4月25日。
今までのリズムもあるし、6時45には起床していた。朝早く移動している宿泊客がいるみたいだが、中には巡礼者もいるだろうか。
頭のおかしいサイズのソーセージを買っていたのだが、保存も効かないので食べるしかなかった。味が特別悪いわけではなかったけど20分の1のサイズでよかった。見た目からは魚肉ソーセージのようなものかと予想したが、実際はハム系だった。魚肉の方がまだ食べられたと思う。勢いって怖い。チョコのが絶対美味しい。
ミジュからバナナを貰っていたが、正直バナナは苦手。せっかく貰ったのだからと無理して食べ進めていたけど、そのバナナの匂いもハムの匂いももううんざりしてゴミ袋の中に入れた。ハムは半分は食べた。頑張ったさ。
ライトダウンを出すのが面倒だからとシャツを着てみたが少し汗臭い気がして結局脱いだ。すべての衣類を洗濯機にぶち込みたい。
不衛生でみっともないが、この時間で巡礼中はどうしても疎かになる部分(髭だけでなく、爪や眉毛等)の身だしなみを整えられたのはよかった。清潔でありたいとは思っているのです。
まったく乾いていない、乾く気のない観光用の(トレッキング用などではない)靴下を捨てた。パンツも捨てていい気がするけど一応まだ持っておく。
スパッツを履くので直接肌に触れるわけではないが、トレッキングパンツはまだ濡れている。歩行型自然乾燥機として頑張るしかない。
インスタに写真をアップしたいけれど面倒くさい。別にSNSは義務ではないのでまた気が向いたときに。
降水確率は0%になっていたが、気温は暖かいわけではない。部屋には窓がなく、外の状況がわからないのでなんとも言えないが。
なんだかんだリーたちがいないとなると寂しいな。誰と会うだろう今日は。自分は今日距離を抑えるつもりだが、やはりブルゴスからは普通に20km以上進む人が多いのかな。
準備を進めつつ、早めの昼食としてリンゴを食べた。スーパーで買った容器に入っているオレンジジュースはあまり美味しくない。ってかフロリダ産って書いてるわ。やっぱり生搾りが優勝だ。他に種類があまりなかったので仕方ないが。
TOKIOの山口達也が女子高生に対する強制わいせつ罪で書類送検されたというニュース記事を読んだ。
書類送検されていない自分は日焼け止めを薄く塗って部屋を出た。
さよなら101号室。

朝食も宿泊料に含まれていたとかだったらショックだよね。でも朝食付きとは書いていなかったので問題ないだろう。多分。

11時過ぎに出発。フロントの女性はホテル前で、ベビーカーに子供を乗せた友達と話していて忙しそうだったが、最後お礼を言ったらブエンカミーノと言ってくれた。
デカサンで失礼します。基本こんな格好で歩いてました。

ホテル前からまっすぐ伸びるカミーノの道。貝がらマークもあるのでわかりやすい。時刻が遅いというのもあるが、歩き始めからサングラスを掛けているのは今日が初かもしれない。

最初の巡礼者は昨日も見かけた男女。男性の方はビデオカメラを持っている。

他の巡礼者や地元の人とも挨拶しながら前へ進む。
職業柄、通勤というものはないが、やはり巡礼の旅の朝は素晴らしい。世界が美しく感じるような、とても清々しいものだ。

体の具合は、右足首が少し痛い。荷物が重いことに変わりはないので肩はすぐ痛くなってしまった。でも今のところ他の部分は特に悪いとは感じない。疲労も軽減されている気がする。
学校でも近くにあるのか、どこからか子供たちの声がした。


城壁のような門をくぐる。

カテドラルの手前に街が広がっているような作りで、その奥には公園があり、すぐに住宅街へと突入した。

銅像のように直立不動なおじいさん。

さよならブルゴス。綺麗な街並みだったよ。


歩道を歩いても構わなかったが、公園の中を通り抜けることにした。

この並木道は旬の季節だともっと美しいんだろうな。きっと圧倒されるくらいに。

利便性もあるし、基本巡礼者は大きな街に滞在することが多いので、昼前にブルゴスを通過する人はなかなかいないだろうし、実際に巡礼者の姿もほとんどなかった。ブルゴスを遅めに出発したであろう人を数える程度に見ただけ。

