだすぎるやん…。

そして本物かどうか怪しかった左への矢印を一度無視したので、現在歩いている道がカミーノなのかどうかわからない。矢印は随分見かけなくなってしまった。でもブルゴス市街地へと近づいてるのは確か。

こちらのバルは一度入店はしたものの、地元の人でごった返していたし、Wi-Fiも使えなさそうなので外に出た。

ジャガー、ベンツ、三菱といった自動車会社の店舗が軒並んでいた。

自分が道を間違えていたとしても、ここを通る巡礼者は0ではないはずだ。まだ距離があるので心細いが、観光しているような気分で行こう。スペイン散策だ。

巡礼者の姿は一人も見えないが、地元の人や、大きな建物の数は増えてきた。

あ、矢印あった。良かった。

と安堵していたら、突然後ろからリオ!と声を掛けられた。驚いて声がした方を振り向くと、そこに立っていたのはまさかのロザンカだった。久しぶりに見たがかなり日焼けしている。
なんとロザンカが歩くのは今日までらしく、明日からは自転車に乗ってレオンへ行き、そこで娘と合流してサンティアゴを一緒に目指すらしい。
全然会わなくなっていたし、なんだか驚きからの理解がちょっと追いついていなかったが、今朝リオはどこかと考えていたとのこと。嬉しい。
今日はカテドラル(大聖堂)近くのホテルのシングルルームに泊まるとのこと。カテドラル近くにはそういった宿泊施設が何かしらあるだろうと思ってましたよ!

ロザンカと一緒に歩いた。この公園では歩行器を目の前に置き、ベンチに腰掛けていたおばあさんが道を教えてくれた。都会なのに沢山の地元の人が声を掛けてくれるのは意外だった。ブエンカミーノ!
それから徐々に他の巡礼者の姿も見るようになった。昨日アルベルゲが一緒だった男性は前を歩いていた。


この広場で、アコーディオン奏者にチップを渡していたロザンカと別れた。実はこれがロザンカとの最後の別れ。

でもこのとき、iPhoneの画面が真っ暗で何も見えなくなっていて、正直もう会わないだろうということは頭に全然浮かんでなくて、え…壊れた…?え…!?と焦りまくっていた。
結果は、気付かない間に画面の明暗を一番下まで下げてしまっていて、おまけにサングラスも掛けてたから見えなかったというドジでしたけどね、まあ故障じゃなくて安心しましたよ。危ねえ…と。
あたかも休憩している風に腰掛け、アコーディオンの演奏を聴きながら、ピカチュウのぬいぐるみを持った女の子や、サッカーボールで遊ぶ少年などを眺めながら対処した。

Wi-Fiは大量に拾えるが、公共Wi-Fiなど使えるものは一つもない。この状況ではどうしようもないわけだから、もう公営のアルベルゲに行くか。

とりあえず大聖堂へ行こう、と思って歩きを再開すると、いつも青いジャケット(正確にはウィンドブレーカー)を着ている韓国のおっちゃんらしき男性の姿が遠くに見えた。一言も交わすことなく視界から消えてしまったけど。

ゆっくり歩きながら、どんな感じかなーと通りに立ち並ぶホテルを物色していると、呼び込みのスペイン語おっちゃんのあとに、英語ができるお姉さんが出てきた。シングルは30€らしい。当日でも泊まれる部屋(ホテル)はあるみたいだ。
でも、受付する?と聞かれたが、大聖堂を見たいから多分後で戻ってくると告げてその場を去った。
すると近くを歩いていた(白人のおっちゃんと歩く)韓国?女子がムニシパルはあっちだよと教えてくれた。ありがとう。

今はただ大聖堂だけを目指す。

見えてきた。

広場を抜けて更に近づく。

おお、綺麗だ。パリではいくつか目にしたが、ここまで巨大な聖堂を見るのはスペイン初。(パンプローナもそれなりの大きさではあったけど)

