サンティアゴ巡礼 -フランス人の道- Day 24

5月5日。
6時前起床。スペースがあるから準備もしやすくて、強力な寝癖を直していた時間を含めても、6時半にはあらかた片付いていたが、まだ朝食の時間には余裕があるので音楽を聴きながら過ごしていた。最後の曲はFeederのFeeling A Moment。

忘れ物をチェックしていたら歯磨き粉だけ忘れそうになっていて危なかった。7時に合わせて一階へ下りた。

フロントには初めて見る眼鏡のお兄さんと、初めてではない太ったおばちゃんがいたのだが、待合室のような部屋に荷物を置いていたらお兄さんから朝食は8時からと言われた。
ええ…7時って聞いたよ…?確実にあのスキンヘッドから…と戸惑いつつも、これから1時間待つのも嫌だし、すぐにでも出発したい気分だったので、朝食代を返金できるか尋ねたら、多分できると思うと彼が言ったので一安心。
しかしおばちゃんから、返せない。クレカで払ってるから、という上げた直後に落とされる急展開。なんてことだ…。そこにレジはあるのに…。一言も謝りもしないし…。
えええ…どうしよう…。土日は8時からなら言っておいてくれよ。いや、あのスキンヘッドが言い間違えたのか?最初スペイン語で説明してたもんな。でも英語に言い換えてSeven to Tenと確実に言っていたし、その場でメモも一応したから間違いないはずなんだけどな…。
うーん、1時間も待つとかないわ…。でもどこかで食べないといけないし、このまま出れば払っている代金も無駄になる。シャワーもひどかったし、ホテル選びに失敗した。10点評価なら2か3だ。

眼鏡のお兄さんは夜勤だったようで私服で帰って行って、フロントにはおばちゃんだけになった。
うーん。一旦部屋に戻るか。イライラせずに余裕を持とう。でもまさか戻ってくることになるとは考えてもいなかった。時間がもったいない。今日は歩く距離も長いからアルベルゲの確保も心配なのに。
これじゃあ陽気な国じゃなくて、ただ無責任で適当なだけだ。だが時間を確認せずに先に支払いを済ませる自分も不注意だった。みんな愚かで、みんな悪い。
夕方かな到着するのは。しっかりと計画を立てたからそれをスムーズに進めていきたいのに。今日は休憩時間をそんなに取っていられなくなった。

食べ終わってそのまま出られるように靴紐はしっかりと結んだ状態で、8時前にまた一階へ下りてきた。やっぱり9時からですとかはやめてね。巡礼者らしきおっちゃんも1人待っていた。
食事会場の方にはあの元気な女の子はいなかった。バルセロナのジェラール・ピケを太らせたような男性だけ。
巡礼者2人は朝食を食べずに出発して、ブエンカミーノと言われていた。しばらく姿が見えなかったが、入り口で道を調べていたのだろう。

苦しいくらいの満腹になるのは歩く上ではデメリットが多いのでおかわりはしなかった。まあ、ケーキは食べたけど。可愛い。

8時22分に出発。グラシアスはあったけどブエンカミーノはなかった。掃除のおばちゃんにバックパックが邪魔だったかなと謝ったらいいのよいいのよとやってくれたから気分は悪くない。
でも食べた直後だけど事情が事情だけに焦るよね。信じられないほど遅い出発時間というわけでもないけど。

やっぱりここを通る巡礼者はいるな。普通に正規ルートなのかもしれない。

前方を双子コーデみたいな2人が歩いていたが、一番最初に挨拶したのは自分を追い抜く自転車カミーノだった。
地元の人とももちろん挨拶。あるおじいちゃんは、あっちの道だからな!間違えるなよ!と教えてくれて、やっぱり歩き旅って楽しい!と気分が上がった。
でも気温が寒いから鼻水は出るし、両足首が痛くて、靴紐を少し緩めた。なんだろうな。かなり痛い。久しぶりの重い荷物に体がビックリしているのかな。


自分より先にホテルから出た2人は日本食レストランで隣に座っていた男女だった。なんだか嬉しい。


返事はあまり期待せず、小さな挨拶をすれ違う地元の人に送り続けたが、高確率で返してくれた。やっぱりスペイン人のことは嫌いにはなれない。温かいじゃないか。本当に素敵な笑顔でオラ!と言ってくれた犬を散歩中の男性が最も印象的だった。

