サンティアゴ巡礼 -フランス人の道- Day 21

5月2日。
ガラスブロックの向こうに電気がついたし、動いてる人もいるからとコンセントまでスマホを取りに行ったがまだ5時前だった。そのうち電気も再び消えてしまった。

上のベッドのおっちゃんは夜中に何度か下りてくることがあって、軋む音もなかなかの音量だったのでその都度少し目が覚めた。
6時半にアラームをセットしてまた寝たが、6時過ぎには隣のシンも起きていたから行動を始めた。昨晩取り込めなかった洗濯物は不安だったけど、特に湿っていることもなく問題なかった。
シンの上は奥さんで、隣のベッドには梯子がなかったので、椅子を使って下りたあとに決めポーズを取り、シンもサムズアップ。それから自分の上で寝ている旦那を起こしていた。

日本人は皆、準備をして下へ移動するのが早い!これが国民性か…!あのおっちゃんは先に出発した。またどこかで会うでしょう。「いってらっしゃい!ブエンカミーノ!」
6時40分にまだバーはオープンしてなかったが、電気がついたので7時からかと思っていたら、45分過ぎという中途半端な時間に営業開始していた。
その前にヨーグルトとバナナをシンがくれた。でもスプーンがなかったので自分の持っていたプラスティック製の使い捨てをあげたら感謝された。のりさんに渡ったけど。
そこまでお腹は減っていないけどバーを利用しようかなと覗いていたら、飲みかけでよければオレンジジュースあるよとえりこさんがくれた。それから一個余っていたヨーグルトをシンとじゃんけんして、負けたのに貰うことになった。2人とも本当にありがとう…!

その恩を仇で返す暴露をすると、さっきえりこさんが、昨日の靴下履くからみんなから離れたい…と距離を置いて履いていたのは面白かった。
そして、参ります!と彼女の声で7時前にスタートしたが(シンは一服していていつものアトデネ)、かなり足を痛そうにしている。「りょう君、今日わたしこんなだから」と言われたので、歩いてるうちに慣れてくることもあるし、休憩からの再開とかめっちゃ痛い時ありますよと返したが、とても心配だ。早く治ってほしい。

東アジア系のおじさんがいて、おはようございますって言ってみて!とのことだったので、小声で言ってみたけど反応無しで彼が日本人ではないとわかった。そういませんわな。(この小声で日本語で挨拶してみて相手が日本人かどうか探る技は意外と便利で、この先も使う機会があった)


当然えりこさんはゆっくりめだし、イタリア女子を挟んで、前にいるのりさんもそんなに飛ばしてはいなかった。のんびりいきませう。まあ、いつもが早いから普通ペースって感じ。自分は歩きながら少しずつメモをまとめていた。

7時50分前、先に行っていたのりさんが靴に挟まった小石を取るために草むらに座っていたが、要は待っていたんだろう。それから自分たちの後ろについた。
5分後にイタリア女子を抜いた。挨拶をしたら今日もイヤホンをしていて、え?ってな感じで聞き返されたけど、調子は良さそうだ。

歩くペースが早くなってきたので、えりこさんの調子が上がってきたのかなと聞いてみたら、そうではなく、痛みは無視しているらしい。

自販機ゾーンに反応したら、お腹空いた?とえりこさん。別に大丈夫。前を歩いていたが、この場所に寄ったJKに手を振った。日本人は過去のことを恨まないのさ。

のりさんがインチョン2014(アジア競技大会)と書かれたナップサックをバックパックの上に被せていることに気付いた。メーカーはアシックスではあるけど、初見だと韓国人と判断しただろう。韓国の地名が書かれていたらまず日本人だとは思わない。


橋を渡る際の注意書き。欄干の上に乗るなとか、牛や馬と一緒は駄目だとか。



レオンという大きな街に近付いているからだろう。道路を走行する車の数が多かった。

スクールバスに少年少女たちが乗り込んでいたのが8時20分頃。


これが例の煙草屋。空港に降り立てばもう煙に包まれているという喫煙者天国の時代は終わったようだが、それでも2015年の喫煙率で比べれば、男性は4.6%、女性は12.3%日本より高い。

マンシージャから6km歩いてきて、レオンまで残りは9km。

8時半前に斜めに降る小雨が顔に当たりだしたので、マフラータオルを結び直したら忍者になった。風もかなり冷たくなってきた。


僕まだ野外デビューまだなんですよと昨日話したら日本人2人は笑ってくれたが、その1人であるのりさんが立ちションのため道を少し逸れた。ちょうどそのとき羽音が凄まじく、電子銃みたいな鳴き声の鳥がどこかで鳴いていた。


2時間歩いたし休憩しようかと提案したのはのりさん。しかしそれっぽいバーは見当たらないので、グーグルマップで調べて2人に教えた。もうちょい行くとアルカウエハって町がありますと。

後ろから来た白人の若い男性が追い越す際にオラ!と挨拶をしてくれた。彼は前の2人にも挨拶しようと顔を覗き込んでいたんだけど、のりさんは元々積極的には挨拶しないし、えりこさんも今は痛みに耐えながら必死に歩いているので気付いていなかった。挨拶当番として頑張ります。

見えてきた町に対して、ありがとう!とえりこさん。「コーヒー飲みたい!あと筋肉休ませたい!」と言うので、 もう半分ですよ!と励ますと、「ほんとに?」「いや、盛ったかも」で念のため確認してみたら10kmは歩いていたのでそれを伝えたら、頑張れそー!と喜んでいた。(今日の総距離は20km)

近くにいたJKから、どこに昨日泊まった?と聞かれた。「同じ町の違うアルベルゲだよ。昨日の宿はどうだった?」「良かったよ」とふざけたことを抜かすのでタックルしといた。多分こういうノリで来られる方が接しやすいはず。