とりあえず一目見ておきたかったカテドラルを近くで見られたので、次は宿探し。
先程の広場へ戻るとカフェテリアにコアラ夫婦を見つけた。彼らにホテルに泊まるかアルベルゲに泊まるか迷っていると話したら、彼らはホテルに泊まるよと。奥さんは、だってこの街には見るものが沢山あるんだから!と言っていた。そうだよね!ホテルにしよ!!
と先程のホテルがある場所へ向かっていたらリーとフンとミジュの後ろ姿を見つけた。こっそりと近づいて、通り過ぎる際にちょっと肩でぶつかるようにしてみたら、一瞬驚いた後に、おぉー!!!と3人の興奮する声が上がった。まあ、なんていうか、そこからはほぼ強制連行みたいな流れでうちらのアルベルゲへ行こう!という展開に。

悩んだ末にホテルに泊まると決心した直後だったから、受付付近まで来ても、再びうーん…と迷ってしまったけど3人が全力で推してきた。
Wi-Fiがないのはフンがテザリングする。このアルベルゲには新しい日本人も2人いるから等々。でもどっちみち多分2日はこの街にいるし~と自分が言うと、ミジュが今日はアルベルゲで明日ホテルにしようと提案してきたり。うん、3人で怒涛の勢いで誘ってくるから、その熱意に負けて結局同じムニシパルに泊まることにした。

後から来た自分とリーたちのフロアが違うという問題もあったが、(リーたちがいる)3階はもうフルだから、一緒の5階にしてもらえないかと頼むことになった。
受付には2人の男性がいて、ひげのおっさんとナヨナヨした(イニエスタのような青ひげの)おっさん。でも対応してくれたヒゲの方は、なんか伝わってないというか、理解しようとする気がなかった。
3人とも同じフロアにしてと頼んでいるのに、自分とリーのベッド番号を入れ変えただけで、はいどうぞと番号を渡してきたのが最初の対応。使えないと言ったら悪いけど、心底わけのわからないおっさんだった。
今日道中のカフェでストレッチダンスをしていたおばちゃんがスペイン語で通訳もしてくれたのに、自分(僕)が酔っ払って戯言を言ってるだけだと。いや、意味がわからない…。一滴も飲んでないぞ酒なんて…。
まあ、ヒゲの方は対応する気0だったので、最終的にはナヨナヨした方の男性が英語で聞いてくれて解決した。グラシアス…と握手するしかなかった。
まだ開けてない6階に男子3人で泊まれることになった。適当対応のおっさんが一応案内してくれた。その6階へはエレベーターを4階で乗り継いで上がるという面倒さ。

一緒のフロアになれたベッド番号。最初は貸切みたいな状態だったが、徐々に人は増えていって、最終的にはこの最上階?のフロアも埋まっていた。(ソナ、ソノコ、TJは別のアルベルゲにいるらしい)

リーたちにクッキーをあげてからシャワーを浴びた。洗濯物を洗うときに水洗いをしていると、ブラジルおばちゃんが石鹸使っていいよと渡そうとしてくれた。でも2人を待たせているみたいだから急いでいて断った。
残念ながらこのアルベルゲにはコンセントがほとんどなくて、多分このフロアには掃除機用の1つしかない。
両足小指裏のマメにはどちらにも水が多く溜まっていた。右足の方は皮がミルフィーユのようになっているので、水を抜いたとしても見た目はグロい。

洗濯干しスタンドとその前でヨガをする男性。

昼食を食べるために男子3人で外に出たが、昼食の取れるレストランではなくATMを探すことになった。


人口約18万人の大きな街なのでATMはいくらでもあったが、韓国男子たちがここは手数料多く取られるから駄目だ!ここも駄目だ!といろいろと難色を示すのでかなり歩くことになった。結果的に3人とも下ろせたが。

