四国歩き遍路の旅 32日目

6月24日。
3時には完全に目が覚めていた。
夜の間に衣服やタオルを乾かすために回していた扇風機の風が寒くなって途中で止めた。窓も開けていて外気の冷たさも入ってきていたが、歩いて閉めにいくのも億劫だったので布団があって助かった。
一般家庭用の扇風機ではなく、業務用の本気の強風が吹く扇風機だったので、洗濯物もまあ乾いた。ワンセットだけだが匂いもだいぶマシに。

しかし問題はいくつかある。足以外の問題。
まずは、水が補給出来ていないのに次の自販機がいつあるかわからないこと。
そしてイブではもう効かないのでロキソニンを買いたいのだが、コース上に薬局はないし、今日の最終到達地になりそうな場所からも遠い。
洗濯と薬局の問題をどうにかしたい。この先ちょうどいい場所にゲストハウスでもあればいいのにないという現実。

ありがたい善根宿だった。
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4時42分、最後の県である香川を目指して。
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5時前から歩き始めるのはいいことだ。歯痛がなければ更にいい。
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まだ空に青色を残している朝を歩くのは今までにもあったはずなのに、心境の面でこの日は今までとは違うのがわかった。あまりに爽やかな朝だった。今日から涅槃の道場だからだろうか。
杖の音を聞けば、 弘法大師と一緒に歩いているのだと感じられた。

自分の元を去った人たち、自分を裏切った人たちのことも今は許せる気がした。今までの時間があって今僕がここにいられる。それは自分に関わってくれたみんなのおかげだ。失望を与えてしまった人たちへの罪悪感も和らいでいる。
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今日もブレブレ。止まる一瞬すら惜しかったんだろう。

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チョウザメ…。
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こちら側にも棚田があるようだ。
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紫陽花を主に花が綺麗だった。この場所だけでなく、いろんなところに咲いていて、どれもが美しかった。
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双子感のある車。
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歩いているときは何の建物かはわからなかったこの毛利荘について今調べると、2800円で素泊まりが出来るお遍路ハウスということがわかった。最大宿泊人数は5人で、洗濯機乾燥機無料とのこと。

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並んだカラス。
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動物や虫が鳴くのは生きているから。
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お、自販機ありそう!とテンションが上がったこの町は川滝。
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町へと下りてきた。
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別格14番の椿堂こと常福寺。
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川滝小学校。
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自販機あった…!買える…!と砂漠の中にオアシスを見つけたように喜んだ。
気分はアクエリだったんだけど、売り切れなのでいろはすにした。かなり喉が乾いていたのでリアルゴールドはその場で飲み干した。
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カエルは自販機が好きらしい。
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紫陽花の季節を歩くということ。
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金生川を沿うように伸びる国道を歩いて行く。
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5時半に車以外の存在、歩行者を今日初めて見かけた。おばあちゃんだった。早いな、ご苦労さんと声をかけてくれた。

高知まで100km以上の距離が書かれた標識等を見ていたのに、今では高松まで何十kmと書かれた案内を見ながら歩いている。

涼しい風が吹いていて、今は歩きやすい。
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1時間ほどでヘンロ小屋に着いた。でもまだ休憩には早い。わりと疲れてるけどまだ5kmだから進もう。
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休憩所の先から結構な登りが始まった。そしてもう少しで県境の3つの分岐がある。1つめのコースは草木生い茂る部分がある旧来の遍路道。2つめは池田町の佐野という場所に宿泊するのに適した道。3つめは距離は長いが生活道路が多くを占める道。どれも登らなければいけないんだけど、3つめがゆるやからしいからそのコースを行くことにした。
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民宿岡田の存在感。
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少しわかりにくいけど、道路を渡った先から3つめのコース。空からは雨が降ってきそうだった。
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古い道標もある。
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生活道路というか、倒壊した廃屋がありますが…。
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こっちも倒れかけてますが…。
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悪くない。
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あれ、まだほとんど歩いてないのに、遍路道…?
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いや…これ生活道路…?
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でもマークもあったし、この道が正しいのだろう。全然ゆるやかではないけど。
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獣道のような道を登り終えると、舗装道が見えた。そこで、また生活道路に戻るなと思った瞬間気が緩んだのか、ここで滑って前向きに転けてしまい、手を軽く擦りむいた。
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濡れてはいたが、ありがたいベンチ。
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もう歩くか登るかしか選択肢がない。時刻は6時半前。