りお!オラに元気をー!とえりこさんが元気玉を集め始めたので、バックパック越しに背中を押しながら坂を登った。でも平地より登りの方が楽らしい。じゃあ(山登りのある)レオン以降余裕ですね!と言ったら、ふざけないでってな感じで笑っていた。

どこにあるのかちょっと迷ったけど、道を少し逸れた場所にカフェがあって、店内にはゲリンダが1人いた。今日は同じくレオンまで。

こっちきて日本食食べた?と聞いてきたのりさんは、ブルゴスで寿司を食べたらしい。なんかうどん食べたいんですよねと自分が言うと、わかる!と共感してくれたのはえりこさん。

そして、ゆみこさんからえりこさんに連絡が入って、レストランかどこかで12時?までなら待ってられるということだった。そのこちゃんもいるらしい。
えりこさんは、あれだったら先に行ってと言ってきたが、大丈夫ですよ、間に合いますよとまた励ました。ここであと一時間過ごすならあれですけど!

店内のBGMはOasisのWonderwallだった。バーやカフェで聴くとより最高だ。

スパイシーなソーセージって感じのチョリソー(+ひき肉を包んだ餃子のようなパイ)とカフェコンレチェ。でもチョリソーの匂いは結構強烈なのでこの日は誰ともキスしませんでした。

iPhoneのキーボードが打ちづらくなったのは液晶画面にヒビが入ったからだ。落としちゃったもんなあ。

出発前に、アキレス腱と股関節伸ばしとくと歩きだすときに良いよとえりこさんが教えてくれた。体は硬いけどなんか股関節は柔らかいんですよねー、なんかすみませんって感じですけど()


15分のタイムロスとえりこさん。いや、この15分で逆に後半伸びますよ!前半引いて、後半攻めるレアルみたいな感じでと言うと、結局最後まで見たの?と聞かれてスキンヘッドのスペイン兄貴の話をちらっとした。(ちょうど下の写真に写っているのはその兄貴だったはず)

のりさんが、りょう君は連泊できるとこ探したの?と質問してきた。「いや、ホテルなんで」「そっか」「もうスタンプを教会で押さなきゃなぐらいしか考えてないです」「じゃあ今日は湯船だな」「そうですね、あれだったら薬局で入浴剤でも買ってこようかなと思ってます」と言うと2人は笑っていた。販売しているのかは知らないけど。

シンらしき人が前の方を歩いていた。追いつかなかったが、写真を後で確認すると彼だった。

虹!とえりこさんが叫んで、目を凝らしてみると、薄っすらとだが本当に虹が架かっているのが見えて感動した。エモーショナルー!と自分が言って、えりこさんも言ったのには笑ったけど。

後ろを振り返れば太陽に暈がかかっているようにも見えた。

墓地のカラスは不気味な息の吐き方だったが、

虹のアーチは繋がった。でも、先程より濃く、はっきりと見えるようになったこの虹は、自分のためではなく、頑張っているえりこさんのために現れたような気がした。実際にどんな言葉よりも足を進めてくれただろうし。


なんか可愛くないキャラだな…。カミーノに関連するマスコットとかなのか…?(でもこの子を見たのはこれが最初で最後だった)


レオンが見えてきた場所からの光景は最強のインスタ映えに思えた。「でもめっちゃ薄くなってる~!」「フィルターかけたりしたら虹だけ濃くなんないかな」「確かに!」

歩道橋は渡れなかった。

車の工場に入るスペイン人の労働者たちがとても楽しそうで陽気だなーと感じた。昨日えりこさんに見せてもらったバー前でいきなり踊り出すスペイン人の動画を思い出した。本来スペイン人に抱いていたイメージはそれだ。

明日どうするか迷ってるとえりこさん。休むかちょっと進むか。まだ歩けてはいるが、きっと痛みが強いのだろう。
今日のディナーは何にするかという話の中で、でもどっちにしろ最後の晩餐かなーと言っていた。シンは明日から飛ばすらしいし、りょう君は滞在するし、わたしはこんなだしと。

ここはそのまま車道を進むのが正解だった。途中で道が消えてしまった。

さあさあ、レオンが近付いてきたぞ。


ここて虹が見れたら最高だったねと話したのは10時半過ぎ。この見晴らしが素晴らしい場所でえりこさんも写真を撮っていたのだが、彼女が「のりじいが入っちまう…」と呟いたのには爆笑した。写真を撮るときにいつも青いのが入るらしい。このときはちょっとどいてもらってたから大丈夫だと思うけど。

前に見えている景色だけでなく、こんな風にたまに自分が歩いた道を振り返って撮ることもある。

道を知らないのに前をさっさと歩いていくのりさんを指して、面白いでしょと。俺の前に道はない。俺の後ろに道ができるみたいな感じで歩いてますねと返した。
滑舌悪いのものりさんは損していると言っていた。以前3人のときに会話をしていて、なんか面白いこと話してるんだろうけど、えりこさんは適当に相槌を打って、ゆみこさんは「悪いけど今の全然聞き取れなかった」と指摘して、わかるようにきちんと喋ってもらったら本当に面白い話だったということがあったらしい。自分も彼に対しては外人相手みたいにSorry?って聞き返すことあると言ったらウケた。さすがに英語では聞き返さないけど。

臨時のインフォメーションセンター的なテントの下に、ボランティアらしきおっちゃんがいた。えりこさんがアルベルゲの名前を告げると、彼が地図にルートを描き込みながら説明してくれた。さすがお街といったところだろうか。