足も馴染んできたのでスピードが出てきた。そして双子コーデが増えていて面白い。後ろは女性2人、前は夫婦で、どちらも爽やかだった。


前を歩いている年配の女性はもしかしたら初日に誕生日だった女性では…?と思ったが、もっと柔らかい雰囲気の人で、素敵な笑顔で振り返ってくれた。うん、カミーノピーポーも好きだ。

イヤホンをつけた高身長女性を追い抜いた後に、後ろから彼女の大きな歌声が聞こえてきた。さっきの挨拶はクールなHiだったのに。みんな楽しませてくれる。

沢山の巡礼者がいて、その数だけ追い抜いた。でも今追い抜いている人たちはプラン的にもう会う可能性は低いだろう。最後のサンティアゴだけはわからないが、その袖を擦る出会いの儚さを感じながら、オラだけでなく、できるだけブエンカミーノをつけることを意識して挨拶をした。

坂道を上りながら、どんどんと街から離れていく8時54分。

可愛くて愛嬌もあったブロンド女子も絡む暇もなく自分の背後へ。
9時までに30人は追い抜いて、その5分後にはもう10人追加。水を得た魚のように久しぶりの歩きにいきいきしながら足を進めた。どうするにしろ疲れる瞬間は必ずやって来るから今は何も気にしない。
午前中のうちにえりこさんに追いつけたらいいけど、それはまあ厳しいだろうな。彼女の回復具合や今日の目的地による。

30分飛ばし続けるのはキツかったのでペースは緩まったが、まだ止まることなく歩いていく。


ガソリンスタンドの影に男女がいた。男性の方はガイドブックを開きながら予約?の電話をしていたのに、自分に気付くとわざわざブエンカミーノと言ってくれた。

あの月はいつまで見えるだろうと青空に浮かぶ月を見て思った。次の満月はいつかな。サグラダファミリア辺りで見られたら最高だけどちと遅いか。

今日は長い1日だ。そしてこの町にも巡礼者は多くて、町を抜けるまでに15人は見かけた。

挨拶をするときに思わずNice feather!と言うと、奥さんから笑顔でお礼を言われた。

ここには分かれ道があり、その瞬間にこの場にいた何人かも分かれて進んでいた。

フランス人の道は直進を示しているのでそちらを選んだ。だが道の先には迷いながらスマホを確認している韓国人のおっちゃん1人だけで不安になった。
確かガイドブックでも分かれ道は載っていたが、どちらにしら今日の目的地は分かれ道の合流後だったはず。左のオルタナではなく、このレギュラールートで問題ないだろう。

しかし明らかに向こうの道を行く人の方が多い。そのことを疑問に思ったが、こちらが国道沿いの道だからだと気付いた。景観は向こうの方が楽しそうだ。



これからどんな出会いがあるかはわからないけど、巡礼の道の経験がある日本人はもう諦めた。でももう少し出会いたい。

こちらにも人がいて安堵。きっとこの夫婦も後ろから人が来てホッとしただろう。

トンネルの前後にあった道に少しストレスを感じたのは、直進だと100mくらいの道を、遠回りを強いられて500mほど歩かされたから。

レオンとの位置関係や分かれ道の存在など致し方ない要素は多いが、前に人が見えなくなってしまった10時。9時37分の更新で7km手前なので今は8kmは歩いているだろうか。期待していたよりは遥かに進んでないけれど、一応前へは進んでいる。

なにこのアルベルゲシャレてる…イケてるパン屋さんみたいだと思った。えりこさんが泊まっていたなら羨ましい。

看板では脅しているけど。

その彼女は2時間半以上前にこの町を出ているはずだが、今はどこにいるのだろう。


レストランの横を通る際に嗅いだ匂いで、トルティージャだけでなく、スペイン料理自体飽きてきたよなと思った。典型的なスペイン料理といった感じの料理はあまり食べていないのだが、バリエーションの少ない巡礼者メニューで出る品目にもう可能性を感じられない。

綿毛状態のたんぽぽが無数に咲き並んでいたので、我慢できず一本だけ吹き飛ばした。新たな命への一息なのですお許しください。
それにしても、奥に見えているあの道は何だ。全然グッとこないし、登りがエグそうだ。