喉が乾いていたので途中のミニスーパーで買ったアクエリアスのオレンジ味。

2人が行くというのでバスターミナルにも寄った。

橋の前でまたコアラ夫婦に出会って記念撮影をする流れになった。みんなコリアンだと思っていたのだろう、自分はジャパニーズだよと伝えると、明らかに夫婦の反応が変わったし、奥さんなんてジャパニーズは本当に最高!と褒めてくれた。元々暖かく接してくれている夫婦ではあったけど、こういう風に日本人だとわかるだけで好感度爆上げになることは多い。
それから先程通訳してくれたおばちゃんも来た。あいつの方が酔ってんのよ!と毒を吐いてくれたが、確かにその通りだと思う。ふざけたおっさんだった。
アジアズが蚊帳の外で話が長引きそうだったので、じゃあまた!ブエンカミーノ!と切り上げてその場を去ると、リーとフンからSee youのタイミングが天才だと言われた。

正面から見たブルゴス大聖堂。スペイン3大カテドラルの1つでもある。

写真を撮っていたら地元の若者がピースサインをした。ノリがよろしい。ってか海外の若者って階段で集まってたむろってること多いよね。何なんだろうねあれは。


ちらっと中を覗き見したが、入場料がいるからとリーたちが渋った。まあいいけど。

シンジュと背が高い男子とボンの韓国若者3人がいた。もっと後ろにいたはずで、今ここにいるはずがないのにどうしてだろうと疑問に思っていたら、リーが彼らはバスで来たとこっそり教えてくれた。
シンジュは普通に可愛いと思うとリーには前話していたが、このときリーから、シンジュとツーショット撮りたいんでしょ?撮りなよ!という風にはやし立てられて困った。別に撮りたいなんて一切思ってないのに断るとシンジュに悪いのか…?と悩んだし。まあ、なんだよそのノリは、中学生かよと面白かったけど。

チャイニーズレストランを探していたが結局ケバブ屋にした。さっきからちらほら見かけていた韓国観光女子たち(バスターミナルでも見かけた4人のうちの2人)も店に来たので悪ノリで韓国語挨拶をしてからちょっとだけ話した。
1人はプサンからで、もう1人はソウルからだけど今は交換留学生でこっちで勉強しているらしい。リーは観光のやつらはファック、可愛くもないと。まあその気持ちはわからなくはないけど…。

この他にもチキン等も入った必要以上のセットを頼んでしまったので残したものはテイクアウトした。

アルベルゲに戻ると共有スペースに、リーが言っていた日本人2人がいた。東京から来たという70代と60代の夫婦だった。時間がなくて全部は歩いていないみたいで、これからバスでレオンまでびゅーんと行くらしい。日本人は全員で5人と言っていたが、彼らを抜かすと他に3人ということだろうか。
リーたちと一緒にいたからかはわからないが、韓国の若者は素晴らしい!日本の若者よりシンプルで優しくて~!といった感じでベタ褒めしていた。
このままじゃ日本は負けるよと言っていたけど、でも日本の若者より韓国の若者の方が遥かに海外志向というか、世界に目を向けているのは間違いない。ヨーロッパを走る車を見ても想像以上に韓国車は多かった。
特にゆとり世代なんて、何も輝きを持っていないどころか、上昇志向を持っている人間もごく僅かだし、実際に同世代の一人一人を見ても、社畜だ何だのと気怠さばかりを愚痴っている連中で溢れている。ライバルは隣国だけではないが、この夫婦の言う通り、このままではいけないのは確かだ。
他の巡礼の道も歩いていたりするんですか?という質問にはなんだか素っ頓狂な答えが返ってきたが、熊野とカミーノを歩いたら貰える賞状の存在は知っているようだった。
リーたちを待たせていたのでそんなに長くは話さなかったが、お会いできて嬉しかったですと最後は伝えた。

