サンティアゴ巡礼の持ち物リスト

スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへと向かう巡礼旅(またの名をカミーノ巡礼、スペイン巡礼)の持ち物リストを作った。
自分はカミーノの前に熊野古道やお遍路を歩いた経験があるので、そういった過去の経験も踏まえた上でのリスト化。多分どのブログよりも参考になる最強のリスト。
自分が歩いたコースはフランス人の道だけど、ポルトガルの道や北の道などでも共通する物がほとんどなはず。

カミーノに初めて行く人の傾向として、歩き旅自体が初体験の人が多いと思うが、そんな人にとって手助けとなるような記事になることを願う。もちろん巡礼経験者の参考にもなるように。老若男女問わず。

以下がリスト。太字はより重要な物なので、必需品と捉えて構わない。

巡礼必需品

  • 巡礼手帳(クレデンシャル)
    アルベルゲ(宿)や教会でスタンプを押してもらうための手帳で、これがないとカミーノ旅を続けられない。日本国内でも購入できるが、出発地点の巡礼事務所にて2ユーロで入手する人が大半。
     
  • パスポート
    宿に着くと身分証明書として巡礼手帳と一緒に提出する。当然無くしたらシャレにならないのでご用心を。
     
  • 現金
    道中は田舎を通過していくので、クレジットカードはアルベルゲでは基本使えないし、レストランでも使えないことがある。自分は現金が少なくなってくるとATMで200ユーロを引き出していた。ATMがない区間も結構あるので常に100ユーロは持っておくと安心。
     
  • クレジットカード・キャッシュカード
    クレジットカードの海外キャッシングが自分はあまり好きではないので、あらかじめソニー銀行で外貨預金(ユーロ)をして、Sony Bank WALLETというVisaデビット付きキャッシュカードで現地通貨のままやり繰りしていた。ATMを利用するたびに両替手数料が掛かるといった事態が起きず、我ながら賢い選択だったと思う。
    でもどちらにしろATM手数料は掛かるので、海外旅行保険が付帯したクレジットカードで問題ないと思う。保険がある場合は緊急連絡先のメモ等を忘れずに。

歩行時の装備

  • バックパック
    30L~50Lが適当。それより小さいと小さすぎるし、大きいと大きすぎる。
    ここで、カミーノを快適に過ごすために一つオススメしたいのが、バックパックに日の丸(日章旗)を付けるということ。いや…国旗とか恥ずかしいし…何を言ってるの?と思われるかもしれないが、実はカミーノのアジア人参加者の97%(当社調べ)が韓国人で、欧米人はその大量の韓国人たちにうんざりしている部分がある。
    彼らには顔の見分けがつかないからアジア人=韓国人と思っているわけだけど、自分が日本人だとわかった途端に接する態度が変わったということが何度もあった。だから騙されたと思って付けていってほしい。「Korean?」と聞かれる回数が大幅に減るのは間違いないし、国旗を付けている人は他国の人にもいるから。
  • ホタテの貝殻
    巡礼者のシンボル的な存在で、ほとんどの巡礼者がバックパックにくくりつけている。現地で購入してもいいし、海辺で拾った貝がらに紐を通して自作してもいい。
    必需品ではないが、周りのみんなが付けていたら欲しくなるのが日本人の性。出発地点で入手しておけば気にすることもなくなる。
     
  • トレッキングシューズ
    事前に必ず履き慣らしておくこと。履き慣れているからといって、ウォーキングシューズやランニングシューズを履くのは絶対にやめておこう。歩き旅にトレッキングシューズは必須。
      
  • Tシャツ・アンダーウェア
    速乾性の物を3セットがベスト。洗濯乾燥が上手くできない(追いつけない)日が必ず訪れるから2セットでは心もとない。
     
  • 長袖シャツ(山シャツ)
    温度調整・日焼け対策のために1枚持っておくべき。
     
  • トレッキングパンツ
    登山でも使えるような長ズボンが無難かな。どんな格好で歩くかは自由だから、ショートパンツ+タイツというような組み合わせもありだけど。
     
  • スポーツタイツ(スパッツ)
    毎日6時間は歩いてるし、旅は長いので、無駄にはならない。
  • 下着
    こちらも3セットがいいかな。モンベルのジオラインは速乾性・制菌効果があるのでまったく臭わず快適だった。
     
  • 靴下・ソックス
    五本指ソックスとトレッキングソックスの二枚履きスタイル以外で歩き旅をしようとは自分は思わない。暗い部屋で五本指を履くのはちと難儀だけど。一枚履きで問題ない人は一枚でも。
     