キャンディもくれた。ニコニコしておけば助けてくれるんですよ!とえりこさん。間違いない。のりさんはこれからどうなるかな。


お店も多数ある街だが、地元の人からは挨拶も返ってくるし、アディオス!と言ってくれる人もいるし、とにかく爽やかだった。歩行者信号が赤なのに道を譲ってくれる車はおとり捜査かな!?と疑ったけど。

地図をのりさんに託し、えりこさんが後ろから見守っている光景は、なんだかはじめてのおつかいみたいでシュールだった。でも本当に心配しているのが伝わってきた。

KFCあるやん。なんか逆にビビるわ。

ついによたよた歩きになってしまったえりこさんを見て、ドイツ人のおっちゃん3人組も心配そうに見ていた。明日はお休みかな!と自分が言うと、おやすみだな!なんか熱を持ってジンジンしてるのがわかると。
ちなみに彼女のスペイン滞在は、26日ぐらいから3日間バルセロナの宿は予約していて、28日に帰国するとのことだった。それまではスーパーフリーなので(足の状態次第では)20日以降にフィステーラ(地の果て)に行ってもいいと。

そしてアルベルゲに到着。よくできましたのりおくん…!(失礼)

自分のホテルのチェックインはまだだし、2人と一緒にアルベルゲに入った。ホテルみたいな構造だったのでロビーのようなこの場所で待つこともできる。機械を用いて、窓枠をプチリフォームしていたのでなかなか騒がしかったが。

それからエレベーターで上がってえりこさんが泊まる女子部屋?に入り、荷物を置かせてもらうことになった。  

誰か1人シャワーを使っていたのでまだ出てこないで…!と女子寮に忍び込んだみたいにビクビク。
でも、ゆみこさんと一緒の部屋にしてもらえるよう頼んだみたいだけど、なんか荷物的に違う気がすると。
ここはランドリー無料で、カゴに入れて持っていくだけで洗濯も乾燥も済ませてくれるらしく、洗濯物置いてく?と聞いてくれた。ホテルには洗濯機はないと思うけど、でもなんか申し訳ないし、時間はあるからゴシゴシして干しとくんでと遠慮した。

またロビーに戻ると、自販機でえりこさんがコーラを買っていたので、自分も何か買おうとポケットから財布を取り出そうとしたら紙ナプキンが飛び出してきた。「ゴミ箱ここにあるよ。あ、違う?」「なんかポケットティッシュ足りなくなって…」と恥ずかしい事情を話すと、のりさんが手持ちのティッシュをくれた(どこかで貰ったらしい)。えりこさんは4セット?あるから必要なら言ってと。みんな優しすぎぃー!

待ち合わせ場所はこのアルベルゲになっていたのだが、ゆみこさんたちはなかなか来なかった。ゆみこさんもWi-Fi依存で連絡はすぐには取ることはできない。出歩いているんだろうか。
ちなみにこの待ち時間にえりのりとLINE交換したのだが、自分がアイコンにしているAvril Lavigneを誰?とのりさんが聞いて、アヴリル・ラヴィーンですよとえりこさんが教えてあげたら、「え?あべれべらべ?」と勢い良く聞き返したのが面白くて、しばらく(えりこさんと2人のときに行う)のりさんモノマネのレパートリーの上位にあった。

12時40分頃に待っていた2人が来た。すぐにえりこさんとゆみこさんがハグをした。ゆみこさんが涙を流しているのを見て、感動の再会なのだと気付いた。その喜び様は自分が予想していた何倍もあった。
そのこちゃんは自分を見て、おぉー元気ですかーと握手を求めてきた。どうやらこれから歩くらしい。みんなが来るから待っていたと。
それから会っていなかった人同士で自己紹介をしたり、近況報告等をした。

そのこちゃんから、りょうさんもっと先歩いてると思ってましたと言われた。ブルゴスとかで休んでたよ!昨日はシャワーを浴びているときにゆみこさんから突然自分の話をされたらしい。
ゆみこさんは聞いていた通り遍路経験者で、かなり前だけど宿に泊まりながら全部歩きましたと。
ゆみこさんの膝は完全回復したわけではなく、そのこちゃんは出会ってからペースを合わせてゆっくりと歩いていたようだ。そんなことするんだと正直意外だった。優しい子じゃないか。
2人は一昨日、幽霊屋敷のような(でも料理は美味しい)アルベルゲに泊まって、昨日はレオンに泊まったと言っていた。

他の日本人の話もしたが、そのこちゃんは全然会っておらず、例のまさしって名前(まさきじゃなかった)の男性とハーフの子のカップルにしか会ってないということだった。だがその組み合わせはブルゴスのアルベルゲで見たあの男性で間違いないだろう。隣にいたのは完全に白人の女の子と思っていたので、ハーフというのは予想外だったが。

そのこちゃんが持っていた名物の?ポテトチップスを袋ごとくれた。でももうちょい塩気が欲しかった。

外に出た。えりこさんはゆみこさんのストックを片方を借りて歩いていた。ゆみこさんは既にレオン散策は済ませているので、良い街ですよと、ガイドのようにいろいろと案内してくれた。

そのこちゃんにロザンカのことを聞かれた。もう娘と自転車に乗って〜と一連の流れを説明すると「なんだかんだでりょうさんの方が会ってますね」と言った後に「わたしといるからいるみたいな感じだったのに」という言葉が続いた。
まあ、ロザンカがそのこちゃんのことをいたく気に入っていたのはわかっていたけど、眼前にいる自分のことを、おまけのような扱いだったと直接指摘されたことに驚きながらも、言葉のチョイスが絶妙…!などと皮肉を返すわけでもなく、動揺を誤魔化すわけでもなく、でも悪意はないのは知ってるよと思った。彼女はとびっきり素直なだけ。悪い子ではないんだ。