子供かなというような小さなカラスが木にとまっていた。鳴き声もとても可愛らしかったが、大きくなるとうるさくなってしまうのかな。

公園を散歩するおばちゃんからブエンカミーノ。地元の人に言われると嬉しい。
と喜んでいたのに、やはり肩が猛烈に痛い。ランニング青年やおっちゃんなど、いろんな人がオラ、ブエノスディアスと挨拶を返してくれるから気分は良いのに。

あれ、この出口は見覚えがあるぞ。The Way(星の旅人たち)という出発前に観た映画で、盗みを働いたジプシーの子供が荷物を背負わされていた場所ではないか?確証はないが、あのシーンはブルゴスだったんだなと、映画のロケ地に自分がいることが少し感慨深かった。




大学のキャンパスがいくつかあり、若者も多かった。駐車場の面積も広かったので、車通学の生徒も多そうだ。

腕組みをしていると少し楽ではあるが、他人からの印象は良くない…と悩ましい。

前を横切る自転車のおばちゃんのために立ち止まると、グラシアス、ブエンカミーノ。


時刻は12時。まあ、こんなもんか。このまま予定通りラベという町を目指そう。


12時5分、この出入り口から出てきたトラックが大量の土埃を舞わせ、サングラスの中にも侵入してきて目が痛かった。

前後に誰か知り合いがいるだろうか。道には地元の自転車乗りばかり。

こういったのどかな道がまたしばらく続くのだろう。少し離れた位置の道路から届く音以外は小鳥の鳴き声しか聞こえない。


なぜか甘い匂いがしたが、右の工場らしき建物で菓子パンなどを製造しているのかもしれない。

地面を見るとダンゴムシの姿がちらほらと目に入った。サイズは日本にいる個体と変わらない。

歩いていると何か食べたくなる。このとき食べたのは写真のお菓子だが、予想外にチョコの内側に入っている部分が喉にくっついて困った。サクサクではなくサラサラといった感じ。

12時22分過ぎ。自分以外には誰もいない道の上をひたすら一歩ずつ歩いていた。その歩いているということがなんだか面白いなと感じた。楽しいというより、なんかウケる…(笑)みたいなね。
久しぶりの歩き巡礼者かと思いきや、遊具で遊ぶ男の子とそのおばあちゃんだった。挨拶するとブエンカミーノと言ってくれた。

その公園の先を曲がると、また田園風景へと放り込まれた。

25歳の今、カミーノを歩いている。日本人外国人問わず、多くの年配者が言ってくれるように、素晴らしい経験になっているだろう。
目に見えているすべてが僕自身の一部へと同化していくような感覚だった。今のこの景色は、多くの巡礼者が見た光景とほとんど違いはないが、今のこの光景を見ているのは世界でたった1人だけ。世界で自分1人だけ。完璧な風が吹いているのもまた良い。


見えているのは鉄道か。

トンネルを抜ける際、散歩の女性とすれ違った。そのときちょうど電車が上を通っていたと思う。

体感的には7.8kmかなと細かい予想を立ててみたら、ヘルスケアは7kmちょうどだった。


あ、誰かいた。と休憩する巡礼者の姿を見つけた。

自分が追いつく前に彼は歩きを再開したが、人がほとんどいないということもありかなり気になっていたのか、たまに後ろを振り返ってきていたけど、その彼になかなか追いつかなかった。自分が疲れているのかな。まあ7km歩きっぱなしではあるけど。

今日どの町に滞在するのか聞こうと思っていたのに、ずっと追いつかないままだった。こんなのは初めてだ。
自分は写真を撮るので、ほぼ同じペースだとその分だけ離されていく。この距離では彼が白人の男性だろうということしかわからない。無理にペースを上げる必要もないし、別に問題はないんだけど。

久しぶりに川を見たような気が。いや、そんなことはない。


さっきの川に架けられた橋を渡る。

集落が見えてきたが、ラベはまだ見えないはず。


あと2kmか。

工事のおっちゃんとオラを交わした。飲食店は複数あるが、2kmならもう一気に進んだ方がいいだろう。

うーん、こっちでいいのかな。マリア水場はあるが矢印はない。でも雰囲気はそれっぽい。

矢印発見。奥の噴水のような場所には何人かの姿が見える。

ってあの少年たちのグループじゃないか。お母さんのような女性と挨拶しただけだが、みんな元気そうでよかった。



早くラベに着きたい。矢印はたまに消える(というより一つ一つの間隔が長め)。見つけられているから問題はないけど。

地元のお年寄りが集まっていた。挨拶をすると、ブエナスやブエンカミーノと声を掛けてくれた。

村をぐるっと迂回しただけのように感じなくもないが、まあいいか。


ベンチを通り過ぎたあとに、やっぱりちょっと休もうと少し引き返した。カフェなどではないが、肩が痛いので5分でいいから荷物を下ろしたい。

白なのか金なのか判別が難しい髪の色をした女性巡礼者がここを通り過ぎるとき「バス?」「え?」「バスを待ってるの?」「いや、違うよ」というようなやり取りがあった。お互いに歩き、お互いにSee you。