なんていうか、このアルベルゲにいる日本人2人のうちの片方はプリティジャパニーズガールとリーは言ってたんだけどこのオチですね。入り口のマリア像の前で、リーがその嘘をついてるときにミジュが顔を伏せて笑っていたから、そんなことだろうとは思っていたけど。

日本人同士の日本語による会話が終わったときにリーが、You…日本語すごく…話してる…といった感じで驚いていたが、レカがハンガリー語で家族と電話で話すのを聞いたときのような感覚だろうか。まあ、ソノコさんと話すときは英語も交えつつだったので、ネイティブジャパニーズを間近で聞いて衝撃を受けたのだろう。

今度はチャイニーズスーパーマーケットに行くとのことでミジュも加えて4人で行くことになった。寒くなってきたので一旦ライトダウンを取りに戻ってから。ええ、また結構歩きましたよ。

スーパーにたどり着いて買い物をできたのはいいが、ミジュが買おうとしていたバナナのくだりはよくわからなかった。レジ対応をしていた中国人店主の横でスペイン人の地元のおっさんが怒っていたのだが、なぜバナナについて怒っているのか4人とも理解できなかった。頭のおかしい人だったという風に解釈すればそれで納得できるけど。

ミジュは辛ラーメンを大量に買っていた。もちろん彼女の家族の分も含まれるが、本当に国民食なんだな。

リー念願のとんこつラーメンもあった。しかも日清。

帰り道にすれ違ったアイリッシュブラザーズは明日帰るらしい。寂しくなるな。

迷っていたが、フンのテザリングで結局ホテルを予約した。当初のプランだと既に個人の空間で誰にも干渉されず、一日中(+半日)ってくらい休むつもりだったけど、残念ながら今は歩きまくっている。
でも明日は休めるは休めるだろう。様々なホテルがあったが、チェックインがトップクラスに早い12時台のところにした。ホテルを決めるのもまた悩んだ。


大聖堂ではない教会にも少し寄ったが屋内は工事中だった。

アルベルゲへ戻る前にまたホテルの前を通った。結局呼び込みと話したホテルを予約したのだろうか。いや、違うような気もする。わからない。

スペイン語のSóloはOnlyという意味。つまり、アルベルゲに宿泊できるのは巡礼者のみですよという張り紙。

シャワー中のリーが痰をカーッ、ペッ!と出す音を聞きながら、足裏の状態を確認したら、また水が溜まっていた。歩いて帰っただけでも距離はあったもんな。ヘルスケアも31kmを超えてるし、全然休まってないわ。
休むつもりだったのに休めなかったという振り回されまくりな状態を考えると、ホテルにしておけばよかったと後悔を感じた。フンの近くにいてもテザリングは頻繁に途切れて、また繋がるようにお願いしないと繋がらないし。洗濯等もしっかりできただろうに、本当にやらかした。
そしてもう21時だ。何もかもあっという間に過ぎていく。このアルベルゲのチェックアウトは何時だっけな。多分8時半とかだよな(8時だった)。
明日ホテルのチェックインまでどう過ごそう。後悔や悩みだらけでかなりナーバスになっていた。自分は荷物サービスもバスも使わないのに。

誰かの呻き声がフロアに小さく響いている。痛いのか何なのか。自分以外の人もきっと気になっている。
散らかっている荷物をまとめないとな。でもジップロックほぼ全部破けている。脆いなあ。
あるおじいさんがコンセントを探しながら困っていた。なんでここにいるんだろう自分は。そりゃ顔馴染みは沢山いるけども。

4人でラーメンとチキンを食べた。ラーメンは辛ラーメンととんこつラーメン。ジュースもご馳走してもらった感じで申し訳ない。クッキーとはさすがに釣り合わない。
ぐだぐだといろんな話をした。どれもくだらない話題だったけど、3人は明日も歩くわけだから会えるのは今夜が最後かもしれないと想うと切なくなった。