この建物は現在銀行のオフィスとして利用されているCasa Botinesというアントニ・ガウディの作品。初期だからいわゆるガウディっぽさは薄いけど。



観光用の列車型ミニバスも停まっていた。

建物の正面にはベンチに腰掛けるガウディの銅像。

ノリディとのコラボ()

巨大な犬をモフるゆみこさん。

スペインはやっぱり犬だらけだ。黒人より犬の数の方が多い。

隣にはロス・グスマーネス宮殿。現在は県議会庁舎として利用されている。

トランポリンの動画を撮っていたおばちゃんがいたので少し話した。元気そうで何より!こんな人混みの中で知り合いを見つけると嬉しい。

みんなで昼食が取れるような場所がなかなか見つからなかった。バーも時間的にタパス(おつまみ)くらいしか提供してないみたいだったし。

それっぽい店に入ったら、サンドイッチ系以外はパフェなどのスイーツをメインとするお店だった。写真は出入り口前に置かれていた傘ぽん。

スイーツ好きの気心の知れた女友達とかと来てたならガチで甘い物で攻めるんだけど、サンドイッチでいいかなーなんて悩んでいたら、メニューを見終わる前にウェイターが注文を聞きに来てしまった。
まだ決めてないのにどうしよう…と困って、ゆみこさんとえりこさんがチョコチュロスを頼んだので、じゃあ自分もそれで…と真似すると、ゆみこさんに「男子は甘い物取るな!」と結構なガチトーンで言われて、どんな反応をすればいいのかわからなかった。なんかすみません…。

マドリードまで待つつもりだったけど、でも美味しかったからプチ縛りも忘れることにした。隣に座っていたそのこちゃんにも分けてあげたら美味しいと言っていた。

ほどなくして外の通りをケイ君が通った。ケイ君…!!と自分が立ち上がって、えりこさんも呼びに行った。苦手なのりさんがいるのは申し訳なかったが、特に目的はないんだけど日本人いっぱいだから呼び止めちゃったよと。散策中だったようで、お店では瓶ビールを頼んでいた。
しばらくその日本人グループ6人で話していた。自分たちが1234ガールに追い払われた昨日のアルベルゲはやっぱり良かったらしい。

マメの話になったとき、ゆみこさんが「靴とかもそうだけど、自分のペースを守れないと怪我ができちゃう」と言った流れで、ケイ君は競歩レベルをイジった。でも早く歩いてたら楽しくなるよねとゆみこさんも言っていたし、まあ、スイスイ歩きたい気持ちは誰にでもあるということだ。
ケイ君とそのこちゃんは初対面だったが、これから歩くのにどこまで行くか迷っていたそのこちゃんに、(みんな持っているけど手元にはなかった)アルベルゲと町ごとの距離が載ったリストの紙をケイ君が持っていて役立っていた。

四国との違いをゆみこさんと話した。こっち(カミーノ)はバカンスみたいと自分は言った。宗教感が薄いってのはえりのりにも昨日話したんだけど、2人は敬虔な信者たちと接する機会が何度かあったので印象は違うようだった。(食事の前に皆で手を繋いだりするアルベルゲには自分は泊まっていない。ヘススみたいな宗教関連の名前の人には自分も何人か会ったけど)
ゆみこさんは遍路で、ここは良い場所だなーと思って滞在しようとしたら、まだ時間が早いんだから先の町まで進みなさい!と怒られるように追い出された経験があるらしい。
早すぎる時間だと泊めてくれない通夜堂なら聞いたことはあるし、説法じいさんに出くわしたこともあるが、追い出されそうになったことは自分は一度もなかった。カミーノでならあるけど。
ま、修行ですね…!と自分は言ったが、えりのりには話していて、このとき「でも四国めちゃくちゃ楽しかったんでしょ?」と聞かれたように、わけわかんないくらい四国の人々は親切にしてくれたし、実際にめちゃくちゃ楽しかった。もしかすると年齢の違いがあるのかもしれない。若者は基本、偉いねえと可愛がられまくるわけで。

ケイ君は、こういう街に来てまで韓国料理を食べるのは違うと今日は韓国人たちとは別々に食べるらしい。それを聞いていると、なんだか切りづらい関係なんだろうなと思った。相手がよっぽど遅いとかじゃない離れることはそうないだろうし、逃げるような形で無理して距離を伸ばし、無駄に疲れてしまうのも違うし。きっと気持ちはわかるはず。
韓国人たちはよく自炊をするけど、ご当地グルメなどは関係なく、どこに行っても韓国料理を作ると。スーパーに行っても、これとこれなら何を作れるかと考えるのではなくて、何が韓国料理に代用できるかを考えると言っていた。
そんな辛くないけど辛そうなケイ君が話していた中で、パンプローナに着いたときにこんなファイナルファンタジーみたいな世界があるんやと感動したという話は印象的だった。クラウドへの画像送信は上手くいったらしい。良かった。

そして店を出て、ここでケイ君とお別れ。じゃあまたと言った後に、隣を歩いているえりこさんに「いや、ケイ君はもう会えない気がする」と言ったら、えりこさんがハグをしに行って、自分もした(照)。うん、同い年の子に会えるなんて思っていなかったし、過ごした時間は短かったけど楽しかった。
先程、美味しい中華食べたくない?とゆみこさんに誘われていたけど、そのこちゃんも、じゃあわたしもこれでということでお別れ。なんだかハグ続き。ヨーロッパにいるのでヨーロッパ式。