久しぶりにこの手のカフェを見る気がしたが寄りはしなかった。知り合いがいないのはわかっているから。実際面識のない人たちばかりだったし。

歩きながら回復はできないものかと意味不明なことを考えていたように、歩きっぱなしなのでさすがに疲れてきた。今さっき通り過ぎたコカコーラの自販機があるベンチにでも少し腰掛ければよかった。焦りすぎは逆効果だ。
すぐ先に確実にいると知っている相手がいるので、早く追いつきたい気持ちはあるのだが、でも早く追いつくということは相手にとっては良くないことだという現実。

やっぱり登らせるよね!!とハイテンションで絶望したが、道は逸れていた。

やっぱりこれは防空壕に見えるし、何気にこっちも上り道っていうね。


また先程の道へ合流。


10時半過ぎに鼻をかんでいたら、馬のとてつもなく大きな鳴き声が突然聞こえてきて心底驚いた。ひひーん!!!!!じゃないっすよ。

コーラが飲みたくて、パーカーが脱ぎたくて、パックパックを一旦下ろしたい。でもしばらく何もなさそうだ。

見覚えがある気がする後ろ姿だったが、ブルゴス空港でも追い抜いた冴えない女子ではなかった。バンダナを巻いた美人のメガネ女子だった。
カードをシャッフルしたように、近くの人たちが入れ替わったが、これだけさっさと歩いていたら絡みは生まれない。一期一会だ。

ふと後ろを振り向くと、さっきの女性が膝に手をついていた。疲れるよねそりゃ。

道端で治療中のおっちゃんもいた。みんな頑張っている。


以前にも書いたが、巡礼の旅は現在・今として歩いている時間以上に、振り返ったときの方が面白いことがある。だから無理をして怪我をするなんてご法度で、できるだけ楽しむことが重要だ。経験者は皆そう言う。
時には荷物サービスを使ったって、音楽を聴きながらだって、何も問題はない。楽しんだもん勝ちだ。深く重たい理由を抱えながら歩く人もいるだろうが、大抵の人は何にも縛られてないわけだし。
忘れていた。自分で鎖や足枷を作っちゃいけない。でも持つべきこだわりは持ち続ける。とりあえず自分は達成感を少しでも上げるために今荷物は下ろさない(下ろしたい)。

若い男性と若いおばあちゃんを抜いた。2人ともサングラス姿だったが、自分は掛けるタイミングを失っている。店もありそうでない。硬いサンドイッチももう飽きた。 

そういえば出発からずっとノンストップだな。3人の自転車からブエナスと挨拶をされて返すとサムズアップされた。

お、カフェバー発見。

入り口前のテーブルに巡礼者夫婦がいた。現在の距離は16km。まあ半分くらいか。

でも食欲を感じなかった。りんごをシナモンや砂糖で煮たものなら食べたいし、キッチンがあれば作れなくはないけど、こいつ夕食のときに何作ってんだよ…って周りの目があるもんな。ってことでいつものコーラだけ。

ジョン・レノン似の人形の横にスタンプがあったから押してみた。靴を脱いだら足跡が濡れていた。それだけ汗をry

店を出て階段を下りると、巡礼者のおっちゃんからここは良い店かい?と聞かれた。まあ…特に不満はなかったから、ブチ切れてガラスを割ったりはしなかった。

しかし店のすぐ先に自販機があり、コーラも1€だったので、別に自販機でよかったな…と。まあいいけど。

もし近くにいたとしても、早めにアルベルゲに入られたらもうわからないまま通り過ぎちゃうな。誰かに会うことは容易いけど、誰かに会うことは難儀である。

さっきのメガネ女子がベンチで腰掛けていた。近くにいても、同じ宿に泊まっても、あまり接することなく出会わなくなる人たちもいる。出会うこと以上に、繋がりが生まれるというのは奇跡なのかもしれない。

正午前、町が見える位置のベンチに、日本人顔のおっちゃんが座っていたが、少し距離があったので手だけで挨拶するだけだった。


変なかかしを作るからカラスが無駄に集まるんや。そういうとこやで。

300kmはとっくに過ぎていると思っていたサンティアゴが残り298kmになっている。移動しとるで!!!

