四国歩き遍路の旅 22日目

6月14日。
想像以上に夜が寒くて、寝袋も出していなかったけど、毛布とブランケットが用意されていたので助かった。
通夜堂があるというその存在だけでありがたいけど、gkbrがいなければもっと過ごしやすかったかな。宿坊もあるから虫問題なんか手が回らないのかもしれないけど、ホイホイ的なものでも置いたら少しはマシな気がする。どうなんだろうか。状況はまったくわからない。

4時半過ぎにはもうお手洗いを掃除する音が聞こえていて、すごいなあ…と感動した。きっと毎朝行っていることだろうし。
5時を過ぎると散歩がてらの地元の参拝客もちらほら見えるようになった。
ゴミを捨てたかったけど、どこでゴミを捨てられるのかがわからなかった。コンビニは城辺バスセンターとは逆方向だし、ほんとにゴミ箱は少ない。

6時前にお寺を出た。お世話になりました。
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バスセンターへと歩く。
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と見せかけて、30分ほど歩いてバスセンターへ行かずとも、どうやらこの手前にあるバス停にも松山行きのバスが停まるということを発見。
バスセンターの時刻表で6時40分発のバスに乗るつもりが、ここで6時4分発のバスに乗れることになった。40分発のは快速ではあるけどそれでもラッキーだ。5分ばかし待つ。
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まあ、バスの時間は多少ズレがあるので10分ほど待っていたら来た。
念のため運転手に聞いたら荷物は下に預けなくても良いらしい。おはようございますと挨拶をして乗客が乗り込んでくるバスだった。偉い。通学の高校生が多めで若々しい車内。
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さすが愛媛。山に雲がかかるのは当たり前なのかもしれない。以前早朝の松山城から見た雲海を思い出す。
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7時20分に宇和島のバスセンター。停車している間に多くの人が乗り降りしていたけど、松山直通便なので自分は乗車したまま。
斜め前にいた作業服姿の正直犯罪者ルックの丸刈り男からめちゃくちゃ見られていて、こんなに凝視されるならどうせならJKに見られたい…とおっさんっぽいことを思ったり思わなかったりrjbndr
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7時半に再出発。バスは歩かないので全然疲れません。すごいって思いました。はい。

使わずに余らせたままのマスクをしとけばよかったとも思った。座りっぱなしだからか臀部に少々痛みも感じつつ、窓ガラスを開ける際につまむやつ(名称がわからん)に頭を度々ぶつけながら眠っていた。
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そして気付けば松山。久しぶりの都会。都会の定義は建物と若者が沢山いるということだと思う。数年前に来て、松山城の辺りを歩いた道とまったく同じ道をバスが通ってちょっとだけ面白かった。
しかし眠たいからか何なのかあまりテンションは上がらない。残してきた札所への後ろめたさかもしれない。
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松山営業所や松山市駅でほとんどの客が降車した。終着の道後まで乗ったのは自分1人だけ。
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着いたは着いたけど、途方に暮れるような午前10時だった。どうしようこれから。

かんかん照りの太陽、日焼けしそうだ。
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道後温泉駅の前で自転車と郵便局の車があわや事故という瞬間を目撃した。
クレカ支払いにしとけば良かったと悔いながら忘れていたサーバの更新支払いをローソンでして、ついでにポンジュースのスパークリンググミと大好きすぎる一六タルト等を購入した。道後温泉駅前店ってのもあるだろうけど愛媛名物が多く販売されていた。 
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商店街は観光客ばかりだった。観光客にとってはお遍路も見物対象なんだろうなーなんて思いながら、まだチェックインには早いけどお散歩なノリで宿の場所を確認しに行くことに。

椿の湯の裏では遺跡発掘調査をしていた。何が見つかるのだろう。
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子供通るような街中に風俗店がこんなに堂々と建っているのは珍しい。道後ヘルスビル。
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上の煩悩集積所の反対側には休憩所があることに気付いた。今日は戦略的ワープ使っちゃってるけど…一応お遍路ではあると思うので…一杯だけお接待の麦茶を頂いた。
ここから予約をしたゲストハウスふじやへ行こうと歩き出したら、危うく杖を忘れるところだった。危ない。
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宿の前に着いたら車があって、オーナーらしき男性がいた。荷物だけ預かってもらうつもりが、そのまま部屋まで入らせてもらえて、門限がないことや消灯時間等の簡単な説明も受けた。
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4人用のドミトリー。今日は他に宿泊する人がいないらしく実質個室状態。今日はツイてる。
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リビングに下りると眼鏡をかけた黒髪の女の子がどこかから戻ってきて、キッチンで何かを作っていた。
慣れている様子だったので、ここは結構長いのかと聞いてみたら、半年はいるとのこと。もともとはスタッフで、こちらではなく旧館にいたらしい。
この辺りで適当に過ごせる場所も尋ねると、迷いながらも図書館やスタジオジブリのレイアウト展が開催されている美術館を勧めてくれた。
どう過ごすかはやはり迷う。出来ればあまり歩きたくはないし、彼女が言うよりあまりお金も使いたくないし、そもそも前来たときに観光したから観光って気分でもないし。
色々と考えた挙句、とりあえずまあ、のんびり過ごそうと思った。罰は当たらないさ。

歩行者にとってはありがたいグリーンラインが伸びていた。その緑のラインを振り返ると歩き遍路が一人歩いていた。どんな人だったのだろう。
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大黒屋といううどん屋に入ろうかと思ったが、ちょうどお昼ということもあり、待たないといけないようだから入るのはやめた。