それから大聖堂に来たが午後4時オープンなのでまだ開いていなかった。現在は午後2時。

この金髪の子可愛すぎない?イニエスタの息子も可愛いけど、もう天使がいるのかと思った本当。

天使がこうなってしまうのかと考えると涙が出てくるけど、こっちはスペイン人の男性グループ。右端のチンチンマンが、ジャパン!コリア!とか適当なことを喋り続けるのでジャパンと覚えさせた。
このチンチンマンは昨日えりこさんのベッド下だったらしく(えりこさんはいつも上を選ぶ)、ナイフをちらつかせながら、揺らしたらこれで刺してやるからな!と言ってきたらしい。もちろん冗談だけど、全然笑えなかったとえりこさんが教えてくれた。

自分たちもこのLEÓNモニュメントの前で人文字を作ったりしながら撮影大会をした。(リーがインスタに載せていた写真でこの場所は知っていた)

そして大聖堂前のこの広場には知り合いが来るので、嬉しいというか、幸せな気持ちを感じた。
アリアリファミリー(父と娘)もいた。娘にガウディの銀行知ってる?と聞かれたので、道を教えた。あまり濃いエピソードはないがカタリナとも会えた。

大聖堂から少し離れて散策することに。

ふらふらと歩き回っていたケイ君と普通にまた会った。えりこさんも思わず「ハグ返して!」

城壁跡が残っている場所も少なくなかった。レオン王国の名残。

いつの間にか合流して、写真に入ってきたシン。

こちらはサン・イシドロ教会。レオン王国の歴代国王などが埋葬された霊廟。


教会前には矢印を発見した。



改めてヨーロッパにいるのだと思い知らせてくれる建築物ばかりだった。
ちなみにレオンはパンプローナやブルゴスに次ぐ人口を持つ巡礼中の街。巡礼中最大の都市と勘違いしていたが人口自体は14万人程度だった。だが別に失望はない。通過してきた田舎町に比べたら大都会のようなものだし。

通りに戻ると、モンベルのバックパックを背負った女性に出会った。自分とえりこさんの会話を聞いて「日本人ですか?」と話しかけてきた。
iPhoneの液晶画面が蜘蛛の巣のように割れていたその女性は、今ブルゴスからバスで着いたばかりでアルベルゲを探しているとのことだったので、えりこさんが泊まっているアルベルゲを教えてあげた。
しかし予想外の出来事が起こった。彼女は、地図も見せて説明してくれたえりこさんに対して、申し訳程度の本当に小さなお辞儀をしただけで、お礼の言葉は一切言わず去って行った。またその説明に加わっていた自分に対しても、無愛想というか完全に小馬鹿にしたような態度を取っていた。
彼女が去ったあとに、えりこさんとすぐに顔を合わせて、え、何今の…?とお互いにその突然の事態を飲み込めず困惑していた。数分にも満たない時間のやり取りで、こちらは丁寧に対応したにもかかわらず、なぜ自分たちがこんな想いをしているのかがわからなかった。

短時間だったので、彼女が日本人とは必要以上に絡みたくないというこだわりがあるのか、元々そういう性格なのかは知らないままだったが、まあ…無愛想なのはたまに紛れこんでるから仕方ない…と割り切るしかなかった。
しかし、なんと感じの悪い女性だっただろう。ぱっと見20代前半に見えたので若者なのだろうが、バスも普通に使っちゃってるし、あんな失礼な人間とは友達になることはないだろう。

当時もしばらく動揺が消えなかったし、思い出すだけで不快だから、ショーウィンドウの写真でも貼っとこ。

スターウォーズ感の強い十字軍フィギュア。

通りを再び歩いていると、えりこさんの知り合いの白人男性がバーのテラス席にいて、怪我の話をしたら以前元カノ?が似たような状態になったことがあるとかでアドバイスをしていた。初対面の自分に対しても爽やかな笑顔を向けてくれた、とても優しそうな雰囲気の男性だった。
えりこさんは初日に山で会っただけなのに、名前を覚えてくれていたことに感動していた。(当然RyoやKeiに比べると、外国人にとってErikoやSonokoは覚えづらい。ベネズエラのヘススもずっとSonokoは覚えられてなかったし)

白髪のスウェーデン人おばちゃんが大聖堂前のベンチに座っていた。なんと彼女はここでフィニッシュらしい。サンティアゴじゃないのが残念だけど…と話す彼女になんと声を掛けるべきか迷ったが、お疲れ様か?いや、おめでとうだなと祝福の言葉を送った。自分はこの街に数日いると伝えると、わたしも明日はいるから会うかもしれないわねと。
カミーノから離れるということは巡り会えない・再会できないなどではなく、もう完全に会えなくなるということ。もちろんそれぞれの事情はあるだろうが、知り合いが離れていくのはとても寂しい。

バーのテラス席で4時まで過ごすことにした。やはり大きな街には乞食がいて、えりこさんは年配2人に、無視して!断りもしないで!と注意していた。

シンジュとあの背の高い男性が手を繋いでるのが見えて、え…?と驚いた。それからシンジュが手を振っているのが見えた。後ろに誰かいるのか確認したが自分に対してだった。
いきなり手を振った自分にえりこさんが、誰かいたの?と聞いてきたので、今なんか、別々に来てた男女が手繋いでて、いやー、カミーノでカップルってできるんだな…と驚いたということを話した。

そして、そして、ヘススがいた!!向こうも自分に気付いて、リオー!!!!と叫んでいた。
女性が隣にいて、誰だろうと不思議に思ったが、奥さんだと紹介してくれた。ブルゴスから一緒に歩いていて、サンティアゴを目指すらしい。奥さんにも挨拶をした。
あの女の子(案の定名前を覚えていなかった)は元気かい?と聞かれたので、Sonokoはちょっと前に会って、少し先を歩いてるよと伝えた。
本当に彼に会えたことが嬉しかった。自分がカミーノの男性の中で最も好きなのがヘスス。きっとそれが彼にも伝わっているから、彼も本当に温かく自分に接してくれる。