さて、行こう。ペース次第ではさきほどの女性に追いつくだろうか。でもラベはまさかあの見えている町じゃないよな。あの町だとすると追いつくのは難しい。


いや、ラベやん。

正直微妙な気分だった。今日いつもより距離を抑えたのは、ブルゴスできちんと回復できなかったことと、サンティアゴには5月19日に着いておけば翌日お目当ての儀式は見れるはずだからというペースの調整が理由。
でも、積極的な休みに消化不良も不完全燃焼もないのだけど、まあ、ちょっと距離設定に失敗したかなとは感じていた。

アルベルゲなんてなくね…?と不安になっていたが、思ったよりも町が続いていて助かった。中心部手前は別荘のような豪華な家が多かった。

14時に学校のチャイムと同じメロディが聞こえて、前方の自転車のおっちゃんが転けた。

うーん、アルベルゲなのかこれは…?

Hostalとは書いてあるが、アルベルゲとは書いていない。

他も見てみよう。小さな町なので何軒もあるわけではないはずだが。

だが教会はそれなりに立派な作りだ。

うーんと、ここにしよう。他に候補はないようなもんだし、泊まっている人がいるのかはわからないが、貸切なら貸切でいいさ。

扉を開けてから、いかにも日本式な尋ね方、こんにちはー!をブエナス!と言い換えてみた。
家族で食事中だったのだろうか、おばちゃんのオスピタレロが対応してくれた。部屋の中には3人男性がいたが、それが旦那や息子たちなのかどうかはわからない。
部屋には先客が1人いる。置かれている荷物や服からして男性っぽいな。

バスルームを開けると、トイレとシャワーが一つずつ縦長の同じ空間に入っていて、それはもう片方も同じなのかなと何も考えず開けてみると、中にブリーフ姿の白人のおっちゃんがいて、思わずOhと声が出てしまった。鍵は掛けられるようになっていたけど、失礼しました…。
そのあと部屋に戻ってきたのもその男性だった。デル・ピエロを不審者っぽくした風貌で、英語は喋れない様子。ってかちょっと怪しいおっさんや…。今日は怪しいおっさんと2人きりか…。
自分もシャワーを浴びた。これはその前に撮った写真だが、カミーノ中の写真はどれも人相が悪いというか、いつもより目が怖い気がする。わかんないけど。

人口200人ちょっとの小さな町だが、温かいお湯が出たのは同部屋のおっちゃんしかまだ使ってなかったからかな。
他に誰か来るのだろうか。来ないだろうな。立地やプラン上この町を選ぶ人は限りなく少ないはず。
町に着いたときは物足りなく感じたが、想像以上に疲れていることに気付いた。途中休憩をもっと取るべきだったろうか。早く着いた分ベッドの上での時間が増えるのは嬉しいが。
もうキリがないけどまた水抜き。面倒だけど抜かないとそれ以上に面倒なことになりそうだし。(汚い写真ごめんなさい!でもボケてたから逆に使えるかと思って!)