雲、もしくは霧が、動いているのが見えた。
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ここからは徳島か。
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振り返れば愛媛県。
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民家に駐めてある車が突然徳島ナンバーに変わって面白かった。

そしてこの町は霧に包まれていた。
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霧越しに見える朝日。
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吠えてらっしゃる。
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こんな道が続けばいいのになと思った。ありえないことはわかってるけど、幻想的でとても魅力的だったから。
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古い民家が見える上の方はいったいどうなっているのだろう。
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霧が晴れて、道は下りになった。荷物の重さを感じないラガーマンのような屈強な肩が欲しい。
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歩き続けていると、下に道が見えて、車の音が聞こえてきた。自分もかなり下ってきた。
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更に下っていく。
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ガイドマップではこの食事処の名前を見ていたので、ここが水車かと。
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時刻は7時なので何もやってないけど、自販機があるだけでありがたかった。確か買った後に、念のためもう1本追加で購入した。
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結婚式まで出来るらしい。逆に気になる。
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ここに水車があるということは、いつの間にか2番目のコースを歩いていたようだ。どこで変わったのかもよくわからないけど、でもまあ間違っているわけではないので問題はない。

先へ。
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良いバス停だ。
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爪について、痛みとともに出血があるとかもう完全に生理だなと考えていた。突拍子もないようで、あるような考え…。わけわかんないけど。

香川に行きたいのに高知徳島方面へ進むという。
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今日はずっと民宿岡田に引き寄せられている気がしていた。道標もすべて岡田が目に入る。岡田からは逃れられない。岡田こそry
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そしてまた集落が見えた。今はそこまで必要ないが自販機もあった。ここに岡田があるのか…?としか考えてなかったけど。

久しぶりに見たこの案内。
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佐野小学校。ここが佐野という地域だ。
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隣には佐野幼稚園。きっとここの子らはずっと一緒に過ごしながら成長していくのだろうなと思った。
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INU。
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黄色いのめっちゃカジッてる…。
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お、おかだだー!!!!!(岡田寸劇は以上です)
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ロープウェイ…。遍路道を行くけど…。
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7時半にもなると外に人(奥様率高)が出てきていて、挨拶を沢山交わした。気をつけていきなよと言われると、心は温かくなる。

今日は風の日だ。とても風が強い。
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もうすぐで登り口。
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あった。
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いやいやいや、4km…?絶対もっとあるよと疑いながら、7時40分前にここから登り始めた。
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階段ではないのでかなり踏ん張りながら登る。
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だがずっと登りなわけではなくて、
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こういった高速道路の横にある道も歩いた。
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いや、もう3.5kmになってるし、減りすぎだろ、嘘だ。とまたまた疑った。少し登って、ちょっとくねくねっと歩いただけなのにと。
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しかしここからの道が凄まじかった。
こうじゃないとね、雲の辺りのお寺に行くのに簡単に登れたら拍子抜けだよ。と自分を鼓舞しながら登った。ウォーキングシューズで来た僕を最高に後悔させるくらいの道を越えて辿り着きたいんだと。
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しかし鼓舞したのはいいが、いきなり急で長い登り道から始まって、少しマシになったかと思えば、またずっと登り続けるような道だった。途中石に指先をぶつけて激痛が走ったことを除いても、この遍路ころがしが遍路道の中でも最難関だったと思う。いつまでこの急な登り道は続くんだ…、ありえないだろ…キツすぎる…とバテバテになりながら登った。
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まあ、この縦断図を見ればノーサプライズっちゃノーサプライズなんだけども…。
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その上、この登り道には大量に蚊がいて、少しでも止まっていると刺され放題になるので立ち止まることすらままならなかった。例えるならドリンクバー、無限献血地帯のように血を吸われるから。
足首も捻りそうで怖かった。岩があって、踏むだけで痛いのに、ごろっと転がるような石を踏むと、捻挫しそうだった。自分が馬鹿なせいなんだけど。