シンジュたちが来た。背の高いのに名前もう一回聞いていい?と尋ねたらKoo(クー)だと教えてくれた。サンジャンで聞いたはずだし、向こうってか、韓国の若者たちはリョーやリョウサンと覚えてくれているのにごめん…。
意外なことにえりこさんはシンジュもクーも知っていた。クーはえりこさんたちと同じバスで移動したらしい。(電車も同じだったなら、自分の号車の写真にクーは写っていたので、えりこさんも近くにいたのかも…?)
カップルになったの?と聞いたら、返ってきた答えはYes。えりこさんがシンジュ!クー!シンジュクー!と盛り上げると、クーは新宿には行ったことがあって歌舞伎町が好きなんだと照れながら言っていた。でもそれを聞いたえりこさんは、わたしは新宿は嫌いと返していた。外国人相手にこのタイミングで言う必要はないのでは…?と思ったが、騒がしいという理由以外にも何か特別嫌な出来事があったのかもしれない。詮索はしてないけども。

韓国若者ズが後ろにいたから話せはしなかったが、マリオおっちゃんもいた。やあ!と手を挙げてくれたから気付いて手を振った。また会えるかな。

ゆみこさんも東京の人だとわかった。彼女は(えりちゃんと呼んでいる)えりこさんやシンのことを子供のように思っているらしい。素敵じゃないか。
のりさんが親父ギャグを言う度に、えりこさんと「おっと」と冷えた空気を温める流れができているが、ゆみこさんもたまにおばちゃんジョークを言っていた。しくしく…などの昭和レトロな感情表現も面白い。(失礼)
えりこさんはここレオンで明日泊まるアルベルゲをこのとき予約していた。エステージャのときのような良い感じのアルベルゲらしい。「りょうもいるから食事の相手には困らない」「駆り出されます」

人生卓球と書かれたTシャツを着た女性。

この場所にいると再会続きで本当に楽しかった。まるで同窓会みたいだと感じた。
イケメンは後ろ姿だけだったが、ブルガリアカップルと(昨日話しかけていた?)もう1人のブルガリア女性に会って、大聖堂が開く時間を教えた。
店の外だし立ち上がって、何度も話をしに行ったりした。テーブルに人数はいるし、みんな飲んでいるからそんなに気にしないし。
と思っていたが、りょう戻ってきてー!!とえりこさんに何度も言われるほど、この時間は物思いに耽ったり、知り合いたちの、現れて近付いて大きくなっていく姿や、後ろ姿のまま小さくなっていくのを眺めたりしていた。

午後4時になった。のりさんたちは行くが、えりシンは飲み続けるので大聖堂へは行かないらしい。りょうの写真を見せてもらって良かったら行く。ここは割引無いから入場料は6€、ビールは2€だからと。ほうほうほう。

現在のレオン大聖堂は13世紀に建設されたもの。ゴシック様式のこのカテドラルは、壁を最大限減らしているので、世界有数のステンドグラスを有している。

大聖堂の中でポップという少しぽっちゃりした韓国人の女の子と目が合って話すことになった。さっきシンジュたちと一緒にいた子だ。
普段カテドラルの中は入らないけど、みんなが行った方がいいよと言うから来てみたらしい。そんな彼女から「マサシには会った?」と聞かれた。答えはNoだが、またまさしが出てきた。「じゃあソノコは?」そっちには会っている。

そしてレカがいた。レカー!!!ええええ!!!! まさかここで会えるなんて!!!と心から驚いた。会えて嬉しいよ!と言うと、わたしも!と抱きつかれた。静粛にしてないといけない場所なので喜び方も難しかったが、なんかハグしちゃったよね()
それからFacebookを教えてと頼まれた。そうすればいつでもメッセージが送れるでしょ!と。
どうやら今日は歩いてないらしい。自分はブルゴスに泊まってたんだよと言った。レカはブルゴスには1泊だけだったみたい。また別れることになるが連絡は取り合えるという状態にはなった。

先に気付いたのはフランス夫妻だったが、島村さんグループもいたし、昨日サッカー観戦で一緒だったドイツ人のおじいちゃんもいたので、またグータッチをした。
アリアリ娘にも再び会った。話してはないがミーティングで美声を披露していたハンガリーの女性、ヘスス夫妻の姿もまた見かけた。

すべての写真が絵になるような美しい街の中やカテドラルの中でこんなに再会するなんて、なんて素敵なことだろうと胸が熱くなった。
まだ旅は終わっていないけれど、こんなに再会できるとは想像していなかったので本当に嬉しかった。
数日分離れることになるし、これからまた再会できる保証はない。でも、たとえ道中やサンティアゴでまた会うことは叶わないとしても、この街で会えたということは幸せ以外の何でもない。

冊子は返すものと思っていたが、そのまま持ち帰ってもいいとのことだったので貰った。

外へ出るとケイ君と1234ガールがちょうど入場するところだった。笑顔でアニョハセヨーと挨拶した。彼女が自分たちをどう思っているのかはわからない。
大聖堂は綺麗は綺麗だったけど、想像していたよりは質素だったなというのが感想。でもこうして胸がいっぱいなのはカミーノピーポーに再会できた余韻だろう。

またテリアに戻った。JKが来たので、今朝自販機で何買ったの?と聞いたら、バナナを食べていただけと。
シンやのりさんとヘルスケアを確認し合ったが、足の長さが違うからか、歩数計の距離も違うということを改めて知った。