休憩のかいもあってまた歩けるようになった。まだ先は遠いが、33km先に行くには33km歩くしかない。ブエンカミーノと声を掛けてくれる地元の人もいるのだから頑張ろう。

雑木林の中みたいな場所で、上半身裸で服を乾かしたり、何かにヤスリをかけている男性がいた。ちと怖かった。


この矢印を信じて進んだのに。

左へはまだ曲がらなかったのに。

行き止まり。

苦肉の策で畑から道へと戻った。でも絶対引っ掛かる人いるわ。

いやー、果てしない…まじか…とお口あんぐり。なんて道だ…いや…それは知ってるけど…。


ずっと歩いているのに景色は一向に変わらなかった。ひたすら、ただひたすらに歩き続けた。

ってかあの遠くに見えているタワーみたいなのは何だろう。鳥栖ジャンクションかな。

地面を見ると今日は蟻を大量に見かけるなと思う。巣への入り口も沢山あったし、きっと地下には蟻の千年王国があるに違いない。

こんなに長い道なのに、左側を歩く水色っぽい服(白と青のストライプシャツだった)を着た男性と自分しかいなかった。遠すぎて見えてない人を除けば、だけど。


お、もうサン・マルティンか。ここは当初自分が滞在しようとしていた町で、えりこさんにとっては多分20kmなのでこの町でストップしていそう。


うん、貯水タンクかな。

アルベルゲはあったが、巡礼者の姿は外からは見えない。今日自分と同じくオスピタル・デ・オルビゴまで進んでいたら面白い。まあ後で連絡してみよう。

はい、322km。この勢いでハワイも日本に近付いてくれたらバカンスが捗る。数時間で数十km移動してるじゃないか。多分1週間後には残り1000kmになっているはず。


出た。また果てしない道。でもこれを歩き切れば、かなり距離を稼ぎ終わっているということだ。
後ろから男性が一人来ているのも見えた。オスピタルをともに目指そうではないか。

スプリンクラーの水が少しかかって気持ちよかったのに、すぐにあまり綺麗とは言えない水路からの水だとわかって真顔に。



何かがかさかさと動いているぞ…と警戒していたらイモリのような爬虫類が何匹かいた。突き出ている枝なども目に入りそうで怖かった。

すれ違うはしご車のような車がクラクションを鳴らしたので運転席を見ると、自分に向けておっちゃんが笑顔で手を振ってくれていた。腰に手を当ててうつむきながら歩いていたから辛そうに見えたのかな。前を歩く夫婦には鳴らしていなかったのに、優しいな。スペイン人好きだな!

ヘビか…?とビビっていたら、ただの黒くて長い何かの切れ端だった。でも100個の蟻の巣と10匹のトカゲの日だからヘビがいたって不思議ではない。

ぐねっと曲がった車のバンパーが落ちていたけど。不吉な気がしたから写真は撮らなかった。

そして2時。さすがに疲れてきたなタイム突入。でもあとちょっとだ。



(現在27kmはどう考えてもおかしい。歩幅設定を正確にすればいいだけの話なのだが)

何の塔だこれは。また貯水関連か…?

午前8時半に出て午後2時に、どこも痛くならないまま到着。素晴らしい。良いアルベルゲにありつければ完璧だ。

さあ、この町には誰かいるかな。

え、なんだこの町。素敵だぞ…と意表を突かれたようだった。何より素晴らしいと感じたのがこの石橋。モデルプランの紙では通過地点だけど、ただ通り過ぎるには惜しい町に思えた。

後でガイドマップを読んで、上のオルビゴ橋は「名誉ある足跡の橋」という別名もあり、恋の逸話が残っていると知った。
逸話の内容は、姫に恋したレオン出身の騎士が、9人(もしくは10人)の仲間とともに戦って、一ヶ月誰もこの橋を渡らせないか、300本以上の槍を折る(=勝負に勝つ)と宣言して、様々な国からの挑戦者と戦い、一人も橋を渡らせなかったとのこと。
でもなんていうか、恋のためなら何でもありで美談になるのかもしれないが、普通に橋を渡りたい人もいただろうに、近くまで来て戦わなかった人は「臆病者」と呼ばれたらしいし、普通にはた迷惑な野郎だ。まだ一人で戦うなら男らしいけど、なんかいっぱい仲間も揃えてるし。

川の中で釣りをする人たち。

どのアルベルゲに行くか迷うな。

こっちへ進んでみよう。

地元の人で賑わうバーに入ったら、おっちゃん店員が奥だよと教えてくれた。それから受付をしてくれたのはおっぱいの発育と引き替えに英語がほとんど喋れないお姉さん。
10€の4人部屋で残念ながら下段のベッドは埋まっていた。その自分のベッドの下はカナダ人のおっちゃんで、JapanかKoreaかを聞かれた。今日はレオンから?とも質問されて、うん、33kmあったよと答えると、ふぅ…それは長い…という反応だった。
どうやらえりこさんもここオルビゴに滞在しているらしい。なんかわんちゃんいっぱいのアルベルゲと写真が来た。羨ましすぎる…。朝食が1時間早ければ…!!