距離数を書いた道標がほとんどないのは修行の道だからだろうか。どのくらい進んでいるかまったくわからない。
ただただずっと登り続けている。たまに吹く風と、蚊に刺されるの覚悟で立ち止まっているときに聞こえる鳥の鳴き声だけが癒しだ。
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ありがとう。
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今日が土日じゃなくてよかった。こんな苦労をして山の上にあるお寺へ行くのだから、人が多くてその雰囲気が味わえないなんて嫌だから。だがこのままだと高野山が被るだろうか。

雲辺寺への道まで来てごみ拾いさせてくれるありがたい先人さんがいるなと思っていたら、予報じゃまだのはずなのに8時半前に雨が降り出した。ゴミは靴紐に挟んだ。
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ようやくゆるやかな道になった。長くは続かなさそうだけど。
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荷物の重みに悲鳴を上げているのか、蚊に刺されて痒いのかわからないが、肩がピリピリと痺れるような痛みがあった。

突然辺りの雰囲気が変わった。ほほう…?
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たまにカッコーの鳴き声が聞こえる。
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車道合流地点に出た。ここからまだ2.5kmもあるのかよと呆れつつ、財布と地図をバックパックの上のポケットから荷物の中へと避難させて、レインカバーをつけて、中身が減っていたペットボトルを飲み干して新しいものと交代した。
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香川ナンバーの軽トラが通った。車遍路ではなかった。
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こういう道で稼がないと、挽回しないと、ウォーキングシューズで来た意味がない。誰と争っているわけでも、誰に遅れを取っているわけでもないけど。

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必死に登ってきた山の上の方に車で簡単に来れて(多くの人はロープウェイを使っているだろうがここも一応車遍路の道)、ビニールハウスやスプリンクラーなんかがあるのも見ると、うーん、なんだかなあ…と一瞬思ったが、いや、遍路は遍路だ。車も同じ遍路、まあいいじゃないかと切り替えた。車遍路の人には散々褒めてもらったりしてきたんだから。
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機械音が聞こえたが、ロープウェイではなく、多分林業系の音だった。
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また登る。
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あと1kmになって、遍路道に対して望んでいることが強くなった。だんだんと強くなるこの雨から木々で逃がしてほしいと。
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車道に出ては遍路道、車道に出ては遍路道を数回繰り返した。
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遍路道は綺麗に整備された階段だったが、何しろ雨が凄く、大変だった。これは浸水するから急がないとと早歩きで進み続けた。
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大雨ではなくもはや豪雨だった。背の高い木が立ち並んでいても防ぎきれず、激しい雨が地面を歩く自分へと降り注いでいた。
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このときは階段の上に何があるかわからなかったけど、亀山院櫻岡之陵があるらしい。
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夫婦杉。お寺はすぐそこだ。
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霧の中に建物が見えてきた。
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9時30分過ぎ、ようやく山門前に着いたけど豪雨と濃霧でお参りどころではなくて、とりあえず通夜堂前まで避難。
通夜堂の前には歩き遍路で順で通し打ちのおっちゃんがいた。ここに来て同じ仲間に出会えるとは!と嬉しかった。凄い霧ですねといった世間話から始まり、ここまでの話など、同じように歩いてきたからこそ共有出来る話で盛り上がった。おっちゃんからはプレミアムカントリーマアムをおすそ分けしてもらった。
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通夜堂の中。電気はないらしいが雑魚寝が出来る。しかし防寒着を持っていないとかなり寒そうだ。
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雨は徐々に収まっていったが、霧は風に流されては、また戻ってくるというのを繰り返していた。そのたびに少し視界が開けて、また見えなくなっていた。