  • 日差し対策
    帽子、サングラス、日焼け止めといったところ。スペインの日差しは想像以上に強いのでご注意を。ちなみに道は西へと続くので(午前中は特に)首の後ろ部分のケアを入念に。
     
  • 雨対策
    歩き旅ではレインウェアではなくポンチョ一択だと思っている。ポンチョを補うレインパンツを履けばより防御力は増す。バックパックにはレインカバーを。
    ポンチョに加えて一応ゲイターも持って行ったけど要らないっちゃ要らなかったな。折りたたみ傘は宿到着後、雨の際の買い出しなどで使う可能性がある。
     
  • 防寒対策
    時期によって何を持つかは変わるが、フリースやパーカーといった防寒着が必要。
    自分が歩いたのは4月5月だったけど、まさか5月の朝に氷点下になるなんて微塵も想像していなかったので、手袋やネックウォーマー(ニット帽)を持って行くべきだったと後悔した。
    スペインの気候は本当に極端。同じ場所でも、日向はめちゃくちゃ暑いのに、50cm横の日陰はめちゃくちゃ寒いといった状況もしばしば。
     
  • ストック(トレッキングポール)
    山道を含めてアップダウンはもちろん存在するので補助にはなるが、平坦な道の割合が大きいということを考慮すると、必須とまではいかない気がする。
     
  • ヘッドライト
    自分はスマホのライトで作業していたのであまり使わなかったが、消灯後や早朝の作業では役に立つし、まだ暗い時間に歩き始める際にも使える。必須ではないが持っておくと安心。

アルベルゲ到着後

  • サンダル
    汚れたシューズは靴箱に入れることになっているので、受付後にさっと取り出して履けるサンダルが必要。いざとなったら歩きにも使えるスポーツサンダルだと人によっては大いに活躍する。
     
  • 寝袋
    アルベルゲのベッドは枕とシーツしか用意されていないので寝袋は必携。ベッド確保のアピールにも利用される。かさばらずに済むように片手サイズにまとまるものを。
  • マット
    出発後間もない人で稀に持っている人を見かけたけど、絶対に要らない。まだ枕カバーの方が役に立つ。
     
  • 耳栓
    とんでもないイビキ使いが紛れ込んでいるので、100均のアレではなく、もう少し良質なものを持っておくべき。寝起きに耳から外れていることが多々あると思うので、コード付きだと毎朝探す余計な手間が生まれず良し。
  • リラックスできる服
    要は、街散策やパジャマとして使える衣類。自分の場合は、上は明日も着るTシャツ、下にジャージを履いていた。
     
  • ミニバッグ(サブバッグ)
    買い物にも、シャワーの際の着替え等を入れるのにも活躍した。使用時以外は小さくまとめられるタイプが理想。
     
  • 洗濯セット
    常時コインランドリーを利用するわけではないと思うので洗濯石鹸は持っておきたい。(洗濯用ではない石けんで体も服も洗っている人はいるっぽい) 
    S字フックは必須レベル。洗濯物を干すスペースがないアルベルゲもあったので、二段ベッドに引っ掛けて手洗いした衣類を吊るして使っていたし、荷物置き場がないシャワーブースでも出番があった。
    お金を出し合って仲間と一緒に洗濯する際には洗濯ネットがあると便利。洗濯ひもは持って行ったが一度も使わなかった。洗濯ばさみは要る。
    安全ピンを持っておくと、晴れた日中に乾きづらい靴下をバックパックに留めて、歩きながら乾燥させるといった技が可能になる。
     
  • 南京錠・鍵
    南京錠を使っている人は1人も見なかった。皆同じ巡礼者だし、盗まれたくないのもまた同じ。盗難の被害に遭わないように常に警戒はしなければいけないけど。

キッチンがあるアルベルゲでは自炊ができなくもないので、調味料等あると助かるだろう。まあ、キッチンが空いているとは限らないけど…。いつも占拠しているお国の人がいるし…。

衛生用品

  • シャンプー・ボディーソープ
    シャンプーとコンディショナーを無印のボトルにでも詰めたり、オールインワンの物を持っていく等の選択肢がある。何しろ長い旅なので、そう大きな物は持っていかず、途中の大きな街で買い換えるというのもあり。実際にシャワージェルはレオンで買い替えたし。
     
