篠栗遍路の前に

四国遍路を歩き終えて福岡に戻る際に、篠栗遍路にも行くかもしれないからと白衣・菅笠・金剛杖をそのまま持ち帰ってきてから約7年の時が経った。
篠栗というのは福岡県糟屋郡篠栗(ささぐり)町のことで、篠栗遍路(篠栗四国八十八ヶ所めぐり)はいわゆる四国遍路を模したご当地の巡礼コース。その中でも「日本三大新四国霊場」として小豆島八十八ヶ所・知多四国霊場と共に数えられているので、それなりに重要視されている遍路ではあると思う。篠栗の町自体も明らかに寺院の多い町だし、最盛期からは減っていてもお遍路さん向けの旅館もまだまだ残っている。遍路に関心がなくても南蔵院の(ブロンズ製では世界一大きい)涅槃像をテレビで見たことがある人なら結構いるんじゃないかな。


その篠栗遍路にいつか行こうと思いつつ今まで行かなかったのは、簡単に通える距離にあるからこそ、いかにもな格好で移動するのが恥ずかしかったというのは正直ある。
四国のお遍路ほどの浸透度はないから、移動中に知り合いに会ったらどうしようだとかそんな理由で。四国だとあまり気にせず歩けたんだけどね。
そういった抵抗を取っ払うためにも、篠栗(観光協会)側は「SASAGURI 88 HENRO」 とプリントされただけの普段遣いもしやすそうなTシャツ等を販売したりといった努力をしていたりもする。

じゃあ今年行ってみるか、というきっかけになったのは、先日久しぶりに南蔵院に行って、お土産屋さんで篠栗遍路専用の納経帳を見ていたら、当たり前っちゃ当たり前だけど、手を伸ばせば、足を少し伸ばせば、遍路が歩ける場所にあるんだなと改めて実感したから。その場の勢いにも任せつつ納経帳と巡拝図を購入した。
 

一緒に歩きたいと言ってくれる人もいたので、そう無理のないペースで何回かに分けて打って、今年中には結願したいと思う。
四国遍路の1200kmに比べて、篠栗遍路は50km程だから難しくはないはず。膝はいまだに完治してないし、歩き慣れていない初日からほぼ確実に20kmは歩かされるというハードルはあったりするけど。
格好はまだ迷っている。本当は笠も杖も持ちたいけれど、すぐに着替えられる白衣だけでもいいかな、どうかな。

篠栗遍路の歴史も(超)簡単に説明しておくと、
江戸時代、四国遍路の帰りに篠栗へ立ち寄った尼僧が、弘法大師空海も訪れたとされる町が困窮している姿を見て、胸を痛め、その地に留まり、要は村おこしのような形で村人たちと協力して88箇所の堂宇を建立したのが起源らしい。
四国遍路と違ってすべての寺院で納経をしてもらえるわけではなく、無人のお堂で自ら押印することも多いとのこと。数カ所は見たことがある。

巡礼者もそう多くはないだろうから、熊野古道のように静かに自然の道を歩きながら巡ることになりそう。多分。
距離も距離だしあっという間に終わると思うけど、どんな巡礼になるか。歩いてみないとわからない。


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