ということで、道後温泉本館に来た。4つあるコースの中で休憩所は使えるけど2番目に安い神の湯二階コースを選んだ。
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まずは休憩室に通されて一通り説明を受けた。若い女の子が接客をしてくれて、それがとても丁寧だったのが印象的。
流れも全然わからなかったし、館内の雰囲気は歴史を感じさせ、また厳かでもあったから、このときはなんだかドキドキしていた。
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浴衣は体を冷ますのにお使いくださいとのこと。17はなんだか嬉しい。
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情緒溢れる階段を下り、いざ道後温泉本館、神の湯に入った。しかし客層はなんとも言えなかった。
入れ墨入ったじいさんとメタボのおっちゃんが湯口の前に立っていたり、そのじいさんがタンを豪快に吐いていたり。
以前ここに来た友人は湯船で入れ歯を洗っているのを目撃して最悪な印象だったらしいけど、まあ、安いは安いし、歴史ある大衆浴場ってな感じかな。
建物全体の雰囲気は素晴らしいし、接客も良かったので一応僕は満足。

お風呂から上がって休憩室へ戻ると、すぐにお茶とお菓子を出してくれた。
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扇風機も回っていたと思うけど、そういった人工的な風だけではなく、ここ二階の休憩所にはとても涼しい風が吹き抜けていた。
そして平日の昼間だからか全然混んでいなくて最高だった。飲みたくなってフルーツ牛乳も購入して飲んだ。
温泉に入るだけなら410円で、自分のコースは840円。しかし休憩所で過ごした時間は値段以上の満足度があったと思う。
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入浴時間含めて1時間でとのことだったので、そんなにのんびりはしてられなかったけど、とても貴重な時間は過ごせた。

本館前の柱に遍路マークを発見。ここがルートになっているというのまた風情がある。
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六時屋というお店でクリーム宇治金時も食べた。かき氷も美味しい季節になって嬉しい。歩く際は暑いけれど。
このかき氷も美味しかった。でも観光地でいろいろと食べ出したらキリがないから浪費しないように気をつけようと戒め。
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浴衣をレンタルして温泉街を歩く女の子たちがちらほらいて、とても楽しそうに見えた。きっと良い想い出になるのだろう。

一旦宿に戻って少し昼寝をした。この休養期間でどれだけ回復して、どれだけ体力が落ちるか。

それから業務用スーパーに買い出しに行った。楽に用意出来るからと冷凍物多め。   
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帰ったらまた宿の駐車場にオーナーがいた。なにしてるんですか?と尋ねるとベッドを作っているとのこと。

残してきた5つの札所をどう巡るかで悩んでしまう。41番まで戻ってそこから順に45番まで打つのか、ここからは一番近いであろう45番から逆に打っていくか。でも後者は久万高原の手前、三坂峠手前まで行くのが大変だ。悩ましかった。絶対的な答えなんてないのに答えを見つけるのは難しい。
そして、いろいろ計画を立てようとすると、先の長さ、果てしなさをやはり感じる。旅はまだ終わらない。3つ目の県だとかそんなのは全然関係ない。まだまだ、まだまだ、まだまだ終わらない。依然として終わりをまったく想像出来ない。お遍路とは凄い旅だ。
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オーナー以外に最初の女の子ともう1人ハーフっぽい男の子(見た目は完全に白人)がいるようだった。2人とも住み込みスタッフ感がある。
夕食の席でオーナーのあつしさんにいくつ?と聞かれ、23ですと答えると、23っぽいわあと言われた。
テントを買うつもりだと話して、調べていたこの辺りのいくつかのお店についてあつしさんに聞いてみた。HPを見るに絶対一人用のテント等置いてありそうなアウトドアーズコンパスというお店は良いものしか置いてないらしく値段も高いと教えてくれた。
女の子は30歳。25,6ぐらいかと思っていたので驚いた。大人しそうな女性だけど、男性2人の下ネタなんかか混ざるアットホームな場でも気にせず一緒に夕食を食べていた。ハーフの彼はクリス君という名前らしい。
一泊してから延泊を頼んだり、他の宿に移るのも面倒だったので、最初から5日分予約をしたけど、とても良い雰囲気な宿でホッとした。宿泊費も一泊2000円なので合計でも1万円だし。

1人の部屋に戻り、また考え事をした。
僕の人生はまだまだ続くから、これからだから、今は過程ばかりでもいい。結果を直ちには求めない。
と信じてみても、叫びたくなるようなときはある。足の痛みなんかじゃなく、自分が気にしてしまう様々なこと。歩くことでは消え去らない。
今は間違いなく僕が敗者だからだろう。泥水の中でもがいているようだ。でもまだ頑張りが足りないから、根性でも鍛えているんだろうか。わからない。
自分に向き合う時間ばかりだからどうしても自分の駄目さを痛感する。そして今はそれにただ直面するしかない。少なくともこの旅の間は、どうすることもできない。

無明という状態に自分はいるのだろうか。
今の自分を最も苦しめているものは孤独だと思う。でも孤独というものをどうすきべきかはずっとわからない。どんなに苦行を積んだところで、孤独を含む煩悩を消し去るような、悟りを自分は開けそうにないし。孤独を紛らわせてくれるような相手がいたところで、そういった関係をどんな風に続けるか等小面倒なことで思い悩むことも求めていない。孤独だけでなく、過去に囚われるのももううんざりだ。
智慧が足りないのだろうか。智慧の光がないから、無明という闇から抜け出せないんだろうか。闇や光という単語を出すと途端にクサくなるけど、でも生きるということと精神状態なんて、本気で気でも狂わせない限り切り離すことは絶対に不可能。
どうすればいいのかわからない。もう少し気楽に生きたいのに、しがらみばかりを感じる。

今日はほとんど歩いていないのに、例の箇所、つまり爪は痛い。薬で治ると良いのだが。治らないと困る。
駅が近いから電車の音が夜も聞こえていた。でも気分は悪くはなかった。


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