濡れていた体や髪の毛はタオルで拭いたのだがなかなか震えは止まらず、自販機がすぐそばにあったので普段は飲まない温かいコーヒーを飲んだ。それでも歯がガチガチと鳴るほど寒かった。
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いかつくはないけど結構ワイルド系の逆打ちのお兄さんが1人来た。膝を痛めているらしい。お寺をバックに写真撮影を頼まれたので撮ってあげた。それから40歳と60歳の2人組が来て、男5人で雨宿りしながら話した。後から来た3人は逆打ちなので、順打ちのこちら2人と、情報交換なんかもしながら。
今思い出してもこの時間の楽しさは覚えている。雲の中にあるようなお寺で、ついさっきまで今まで一度も会ったことのなかった5人が何の違和感もなく楽しく盛り上がっていた。

お昼前(11時45分頃)にやっとお参りに行くことにした。
第66番札所巨鼇山雲辺寺。住所は徳島県だが、香川県(讃岐国)最初の札所として扱われている。
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まだ霧に包まれているこの雲辺寺は標高927mの雲辺寺山の山頂にあって、88箇所の霊場の中で最も標高が高い。
位置的にも四国のほぼ中央にあり、坊も沢山あることから、四国中の僧侶たちの学問や修行の道場となって、四国高野と呼ばれていたらしい。開基は若かりし空海さん。
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本堂。本尊は千手観世音菩薩。
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大師堂。
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1番札所で御姿と一緒に御姿を入れる袋も渡してくれた流れで、県ごとに最初のお寺(24番と40番)では袋を貰っていたんだけど、それがいつもちょうどいいサイズ(要は御姿がぴったり入る大きさ)で、お寺の名前も入っていたりと、御姿を県ごとに集めるのには最適だったのに、ここでは無地の封筒しかなくてちょっと残念だった。別にお寺には一切の落ち度もないんだけど。
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お参りを済ませて、山門を出ると先程の2人組とまた会った。60歳の方は先生と呼ばれていて何の先生か気になっていたけど司法書士だとわかった。40歳の方の男性がやってる仕事は自分の仕事と関係があるんじゃないかということで、その先生が名刺交換しときーやと言うので、こういうのはあんまり望んでいないというか、今は仕事増やしたくないんだけどなーと正直思いつつも、悪い人ではなさそうなので名刺を貰ってLINEを交換した。
ちなみに彼らは2周目で、今回の区切りは来週の水曜日までらしい。

良い雰囲気のお寺だからもっとゆったり見て回りたかったけど、まあ仕方ない。次へ進まないと。

正午を過ぎて雨はほとんど止んだ。
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ロープウェイの方へ。
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五百羅漢はどの像も凄まれるような迫力があった。
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この目力。
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ロープウェイの山頂駅に着くと、次は3分後まだ間に合いますと言われたが、雲の上の景色があまりに綺麗で、もっと見ていたいなとその20分後の便にした。
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切符を売っているお兄さんに梅茶を貰った。温かいし、味も美味しかった。
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宿を決めないといけない。でも次のお寺に着いてから決めるとしよう。下りて、歩いて、そのときの自分の状態を確認してから決めたい。

話しかけてくれるスタッフのお兄さんがいたので、いろいろと話を聞いた。
団体さんが来る際やウィンターシーズンは香川県唯一のスキー場(人工雪)ということもあって、1台に100人くらい乗ることもあるらしい。
どうやって出勤するのか気になったので尋ねると、当番の人が1人徳島から車で来て施設を開けて、他の人はロープウェイで来るらしい。
ロープウェイで下りる遍路も多いと教えてくれた。今日みたいな日だと霧で危ないからこれが一番安全ですよと。

気温もだいぶ上ったので今は寒くない。
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ホーム(?)からのパノラマ。
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夫婦かと思いきや夫婦ではなかった2人組の中年男女と自分とガイドさんで下りた。
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ガイドさん曰く、雲海は結構レアらしい。さっきは真っ白で何も見えなかったと。
晴れて澄み切っているときは広島の福山まで見えるとも言っていた。
他にはあの五百羅漢の像は中国からという話も聞いた。
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雲の上から
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雲を抜けて、雲の下へ。
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山麓駅へ到着。途中から真っ白になって何も見えなくなったりはしたけど、予想通り楽しかった。上で見た青空と雲海の景色は素晴らしかったとしか言いようがない。