宿へと戻る道でえりこさんをおんぶしてちょっと歩いた。明日休むだけでまたしっかりと歩けるようになるのだろうか。早く治ってほしいと願うことしか自分にはできないが、その痛そうな様子を見ていると胸が痛んだ。

ブルゴスで見たあの男性だ!!と気付いて話しかけてみたら、やはりまさしさんだった。父がアメリカ人というハーフ女性の名前はアマンダ。「アマンダですっ」と彼女が自己紹介をしていたのに、会話のタイミング的に上手くそれが通らず、「わたしさっきからアマンダですしか言ってない…」ってのには笑った。でも綺麗な女性でまさしさん羨ましい…!と素直に思った。
実はブルゴスで一緒のアルベルゲで、姿は見かけてたんですと話すと2人ともかなり驚いていた。あのときからまさしさんの雰囲気が変わっているのは、髪の毛をカットしていたから。
後ろから追いかけているまさしさんの友達がいて、そろそろ追いつかれるらしい。前にはきよみさんというまた別の日本人がいると教えてくれた。
お会いできて嬉しいですと自分が言うと、まさしさんはそんなにですかとちょっと苦笑いする感じだったが、嬉しかったのは事実。

えりこさんは煙草はいつもシンから買っていたらしいが、その2人が煙草を買いに行ったのでおじちゃんおばちゃんの2人と歩いた。
日本人には10人くらい会ったけど、巡礼の道を過去に歩いた人はゆみこさんが初。ゆみこさんとの会話で、自分がカミーノで出会う日本人に期待していたことをようやく少し叶えられた。
日本の巡礼路はみんな事前に歩いてるもんと思って来ましたと言うと、のりさんから「俺もいきなりここだもん」という反応があった。

途中のりさんがスポーツ店に寄ったので自分も入った。ゆみこさんは速乾性のタオルを買っていた。店員がどこからか聞いていたので代わりに自分がハポンと答えると、会計の際にアリガトと店員はお礼を言っていた。 これが一番小さいサイズですか?等ちょっとだけ通訳をした。

自分の荷物をアルベルゲへ取りに戻った。ゲリンダが同部屋で笑う。

7時に下でまた待ち合わせということになった。自分はホテルへ向かう。すれ違う巡礼者とはアイコンタクトを取りながら。

小雨が降り出してしまった。急がなきゃ。

空手クラブレオン…!

Hotel Quindósに到着。思っていたより距離があったな。

チェックインを済ませて部屋へ。


あまりゆっくりしている時間はないので、お湯を溜めている時間もないし、とりあえずシャワーを浴びた。
正直ここ微妙か…?と思ったのは、バスタブはかなり小さいのでとてもじゃないが全身は浸かれそうにないし、シャワーホースの途中から少し水漏れもしていたし、シャワーヘッドも上手く固定できなかったから。Booking.comではそんなに評価は悪くなかったはずだけどな…。

今だってそうだし、しばらくは絶対バタバタするという予感があったので、三泊にしておいてよかったと感じた。落ち着くまでにも時間が掛かる。
ランドリーサービスはやはり値段が高かった。サービスがあるホテルにコインランドリーもなさそうだし、えりこさんに預けておけばよかった。
暖房等の設定などもよくわからないのでストレスを感じながらも、もう移動しなければいけない時間になった。

朝食は何時からか聞こうとしていたのにフロントのスキンヘッドの男性は電話中だった。また後で聞こう。


早歩きでも15分掛かってしまったし、なぜかアルベルゲ前にシン佇んでるし。

かかとの上の部分がぷっくらと腫れてしまっているえりこさんの足。

Wokという中華料理屋さんは午後8時半オープンらしい。他の店も軒並み遅い。だからアルベルゲの門限が24時なんだろう。
裸足にサンダルというスタイルだったので、りょうくん裸足で(寒さは)大丈夫?とゆみこさんに心配された。靴下履いてくればよかった。
のりさんはシンに靴のインソールをプレゼントしていて、シンの本気で嬉しそうな表情を見ていると、また素敵な光景だと思った。先程スポーツ店に寄っていたのはそういうことだったんだ。あの最高のアルベルゲでスポンジを挟むといいよというようなアドバイスをしていたが、シンの足のトラブルがこれで解決されるのだろう。

外に出て食べられそうなお店を探し回ったがなかなか見つからない。でも、8時半まで待ってもいいけど~みんな明日早いし〜でもこっち2人(自分とえりこさん)ツーリスト~!みたいなふざけたやり取りがあったりと深刻さは全然なかったけど。

オー!リョー!と自分を呼んだ韓国男子のボンとすれ違いざまにハイタッチをした。でも3人で行動していたのに、そのうちの2人がカップルになるとか辛すぎないか…。気まずいだろうし、リーたちと合流させてあげたい…。無理だけど…。

このままじゃ埒が明かないので、えりこさんがネットで調べ直して和食屋を発見した。彼女からiPhoneを預かってみんなをナビしてたどり着いたのがこの店。



こちらもまだ営業していないし、どういう店の作りかもわからないけど、とりあえず馴染みのあるメニューを見るとなんだかホッとする。うどんもあるじゃないか。

待ち時間にゆみこさんがシャンプーを買いに行くということで、女性2人と大きなドラッグストアに寄った。

店内には柴犬がいた。人間には良い匂いだけど、犬にはキツくないだろうか。

日本で見かけないような香水も多く販売されていた。えりこさんはお試しの物をふりかけていた。

自分もシャワージェルを買った。右のDove MENを。

店の前でまた待っていたが、その隣の店から男性店員が出てきて、今日はその店休みだよと教えてくれた。そして、うちの店は同じ系列だからこっちにおいでよと。
まだレストランはオープンしてないが手前のバーで何か飲むなら店内に座っていいとのことでいくつか注文をした。まあ、だいたいみんなビールを頼むよね。