  • タオル
    シャワー後に体や髪の毛を拭かないとびしょびしょになるしね。バスタオルは現実的ではないので、フェイスタオル2枚持ちで。
     
  • 歯磨きセット
    まあ、言わずもがな。
     
  • 爪切り
    伸びないわけがないし、切らないわけにはいかない。
     
  • マメ・怪我対策
    自分のマメ対策は靴下を履く前にワセリンを塗っていた。できてしまったマメへの処置方法は、100円ライターで炙ったミニ裁縫セットの針で溜まった水を抜いていた。その裁縫セットの糸をバカになった皮膚部分に通すと水の抜け穴にもなる。
    絆創膏やキズパワーパッドはもちろん、バンテリンなどを持っておいていいだろう。
    怪我はトラブルに入るが、マメなんて誰にでもできるものだから、そうナーバスにならず、適切に処理をしながら旅を楽しみたいところ。
     
  • 常備薬
    自分に必要な薬を。
     
  • トイレットペーパー
    自分はティッシュも持っていたし、貰ったりもしたのでほとんど減らなかったが、芯を抜いて持っておくと活躍するらしい。お外で突然お花を摘みたくなることもあるかもしれないし…。

シャワーが水しか出ないという地獄の日もあるし、リフレッシュとしても汗拭きシートはあって困らない。体のケアを考えるならマッサージ用のボディクリームなども検討していい。
女性の場合は化粧品や生理用品を追加で。男性の場合は髭剃り関連の物が必要かな。

電子機器

  • スマートフォン
    新たな友人と連絡先を交換したり、地図で場所を確かめたり、宿を予約したり、といった様々な使い道があるし、やはり文明の利器は便利。iPhone同士だとAirDropで写真を交換しまくったりもした。
    落下させて画面を悲惨なことにしてしまわないようにケースをつけたりと対策はしておくべき。
    オススメのアプリは後記する。
     
  • SIMカード・ポケットWi-Fi
    自分のネット通信環境がアルベルゲやカフェなどの無料Wi-Fiスポット依存だったからこそ、なぜSIMカードを買ってこなかったのかと強く後悔した。
    というのも、そういった無料のスポットが少しは存在するとはいえ、人が増えてくると(動画を見始めたり、電話をする人がいるので)ブラウザの更新すらままならないような回線速度になって、毎日ストレスを溜めていたから。道中などではその環境にすらいられないので、せっかくスマホが手元にあるのに調べ物ができず問題を解決できなかったりするとそりゃ苛立ちもする。
    誰かと一緒にいるときにその相手に頼りっぱなしという状態がとても申し訳なく、情けなかったから、持っておくべきだと思うな。備えあれば何とやらですよ、本当に。
    どちらかの選択なら、ポケットWi-Fiだと別に充電が必要なので、SIMカードの方が楽だと思う。
  • 充電器(変換プラグ)
    どのアルベルゲもコンセントの数が限られているから、複数のUSBポートが付いているプラグを使っていると、他の人にもシェアできて電力分配ヒーローになれるかもしれない。
    暗い部屋の中で使用することにもなるだろうから、できれば通電するとLEDライトが点灯しないタイプがいいんだけど、この手の充電器ってどれも光っちゃうから難しい。
  • 腕時計
    どうせiPhone開きまくるだろうし要らないだろ…と持ち物から削ったのだが、現地では充電ができる場所がベッドから離れていることが何度もあって、夜中に今何時だろう…と気になったり、アラームを設定できなくて困ったので持っておきたい。雨天時での使用を想定して防水機能も欲しいところ。
  • カメラ(?)
    毎日スマホで撮影しまくって常に充電不足に怯え、重いモバイルバッテリーが必須だった本末転倒マンが言うのもなんだが、重たいカメラを持って歩き旅をするのは気をつけた方がいい。
    止めはしないけど、100gでも軽くしたいという願望が湧く歩き旅において、一眼レフ等で撮影をする人はよっぽどの強者だなと思う。その強靭な肉体が羨ましい。
    旅の間一眼レフ・ミラーレスを持っている人は見なかったし(謎のビデオカメラ撮影隊はいたけど)、コンセントはほぼ毎日争奪戦に近いわけだから、写真にとらわれず、一瞬一瞬を楽しみながら旅した方がいいよ!撮るとしてもスマホでいいかもよ?と言いたくなるが、まあそれは個人の自由。
    スマホより良い写真を撮りたいからどうしても持ちたい!というなら、ポケットにも入るサイズで、軽くて、高性能なコンデジがオススメ。

モバイルバッテリーは荷物になるから、持たないような携帯電話運用をできるのが賢者です。電源オフか機内モードにしておいて、日中は最低限の利用ってだけなら、そう充電も減ることはないだろうし。でも自分は持ちたい派。念のために。

スマホアプリ

  • 地図アプリ
    オフラインでも地図が確認できるアプリと言えば、真っ先に挙がるのがMAPS.MEだろう。自分はGoogle Mapsユーザなので、歩くエリアをダウンロードしてオフライン利用していたが。
    迷いそうなところにはだいたい黄色いサインが用意されているけど、小さいサインなので見落とすこともあるだろうし、そういった緊急時のために必ず入れておこう。気になるスポットをチェックしておくこともできるし。
     