この辺りは高い山のおかげで災害が少ないというガイドさんの話の流れから、一緒に乗っていた2人組のおばちゃんの方が熊本の話をしていて、 すっかり災害の町認定されているなと感じた。4月の地震だけでなく、豪雨による土砂災害も数日前にあったようだし。

山麓駅も霧に包まれていて、どこまでも雲のお寺だなと思った。
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下りてからおっちゃんの方が話しかけてきてくれて、温かいものでも飲んで体壊さんように、お接待してあげるわ!と自販機で午後ティーをお接待してくれた。ありがたや!
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このツバメの巣があるお休み処のベンチに座って、温かいミルクティーを飲みながら少し計画を練った。67番を打ってからはその先の善根宿へ行って、それから少し離れてはいるけどドラッグストアとコインランドリーへ行こうと決めた。
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40歳の人は伊藤さんという名前で、挨拶と少し連絡が来ていたので返信をした。
先生は前に滑って怪我をしたから遍路道が好きじゃないらしいけど、これから下山はキツかったあの道を通るということだったので、雨で泥濘んでいたりするだろうし、無事であることを祈ります!と。
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13時を過ぎた。お腹が少し減っていたから、この山麓駅付近のお店で何か食べてもよかったけど、まだ山の上で寒いから早く下りることにした。

って次まで10kmもあるのか。結構長いな。もっと短いかと思っていた。
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道の先は見えない。
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ハーフパンツのポケットのジッパーが壊れていることに気付いたが、霧の中を歩くのはやはり幻想的でよかった。
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山頂駅からそうだとは思うが、観音寺市を歩いている。ついに四国最後の県に突入した。讃岐国、涅槃の道場だ。
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遍路マークなど特になかったからそのまま歩いてきたが、ここでやっと目印を見つけた。
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大興寺まで後5km。まだまだある。
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のどかな風景。
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民宿青空屋には伝言板があった。何か書こうかなーと思いつつ、誰がこれから来るかもわからないし書かなかった。(先程会った通しのおじさんはロープウェイを使わず下山すると知っていたが、山麓駅の駐車場からは今自分が歩いてきた道と別格の萩原寺へ行く道で別れているから、こちらへ来るかはわからないし、来るとしても何を書けばいいかわからないってなやつ)
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子犬が出てきた。興味津々な感じで僕を見ている。
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家の方には親犬がいた。見守っていたのかな。
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万歩計アプリでは走行距離25km前、14時に爪の痛さが増してきて尋常じゃないくらいキツくなった。

ここが初めてじゃないけど、バイクに乗った郵便局員だってお辞儀をしてくれる。

ダムっぽい池(岩鍋池?)からお寺まで1.9km。もう歩けなくなりそうってとこで残りの距離がわかった。モチベーションはなんとか保たれた。
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14時半に先程の池のちょっと先に神の(仏の…?)休憩所があった。疲れはそうでもないのに痛みがひどすぎる。
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今日の宿について迷っていた。お寺から少し離れた民宿四国路は3500円で素泊まり(付近の民宿では一番安くHPっぽいのも見つかった)。洗濯も出来るだろうし、何よりお寺からの距離が短い。しかし薬局までは遠い。
善根宿はお寺からしばらく歩かないといけないが、ドラッグストアはそれなりに近い。だがコインランドリーはどこにあるかわからない。
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休憩をしていると降水確率は0だったのに小雨が降ってきた。大降りになられても困るので先へ進もう。
薬局は少しの間我慢するのが懸命な気がしてきた。
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上り坂からの下り坂。自転車なら楽しそうだなと思いながら歩いた。
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手作り感溢れるお休み処。本当に四国の人たちは親切だ。
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民宿おおひらの横の道から、不思議な森というか、山というか、鎮守の杜のような場所に入った。生い茂った草木の中に古いお墓などがあって、熊野三所権現を近くで祀っているのも納得の雰囲気だった。
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今日の宿泊地候補の善根宿の看板。
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仁王門。第67番札所小松尾山大興寺。
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境内の中から見れば完全に鎮守の杜だ。
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本堂。本尊は薬師如来。