のりさんが自作の予定表(を撮った写真)を送信してくれた。サンティアゴ手前の歓喜の丘で一泊して、そこから朝ゴールを目指そうかと考えていると自分のこだわりを話すと、そのみんなでサンティアゴへ向かう光景を想像するともう涙が出ちゃいそうになるねとゆみこさん。
遍路の結願前夜に、遍路センターの近くで野宿して、起きてから大窪寺に向かったんで~とこだわりの理由を挙げてから、女体山の最後の壁のような尋常じゃない傾斜についても話した。でもこれって遍路経験者じゃないとわからないよねとゆみこさんは笑っていた。身内ネタのようで他の3人には悪い気がしたが、やっと遍路トークができる人と話せている…と嬉しかった。
ちなみに、萩森リストならぬ、この『のりリスト』でお遍路に関連する町・アルベルゲがあることを知った。興味深い…!

このリストはかなり参考になったし、このときにはもう地の果てフィステーラに行く気になっていたので、これからどうしようかな…サンティアゴからの3日分を生み出すには、これからどのくらいのペースで歩いていけばいいんだろう…と悩んでいたら、あなたにはいっぱい時間があるんだから考えるのは後でいいでしょ!とえりこさんに英語で怒られた。そうだった、今夜は最後の晩餐だもんね。

午後8時半頃にようやくレストランの方へ移動。

正直、メニューは創作料理みたいなのもあったし、謎すぎた。 

お酒を飲まない自分がコーラばかり飲み続けていると知ったゆみこさんが、コーラは体に悪いからとジンジャエールはないかとウェイターに聞いていた。店に置いていなかったか伝わらなかったかはわからないが、優しさを感じた。

この店ではなく、別の店頭で見かけて、向こうの言葉ではなんて言うんだろう?と話していたPulpoことタコの料理を頼んでみたが、なんだこれは…。ワッフルの上にタコが乗ってるぞ…。気が触れている…。

えりこさんは結構お調子者というか、おふざけ・盛り上げ上手で、イカスミパスタでお歯黒になったり、チーズをドヤ顔で削ったりしていて面白かった。のりさんやゆみこさんもとても楽しそうだった。

2018年の聖霊降臨祭は5月20日なので、その日にボタフメイロというお目当ての儀式が見られるだろうと踏んでいるわけだが、公式な発表が行われていないにしても、当日はもうお祭りみたいな感じと捉えたほうがいいかもねという話の流れから、もうサンティアゴのアルベルゲを予約することにした。
だが既に(前日に入って、翌日に出る)連泊ができる適当なアルベルゲは5人では取れないようだ。すると、それを知ったのりさんが提案をした。俺たちはホテルに泊まるから、3人で取りなよと。ということで3人のアルベルゲと、2人のホテルをえりこさんが予約してくれた。なんかお世話になりまくってるな。感謝だ。

食事を終えて支払いのタイミングになったとき、ゆみこさんがわたしが払う!と譲らなかった。「いいのいいの!パラドール(昔の建造物などを改築した高級な国営ホテル)に泊まるつもりだったんだもん」
だが、いつもの巡礼者メニューと違ってきちんとしたレストランなわけだから、5人分は当然それなりの値段だ。のりさんが半分出すよとか、えりこさんもわたしたちも払います!と説得するけど、もう絶対に譲らないだろうなという固い意思が見えた。
もちろん自分も払うつもりだったけど、この平行線がいつまでも終わらなさそうだったので、もう「ごちそうさまです!!」と勢い良く言った。するとゆみこさんはそう!!と自分を指差した。「この食事のおかげでこれから頑張れそうです!!」と付け足してお礼を言ったら、シンもアリガト!と続いたので、のりさんもえりこさんも折れた。
自分は今日会ったばかりだけど、ゆみこさんはきっと久しぶりに再会できたみんなに何かしてあげたかったんだと思う。えりこさんの申し訳なさや心苦しい気持ちは充分伝わってきたが、そのご厚意に甘えることがこの場合の正解だったと信じている。

酔っ払いばかりというか、自分以外全員酔っていたので、宿への道を教えた。飲み会に参加して、帰りの運転担当になったような気分だ。別にネガティブな感情ではないけど。
これからみんなは飲み直すらしいから自分はホテルへ戻ることにした。明日も会うえりこさん以外に、19日に会いましょうと一旦別れを告げたが、いや、途中で追い越すか…?と帰路で思い直した。

別れた後の22時5分、ガウディの銀行から鐘のメロディが聞こえた。

噴水もライトアップされていて、誰かにこの光景を見せたいと思った。きっとカテドラルもライトアップされてるんだろうな。行こうかな。いや、明日もあるし、今夜は帰ろう。

ホテルに戻ったが、フロントがまたまた電話していた。仕方なくしばらく待って朝食の時間を聞いたら、7時から10時までと教えてくれた。
部屋の鍵を開けるのにちと手こずっていたら、隣の部屋の男性がちょうど来て挨拶をしてくれたので返した。そのタイミングで鍵が開いたのであまり恥をかかずに済んで助かった。
部屋で一息ついていると同じフロアから子供の泣き声が聞こえた。

今日の分のメモも溜まったまま、追いつけていないまま、眠気が来てしまった23時20分。
右手首が痛いし、フィステーラまでの予定も立てないといけない。今までの計画を大きく変更するのなら余裕はなくなるだろう。厳しい日々がこれからの自分を待っている。


今日の歩み
Mansilla de las Mulas – León / 20km


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