自分の名前の意味を英語で説明するの難しい。ソノコはネイチャーガールでなんとなく通じるのに。
ミジュが私の年齢はリョウより上だと思う?下だと思う?という若さを失いつつある女性がたまにする質問をしてきて、多分自分より年上だろうけど、年下かな…?と答えた。でも本当はミジュは綺麗なお姉さんといった感じ。28歳とかだと思うけどなあ。

食事が済んでお皿を洗い終わって、ちょっと外の様子を見てみると大聖堂がライトアップされていて綺麗だったので見に行くことになった。ミジュがパーカーを取りに行って、それからまた4人で向かった。
(ミジュはこの午後は家族と過ごすのではなく、自分たちと過ごしていた。クレデンシャルを持ったまま出ていたので、父親に殴られそうになっていたけど…)

実は日中に、あの老夫婦以外にも日本人がこのアルベルゲにいるような気がした。白人女性と一緒に30代か40代くらいのちと白髪が生えた日本人らしき男性がいたから。
確かめてはいないから真相はわからないが、まあ出会いは縁だ。出会うときは出会うだろう。これからの人たちだってそうだ。
と思っていたが、この写真…。面白いな縁って。



閉館時間が22時30分ということは3人は知ってるのかなと不安を抱きつつ、でもこうして特別な夜を過ごしていたので、時間大丈夫?と聞くのも野暮な気がして、あっさりとその時間は越えてしまった。
これが別れかと改めて想うとやはり、とても切なかった。ずっと一緒にいるとリーの下品な振舞いは気になって仕方ないというか、ストレスが溜まり疲れてしまうが、それでも楽しい時間を過ごしてきたことには変わりない。みんな自分を気に入ってくれているし、自分も彼らのことを気に入っている。

この3人のことは後で振り返ってもきっと特別に思うだろう。3人にとっても自分が何か特別な、良い思い出であってくれたらいいな。
(左端のミジュがかなり寒がっているけど、自分も震えるほど寒くて、肩をぶつけたりしながら歩いた。リーは自前の肉コートがあるので無敵

月明かりとライトに照らされているブルゴス大聖堂。



はい!!!アルベルゲを締め出されました!!!
鍵の掛かった入り口をドンドンとノックをしても反応がないので、裏口のような場所から助けを求めるとあのヒゲのおっさんが出てきた。こうして締め出される人はたまにいるだろうけど(実際おっさんも慣れたような様子だった)、すみませんでしたほんと。
リーは心臓バクバクだったというようなジェスチャーをしていた。エレベーターの中ではこういうときなんて言うの?と聞かれ「やべー」を教えた。やべー、やべー。

でもここに泊まって良かったと思う。素敵な時間を過ごせた。今のハプニングも笑える想い出の一つになったし、誘ってくれた3人には感謝だ。
いろいろしてもらってばかりでお返しできていないのが辛いが、せめてお礼だけでもしっかりと言っておこう。君たちに出会えて本当に良かった、ありがとうと。

フロアに戻ると、静かに荷物をロッカーの中に入れて、歯磨きをした。23時でも鐘が鳴っているし、外の通りからは人の声がして、さすが街だなと感じた。
もう寝ている人も多かったが意外にも起きている人も一定数はいた。モスクワ女性とかね。でもそういった人たちとも明日離れてしまう。またどこかで出会えるだろうか。わからない。
もう会えないかもしれないという想いが、いくらでも膨らむような、そんな感傷的な夜だった。たった一日分離れるだけかもしれないが、明らかな別れが近づいていたから。

リーがベッドの下を覗き込んできて(彼だけ上のベッドだった)、それからフンと小さくハイタッチをしていた。
モスクワ女性はトイレから戻ったときにベッドを間違えて隣の男性を起こした。彼女の歩き仲間の(また新たな)韓国のおじさんだ。


今日の歩み
San Juan de Ortega – Burgos / 27.6km

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