洗濯物を干す場所がわからなかった。裏庭もなさそうだ。どうしよう。
でも何があるか探してみようと下に降りると、ないもんだと決め込んでいた乾燥機を見つけた。

外にも出てみた。ダックスが気持ちよさそうに寝ている。

いや、干すとこあったわ。日差しが当たる場所ではないが、かなり風が吹いているので充分乾くだろう。

宿に自販機があると買っちゃう法則。

ペッドボトルに移した(美味しくはない)オレンジもあるのに、オレンジ味の飲み物を買っちゃうっていう。どんだけオレンジが好きなんだ。

しばらくしてまた外に出たときに見つけたハンカチ。和を感じなくもない柄。

入口付近に掲示されてある、このアルベルゲの広告。Wi-Fiが8€というわけではない。

ベッドに戻ったが、1階の来客がうるさかったのでドアを閉めて仮眠を取ろうかなと考えた。
ほんとに民宿という感じだ。アルベルゲという名だが、一般的な民家で行われている民宿。
宿泊客が少ないのでWi-Fiもスムーズだったし、こういう選択も悪くないなと思った。すぐに今まで通りのプランに戻す予定だけど。
明日も天気は悪くなさそうだし、目的地はカストロヘリスかな。28.5kmはなかなか長いけれど。
17時前まで仮眠を取った。ドアを開ける音で驚いて起きたが、どこかに行っていたおっちゃんが部屋に戻ってきた音だった。体はふくらはぎ等に筋肉痛を感じる。
レオンの宿を予約した。ランドリーサービスはないがバスタブがあることに期待は膨らむ。
キャンセル料が掛かる安いプランにしたので、ちゃんと歩いて行かないとな。
この時間はなんだか暇を感じてしまった。歩いてないから疲れはしないが、何をするでもない時間だった。(歩き終わった後の観光についてでも調べればよかった)
夕食前にトイレに行こうとしたが、他の部屋にも宿泊客が増えていて、バスルームはどちらも入れなかった。
廊下の張り紙等々。


食堂(というよりダイニング)に、ディナーの席は三席用意されていて、1人は古代ギリシアの哲学者のような髭を蓄えたスペイン人のおじいさんで、もう1人はチェコ出身の中年女性。
そのチェコ女性が出身を聞いてきただけでほとんど会話がなくみんな黙々と食べた。最初この2人は夫婦と思っていたのだが、夫婦にしては会話がないな、というかよく見たら年齢も離れてるなと、自分の勘違いだったと気付いた。話しかけても良かったけど、なんかね、うん。
怪しいおっちゃんは少し離れた席で雑誌を読みながら、何か温かそうな飲み物を何杯も飲んでいた。

スープは美味しかったけどとにかく熱かった。こんなに熱くしなくても…というほどに。

サラダの奥のスパニッシュオムレツはトルティージャのことだった。料理はすべて女将さん的オスピタレロの手作り。

おじいちゃんにワインを勧められたけど断った。チェコ女性も水だったし。パンをもっと食べなという誘いには応えて、沢山食べたが。
食後にチェコ女性と目が合ってニコっとしたら、お茶はいかが?と聞かれ、手持ちの紅茶セットの中から一つ入れてくれた。
でも一緒に飲んだわけではない。彼女は紅茶を手に、そのまま部屋に戻ったから。お腹がぐるぐると鳴っていたおじいさんはもっと早くに戻った。2人にとって今日は実質個室だもんな。
まあ、たまにはこんな静かな日もいいだろう。若い子が1人でもいたらかなり話したとは思うけど。でも、明日の朝は話しかけてみようかな。
地元の人らしき2人の男女が来て、余った食べ物を夕食として食べていた。余ったから食べにおいでよといった感じで誘われるのだろうか。
砂糖欲しいな~ないかな~と考えていたら紅茶をむせてしまった。そして砂糖は自分の背後にあった。

食事を終えて、洗濯物を取り込むかと玄関を開けたらわんころさんがいた。さっき寝っ転がっていた犬だ。

おばあちゃん犬かな(目の色が赤黒い)。しばしの間、なでなでしながら触れていた。
風は吹き続けていて、後ろには教会、目の前には犬という状況。動物はこの世の最高の癒しだ。

洗濯物もほとんど乾いていた。もう少しという物も一晩部屋で干していたら完璧な状態に近づくだろう。
午後9時半前におっちゃんが手回し充電のライトを回していた。

教会の鐘は30分ごと?に鳴っていた。チャイムが流れたあとに、ゴーンゴーンと鐘の音が町中に鳴り響く。
こういう巡礼者のあまりいない小さな町に滞在するのも貴重な体験になった。
まだまだ先は長いと思っていたけれど、1週間後にはレオンにいると考えるとかなりの進歩を感じる。今日が14日目。つまり、出発から2週間が経った。
書くということを考えるとうんざりするくらい沢山の出来事があったが、もっと楽しい想い出が増えてほしい。
到着予定日を計算してみたら5月18日だった。それは3週間後。現時点では半分にも満たないし、まだなんとも言えない。順調に進んでくれることをただ願う。
明日は長い1日になる。疲れや痛みの多い1日になるだろう。でもきっと良い1日になる。そんな気がする。
今日の歩み
Burgos – Rabé de las Calzadas / 11.8km