排水がちょっと詰まっていて遅かったけど、それ以外は清潔で、何よりホットシャワーだったので満足。
そのシャワーを浴び終えて、バスルームの中で服を着ているときにもう声でわかったけど、もう1人先に来ていた人はドイツ人のサッカーおじいちゃんで、顔を合わせるとお互いに笑った。実質わんちゃんみたいなもんでしょこれ。
相手が英語を喋らないのでよくわからないけど、今日は長い日だった…みたいな感じだったので、両手で指を3本立てたらSixteen?と聞かれたので33と教えると、こっちもふぅー!というようなリアクション。
彼に限ったことではないが、明日はどこまで?と定番の質問をし辛いのは、どうせ自分の方が遠くへと進むから。

散策がてらえりこさんのアルベルゲに遊びに行くことにした。できたら近くのスーパーでアクエリアスを買ってがぶ飲みしたい。

ATMもあるし、意外とデカいなこの町という率直な感想。だがもっと早くこの町に到着していたとしても、一緒のアルベルゲになることはなかっただろう。向こうのアルベルゲは町の最初の方にあるわけじゃないし、彼女のようにリサーチもしていなかったし。

道路標識を見るとレオンがもう後ろになったんだなと改めて感じた。サンティアゴと書かれたものが見られる日はいつだろうな。

ここか。

道路からも見えるわかりやすい場所にいてくれた彼女に、一旦スーパーに行くと伝えてシエスタ前のDiaへと急いだ。ってか本当にわんこと遊んでるわ。ふうううううう!!!テンション上がるうううううう!!


飲み物は買ったけど、なぜ軽食を買わなかったのかはわからない。

そしてアルベルゲの庭に来た。優勝なアルベルゲじゃないか…と思った。室内はインド系の雰囲気で、瞑想をみんなでしたり、家庭菜園で育てたベジタリアン料理のディナーが出るらしい。評価が高いのは調べて知っていたけど、犬がいるのはサプライズだったとのこと。
ちなみに彼女は今日、6時30分に出て12時には着いていたみたい。距離は昨日が7kmで、今日が24kmと言っていた。 

ゆみのり夫婦があの最高に感じ悪かった女性(なっちゃんという名前らしい)と一緒なのはレオンで教えてもらっていたが、愉快なことに、シンは新幹線そのこさんと一緒のようだ。いや、面白すぎる。後者のペアはなかなか強そうだよね。ってかなっちゃんはどんな子なんだろうねと話した。自分たちはほんとに酷い印象しかないから。
2人の年配者について、ただ家族みたいに温かく迎えてくれただけじゃなく、歩き旅経験者の母、シューフィッターもどきの父という頼れる存在だったことにも、彼女が心から感謝している気持ちは知っていたが、正直今は複雑な気持ちだろうなと感じた。
極端な言い方をするなら、感動的な別れの後、2日間えりこさんは足の痛みに耐えながら一人で歩いていたのに、両親が嫌な女に取られたというか、娘的立ち位置をあっさりと奪われたような形なわけだし、彼女自身、なんか新しい家族を見つけたみたいと少し寂しそうに話していたから。

でも別に恨み節を言っていたわけではないんですよ。えりこさんの腕の皮は日焼けでぺりぺりとめくれて飛んでましたけどね。ええ。ここからは怒涛のわんこショーです。


モデルプラン通りに行動すると宿が混むから、できればずらしたいと言うのを聞いて、自分も『波』に完全に追いつけないのなら、ずらすのも大いにありだなと思った。レオンからスタートする人もまた増えてそうだし。
さすがに疲れてきたなタイムについても話した。その日の距離に関わらず、残り3kmくらいになるとドッと疲れを感じる現象のこと。それに彼女も共感してくれた。
スペイン料理が飽きたという話題もあった。最も飽きてしまったのはトルティージャかな…と言うと彼女も同じということだった。最初はなんだこの最高な食べ物は!と思ったらしいが、まあ、選択肢が少ないから飽きてくるんだろうな。
そして、一番聞きたかった、なぜ歩くことになったかという質問をした。すると、定番なのに話してなかった!とえりこさん。質問の返答は、一年前に仕事を辞めるってなったときから行きたくなって、それから本気で調べたりしていて、今回タイミングが上手く重なったらしい。なるほど。