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大師堂。
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納経をしてくれたのは優しいおじさんだった。歩いていることを褒めてくれて、御姿を入れる袋もちょうどいい感じのものをここで貰えた。境内のベンチに荷物等置いていたのだが、雨が降ってきたので休憩するならこっち上がってきたらいいよと本堂にあるベンチを勧めてくれた。

納経をする台の近くに、銭形の善根宿の注意書きのようなものを見つけて、そこに泊まるのはやめようと思った。お寺がわざわざ注意書きを作るってよっぽどじゃないか?と。(内容は確か勝手に看板設置をしている+遍路道にはないといった感じ)
その注意書きのおかげで、四国路にしようと決められた。善根宿は明日、善通寺で紹介してもらおう。
電話をするとおっちゃんが出て、3500円で洗濯も出来るということを確認した。もっと安い宿というのはそりゃあるけどお得な気がする。食べ物はこれといって持ってないのでスーパーに行くしかない。宿に貸出の自転車でもあればいいけど。

本堂の赤い蝋燭の前に座っていると、馴染みすぎていたのか、ある夫婦の奥さんの方にお寺の人と思われて(?)質問をされた。般若心境手ぬぐいを持って、あのこれって~と。面白かった。

お寺を離れる際に、納経所のおじさんに一礼したら、他の若い男性の納経をするとこだったけど、頑張って!と声をかけてくれた。
なんで気に入ってくれたのかな。歩きだからか。いや、歩きなんて他にもいっぱいいる。袋のやりとりがあったからか。お堂に近づくときに靴の汚れを落としていたからか。わからないけど、自分を気に入ってくれた様子だったというのもあり、納経をしてくれた方の中では、観自在寺のあの子に次によく覚えている。(その次はリリー・フランキーかな…)

宿へ向かう。グーグルマップで検索すると徒歩では15分ほどで着くと出た。時刻は16時。ときにはこんな日があっていいだろう。
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風がめちゃくちゃ強くて笠が飛びそうになっていたけど、とても気持ちが良かった。
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この辺りは池が本当に沢山ある。
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ずっとおさえておくのもあれだし、笠は脱いで歩くことにした。台風のような風だった。

窓際の猫。
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自転車に乗ったふっくらした若いお兄さんが挨拶をしてくれた。こんなに若い青年が挨拶をしてくれるなんて珍しいなと驚いた。

宿の手前で、おにいさーんと呼び止められた。道の左側にあった民家の前から、お接待させてください!とノリのいい若いおばあちゃんが僕を手招きしていた。
孫が久留米の学校で先生になったらしい。リポビタンDと、ニコニコ笑顔でがんばってくださーい!という応援の言葉を貰った。嬉しかった。
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後になって写真を見返して気付いたけど、宿の手前には遍路マーク(右折)があった。目前にある宿しか見てなくてまったく気付かなかった。
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宿到着。宿。
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民宿四国路。
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インターホンを押すと、いっとき経ってからおばさんが出てきて、さきほど予約の電話を~と伝えたんだけど、なんだか不機嫌そうな表情で、ご飯なしですけど…と言うので、はい、大丈夫です!と返した。すると、連れて行ったりもできませんけど・・と言われて、これにも、はい、大丈夫です!と返した。予約していた時間からは少し遅くなったとはいえ、こんな対応をされると、ああ、ここやめときゃよかったと思った。素泊まり等も了承した上で来てるのに。
一通り説明を受けて、さっき頂いたリポビタンDを部屋で飲んだ。

つい先程お接待してくれたおばあちゃんとのギャップで落ち込んでいたら、いらっしゃい!とドアの向こうからおじさんの声が聞こえた。ごめんね~、歩きに行ってたんだ!と。ドアを開けるとファンキーなおっちゃんが立っていた。
あれだったらスーパー乗せていくけど行く?と言ってくれたので、そのお言葉に甘えて車で乗せて行ってもらった。自転車もなさそうだし、もうこれ以上歩きたくなくて、今日はカロリーメイト難民だと思ってたから本当に助かった。