  • Buen Camino (Guide of the Way of St James)
    情強の巡礼者が持っていて驚いたのがこのカミーノ専用アプリ。日本語は対応しておらず、自分が歩くルートをダウンロードする必要はあるけど(フランス人の道ならFrench Routeを)、最高に有能なガイドアプリだから是非ダウンロードしておいて。
    アルベルゲの口コミやどういった設備が揃っているのかをチェックできるのがいいし、他にも、次の町までの距離が確認できたり、旅の行程・プランを組めたりと、もう至れり尽くせり。
    正直、SIMカードとこのアプリを持っていてカミーノを失敗する方が難しい。cool manだからほとんど使わなかったけど、このアプリの存在には本当にビビった。
     
  • Booking.com or 他宿泊予約アプリ
    予約ができるアルベルゲも一部あるので入れておくと吉。ご存知の通りこちらも口コミ評価が見られる。

連絡先を交換できるアプリ・SNSの代表格は「Facebook」「Instagram」(日本での知名度は低いが)「WhatsApp」といったところだろう。
通貨換算アプリの「Currency」や和西辞典アプリなども活躍するかもしれない。

あると便利な物

  • ジップロック・圧縮袋
    ありとあらゆる使用用途がある。その日は洗うことのできなかった衣類をそのまま他の荷物とともに入れておくことに抵抗がある人などには重要アイテム。
     
  • クリアファイル
    自分以外に持っている人は見なかったけど、パンフレットや巡礼証明書を綺麗に保管したいから持っていた。賢い。
     
  • アーミーナイフ(ホーボーナイフ)
    スプーンやフォークがない場面というのがあったし、いろいろと持つのは大変だから万能ツールを。オレンジを切ったりもできたし、旅をより楽しくしてくれた。
  • 非常食・粉末ドリンク
    カロリーメイトやラムネ、一口サイズのチョコを持っていれば手軽に補給できる。アミノ酸の粉末も自分は持って行った。

重量や荷物嵩との相談にはなるが、アルベルゲで時間を潰せる物があると快適度が増すかもしれない。アプリでもいいけどKindleとかその手の物をね。
一芸があるならその才能・技術を発揮できる物を持つのもあり。大きな楽器を持ち運ぶのは難しいが、美容師のハサミだとかイラストを描く道具だとか。

その他

  • ガイドブック
    友の会という日本人向けに情報提供している団体が出版しているガイドブック。この本を持っている人やモンベルを着ている人を見つけて、日本人だ…!と気付くという現象が起こるとか起こらないとか。
    歩きながら取り出すのは大変なので、必要なページをスマホで撮っておくと便利。
  • 語学力
    スーパーやレストランで使うスペイン語も大事だが、巡礼者同士のコミュニケーションで用いられるのは基本的に英語。英語がどれだけできるかが旅を充実させるポイントにもなる。
    カミーノを歩くのは一生に一度って人も多いだろうし、そのカミーノのために一年間英語とスペイン語を勉強する期間を設けましたってのも賢明かもしれない。
     
  • マナー
    日本人参加者は多くはない。そんな日本人代表と言っても過言ではない状況下で、大勢の外国人に接するわけだから、悪い印象を持たれないように、一人一人がしっかりと振る舞うべきだと思う。
    テーブルマナーや気品に欠ける同じアジア人の態度を見て安心するのではなく、西洋人に対して不快な想いを抱かせないように気をつけるということ。
    例えば、マスクをして気味悪がられたり、食器を手で持ち上げて食べたり、過剰な咀嚼音を出したり、そういったことがないように。

まあ、こんな感じかな。いろいろありすぎて、出発するまでに荷造りで疲れちゃうね。でもきちんと揃えることで旅の間の自分を必ず助けられる。

何より心掛けるべきことは荷物を減らすこと。初めてだと特にあれこれ心配になって、いろいろと持ちたくなるものだけど、荷物の重さを軽くすることが旅を成功させる秘訣。
10kg以内に収めることを目標に、試行錯誤しながらでも、9kgや8kgを目指したって無駄にはならない。
もちろん、リハーサル・予行練習も忘れずに。

あくまでリストは参考に、自分なりに必要なもの、不必要なものを考えてほしい。
道中に巡礼者向けのお店・自販機もあることはあるから、準備も、気楽に、楽しみながら、進められたらいいな。
そして、自分のブログを読んで出発する人のカミーノが、最高の想い出ばかりの旅になりますように。

以上!


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