19日にムシアからサンティアゴへと戻ってくるバスが、めっちゃ朝早いのと夕方に出るのとで二便あるという話をすると じゃあ朝早く帰ってきなよと言われた。
明日ちらっと会うかもしれないが、彼女とは今日でしばらくお別れだろうか。2週間1人だー…と言っていた。彼女にどうか素敵な出会いがありますように。

何かの音がしてフェンスまでダッシュで移動した3匹。

↓はえりこさんがシンに「Ryo is busy now」と送った写真。



お腹の上で眠るわんこ。

 
 
 
 
 
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黒い子が子犬を噛んでいじめていて、それを助けたヒゲの男性がゴジラ…と呟いていた。彼は日光浴をしながら読書をしていたんだけど、会話を聞いていて自分たちが日本人とわかったのかな。


そのパピーちゃん。甘え慣れている他の子と違うので、甘噛みというより、ガチ噛みをしてきていて普通に痛かったけど、尋常じゃないくらい可愛いかった。

あれ…?ちょっとBAE過ぎませんかね!?

この庭で2時間ほど話しながら、犬と戯れたり、サングラスを掛けて雲の動きをのんびりと眺めたり、ブランコに揺られたり、本当に素晴らしい時間を過ごした。宿泊者じゃないのに()
ブランコの近くにいたブラジル女性とも話した。彼女はかつてフランス人の道とポルトガルの道を歩いた経験があり、今はこのアルベルゲにボランティアでいるとのことだった。(ゲストハウスでいうヘルパー的な役割だろう)

アルベルゲの瞑想の時間の18時が近付いたので帰ることにした。別れ際にまた会いましょうと言うと、余裕で追いつくんで!と返ってきた。お待ちしてますと笑いながら言った。
ランドリーでふかふかになっていた服も毛だらけになってコロコロを使いたくなったけど、もふもふのおかげでとても癒された。この予期せぬ穏やかな時間はカミーノの印象的な想い出として強く印象に残っている。

わんこのいないアルベルゲへの帰り道。

宿に朝食があるかわからないし、早く出たいっちゃ出たいから、朝食になりうるものを買った。さっきは開いてなかった小さなスーパーで。

アルベルゲの入り口と部屋の鍵を受付のときに渡されていたんだけど、入り口で手こずっていたら中にいたカナダ人男性が開けてくれた。一方ドイツ人おじいちゃんはベッドで寝ていた。

ディナーの時間を聞くためにバーの方に行くと、背の高い男性がちょうど何かを質問をしていた。セブンオクロックと聞こえたが、多分ディナーのことだろう。

部屋の外が騒がしくなってきたので、寝っ転がっていたカナダ人おっちゃんに、窓閉めましょうか?と聞いたら、気にならないから君が気になるならでいいよ、僕は気にしないと返ってきた。
それからマップを見ていた自分に、明日はどこまで?と聞いてきた。エル・ガンソへ行くと思うと答えると、その町には一つのアルベルゲしかなくてベッドも30しかないから気をつけるんだよと教えてくれた。彼は明日は距離を抑えてアストルガまでで、それからはモデルプラン通りに進めていって、サンティアゴでは妻が待っているらしい。
部屋を出る際に、あとでね、おやすみと言われたけど、ディナー会場は一緒ではないのかな。

一風変わったメニューがあることを期待してレストランの方へ移動したが、いつもより選択肢は多いけれど、そこまで違いはない。しかもゆっくり選びたいのに、笑顔なしの強そうなおばちゃんウェイトレスに急かされた。

自分以外にはドイツ人おじいちゃんやヘッドホンをしたままの(電話をしていた)男性と、もう一人見るからに下品な東アジア系のおっさんがいた。
ああ…さっきの自分へのと、白人への対応が全然違う…とおばちゃんを見ているとわかった。でもその理由がこの場にあるのなら、それは東アジア系のおっさんのせいでアジア人のイメージが悪くなっているからだ。
とにかく汚すぎるおっさんだった。嘔吐でもするのかといった感じの咳やえづきを食事中に幾度となく繰り返し、口の中に何かが残っているのかは知らないが、永遠にくちゃくちゃと音を立て続けていた。後から来たフランス人夫婦も小声で彼について話していた。あまりに品が無さすぎる黄色人種だった。