スーパーはマルナカに連れていってもらった。医薬品コーナーに白衣を来た人たちがいたから、あ、もしかして…!と期待して、ロキソニンありますか?と聞いたけど、残念ながらここには置いてなかった。
夕飯と翌日の朝食を買って、ついでにかき氷も買った。
駐車場から出る際に、学校の黄色い帽子に赤いランドセルの女の子が車が通るのを待っていて、おっちゃんがどうぞとやると、横切ってから深く頭を下げた。美しいなとしみじみ思った。
車中の会話であと何日くらいで終わりそう?と聞かれた。早い人だとここから3日で終わるらしい。でもそんな超人的な技は今の自分には到底無理だ。ここから88番までまだ約130kmはあるから、1日40km以上歩かないといけない。いくつかの登山もまだ残しているというのに。

車が宿に着いたらおっちゃんが、お風呂沸いてると思うよとのことだったので、入ることにした。
お風呂はシャンプーとコンディショナーが何種類もあって、広い浴槽はヒノキだった(これが一番お得感を感じさせた)。タオルも使えて、浴衣も借りたから全部を洗濯出来た。ちなみに体重はお風呂入る前57kg台だった。かなり減った。 

部屋がある二階にはなかったが、一階に電子レンジがあるのは見ていたので、そこで弁当を温めたかったのだが、これは食事を出す部屋かな…と勝手には使えなくて、誰かを呼ぼうと、すみませーんと声をかけても反応がなかった。若い女の人が電話で話している声は聞こえる。
しばらくして電話が終わって、また呼んでみたら、仕事の服を着たお姉さん(ここの娘さん?)が出てきて、弁当を温めたいんですけど…と言うと、あ、いいですよーと電子レンジまで持っていってくれた。しかし、なぜか動かなくて、あれ、これ使えないやつ…? と思ったら、おっちゃんが来て解決した。炊飯器と一緒に使ったらブレーカーが落ちるから外してたんやなと。
その話から山口からサッカーのチーム30人とか来たとき、ドライヤーとか同時に使いまくったときは落ちたという話を聞いた。小学生の団体が試合で来ることがあるらしいが、いくつか部屋はあるとしても、この民宿に30人も泊まったんだろうか。賑やかというか、なかなか騒がしそうだ。
電子レンジが動くのを確認すると、ごゆっくり〜と声をかけてくれて、おっちゃんは居住スペースへと去っていった。

焼鳥重。
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かき氷。
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洗濯が終わる時間にタイマーをセットしていて、それに合わせて洗濯機まで行くと、ちょうど目の前に立った瞬間に終わった。部屋にハンガーと物干しが用意されていたので干した。

気をつけてはいるが、たまに痛んでる歯を噛んでしまって、顔をしかめるような激痛が走る。
19時前でもう眠たかったが、なんだかだらだらとしていると気付けば20時半になっていた。
伊藤さんからまた連絡が来ていて、ケーブルカー跡の道を教えてもらった。萩森さんからも通れると教えてもらっていたが、伊藤さんからのは写真付きだったので更にありがたかった。良い人だ。

Wi-Fiもあるみたいだが二階までは届いていなさ気。そして国道が近いからたまにトラックで揺れるけど、でも良い宿だと思う。部屋から洗面台は激近だし、冷蔵庫も二階のリビングにあるし。
完全に予想でしかないけど、夫婦仲はそんなによくないというか、コミュニケーションがあまり取れてないような気はした。実際はどうかわからないけど。

明日は善通寺で善根宿を紹介してもらう予定だが、どうなるかはわからない。明日のことさえわからない。どこまで進めるんだろうか。
そして、ここからは平地多めだからスムーズに進むといいのだが、それもどうなるかはわからない。

明日は5時起き予定だ。そして7時に出発しようと考えている。肩と背中が痛い。


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