パスタは毎日でも食べられる。具材としてのチョリソーの切れ端は違和感があったが、パスタ自体はわりと美味しかった。パンは冷たくてとても美味しいと言える代物ではなかったが。

チキンを頼んだのにポークが来るっていうね。そして不味いというオチ。外国人も日本人も言うようにスペインの料理は美味しくないのだ。(お昼を食べてなかったこともあり完食はしたけども)

またアジア系のわりと若い男性が来たが、かなり日焼けをしている彼は延々とため息を吐き続けていた。そして隣のテーブルの下品なおっさんと会話を交わしていた。
やっぱり韓国人でしたか。いや、良かったよ、日本人じゃなくて。韓国人が下品なことに驚きはないから。

もうチーズケーキにすべての救いを求めた。こっちはまあまあ美味しかった。

2人の韓国人と絡んでいない自分が同国の人間ではないと理解したフランス人夫婦の旦那さんと目が合い、彼らはやれやれだね…ってな感じでお互に苦笑いを交換した。
自分は何も悪いことはしていないのに、ウェイトレス&調理のおばちゃんからはお釣りのお札を投げて渡されて、人種差別じゃないか…と思ったが、同じ肌の色をした韓国人たちの下劣さを見ていれば、こういった風評被害を受けても仕方がなかったし、文句を言うことはできなかった。
でも最後立ち去るときにフランス人の旦那さんだけでなく、奥さんもにこやかにバイバイと手を振ってくれたから救われた気持ちになった。 わかる人には違いがわかるんだ。

部屋に戻ってからは、改めてカナダ人男性の紳士っぷりを感じた。先程はこの先のアルベルゲの情報を教えてくれたが、今度は椅子に座りたいだろ?使いなと譲ってくれたし、ベッドに上がった状態で自分が充電ケーブルを落としてしまったら、それを上まで拾い上げてくれた。いったいどこまで優しいんだ…と感動した。些細なことではあるが、そういった気遣いができる人が人格者なのだ。

ロシア語が書かれたアシックスの青いTシャツを来た男性が、自転車用のヘルメットが置かれていたベッドにやって来た。カナダ人男性が彼に君は自転車かい?と確かめてから、何日掛かるのかを聞くと5 daysということだった。え、5日!?と驚くのは当然のこと。1日160km進めば可能だが、それにしても5日は短い。本当にあっという間だ。
だがその彼はシャワーから戻って来ると、でも歩きの方が楽しいと思うと言っていた。彼の強靭な肉体なら余裕で歩けると思うけど、時間を確保するのも大変だしね。
楽しさを何で感じられるかにもよるだろうが、旅の日数が少なくて、走行しながら話しづらいという点では、出会いや交流の数も少ないだろう。また景色をじっくりと眺めるのも難しそうだ。

さて、明日は何時に起きようと考えて、6時にアラームを設定した。鳴ったとしても一瞬で止める。7時半には出発したいな。

もう8時半なのだが外から「マルコ!マルコ!」といった感じで子供の声が聞こえた。どうやらサッカーボールを追いかけているようだ。指笛を吹いたあとにバカー!という声もした。

やっぱり窓を閉めようという流れになり、閉めていいかい?とカナダ人おっちゃんが聞くから食い気味でYesと答えた。丁寧に雨戸のような部分まで閉めてくれた。

もう1日早めてサンティアゴ15日着にしても、マップ通りの波にいる人々が到着するのは昼過ぎだろうし、まだ迷うなあ。毎日知り合いは増えるとは思うんだけど。

9時前に目を閉じて眠っていたのだが、12時前に目が覚めた。なんだか夜中に起きてしまう。歩いても起きるとは。
パンツ一枚で寝袋に入っていた隣の男性もしばらくして起きてからスマホを触っていた。巡礼時の睡眠というのも大変だ。共同生活で、毎日違う宿だし、ストレスはあるだろう。いや、巡礼に関係なく、睡眠自体が大変なことだ。不眠気味の自分にとっては特に、きちんと睡眠が取れるというのは幸せなことに思える。
とりあえず水を飲んで、今度は朝まで眠れますようにと願って再び目を閉じた。寝袋もライトダウンも脱いで、ブランケットだけで寝ているのは、部屋が暖かいから。

おわんこ様のおもふもふパワーのおかげもあって、本当に今日という日は素晴らしい一日だった。だが明日からは自分にとっても、完全に一人の時間が始まる。


今日の歩み
León – Hospital de Órbigo / 34km


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