四国歩き遍路の旅 35日目

6月27日。
5時にアラームをセットしていたが、その前に起きてしまうのは平常通り。爽健美茶さんも目覚める前から鳴いていたし。
3時頃のバイクに乗って叫ぶ若い男女は騒がしかったが、まあ寝られたは寝られた。

残る半月と
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朝のグラデーション。
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まだ寒いからテントの中で朝食を取った。
足裏のマメが広範囲に剥けていたところはだいぶ自然になってきたが、新たなマメがまたできている。

残りも数日になってきた。あとは誰に出会うだろう。

ちらほらと朝の散歩をする方たちが来ては去っていった。

珍しく最も痛い部位が足の裏だ。すべてここまで頑張ってきた証拠。
日焼け止めはお寺に着いてからお手洗いで塗ろうかと考えていたが、もうここで塗ってしまった。
ゴミが散らばっていたから煙草の吸い殻や飴の袋など10個拾った。徳を積むわけではなく、ただ我慢ならないからという理由で。

何分で着くかはわからないが、6時20分過ぎに出発。
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西行が讃岐に配流されて仏道に入った崇徳院に送った慰めの歌。
「世の中を 背く便りや なからまし 憂き折節に 君逢はずして」
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この道が遍路道の中で最も気に入った理由は、歌碑と常夜灯が交互に並んでいて素敵で楽しかったから。
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やっぱり和歌だなと鑑賞しながら登った。
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朝一から階段、登り道はキツかったけど歌碑のおかげで乗り切れた。
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今回は仏教の旅だからと気になる神社等があっても寄ってはこなかったのだが、この崇徳天皇白峯陵の近くに来た際は、ここには行かなければいけない…と感じたので、山門へは進まずに陵への道を進んで手を合わせた。
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白峯陵の横に道があったので進むと、それはお寺に繋がる道だった。(地図は確認していなかったがこの道が歩き遍路道だった)
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6時50分に境内に着いたが、とても中途半端な位置(勅額門の辺り)から入ってきてしまった。
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まだ7時には10分早いので、ベンチに荷物だけ置いて一旦山門からお寺を出た。
山門を出た先の駐車場には車が1台あったので下りてきた方々に挨拶をした。山門で礼をすることなくポケットに手を突っ込んだまま境内へと入っていったおじいさん1人とおばあさん2人。 img_3283img_3282
自販機があったのでペットボトル2本を購入した。そして、やはりお寺の前にはお手洗いがあった。
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7時になったので山門をくぐった。第81番札所綾松山白峯寺。
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今日最初の参拝者としてのお参りは気持ちが良い。
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見えづらいけど狛犬の下には招き猫が大量に置かれていた。
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本堂。本尊は千手観世音菩薩。
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大師堂。
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紅葉の時期はさぞ美しかろう。
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干支別に本尊が違うんだけど、僕の申年は大日如来だった。縁を感じる。
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未年と申年の人への薬師堂。七福神では福禄寿が祀られている。
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勅額門の先には頓証寺殿があって、ここにもお参りをした。崇徳天皇は幾多の怨霊伝説があるけど、この坂出市での伝承だけでも興味深いものがいくつもある。
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相模坊大権現。崇徳天皇の守護神であり、日本八天狗の一狗。
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勅額門に掲げられてあった表。
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香川県の霊峯である五色台(黄峯・白峯・赤峯・青峯・黒峯)の一つである白峯山の山頂ということや、朝早くて参拝客もほとんどいないというのもあったけど、やっぱり神社仏閣はいいなあと静かな境内で感じていた。一切興味無い人や初詣しか行かない人も多いだろうけど、でも僕はいいと思う。
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納経所に入ってこのお寺の頁を開いていたら、(そのままで)いいですよと手を伸ばされたので、その状態で受け取ってもらった。番号とかも書かれているし、やっぱりそのまま出すのがいいのかな。これからはそうしてみるか。
納経所には82番まで15分と書かれていたが、まあ車での時間ですよね。

納経が終わって本坊から出ると、あの3人がこちらへ来ていたので会釈をしたら、今日はどこから?これからどう行くの?と話しかけられた。山門でマナーが悪い人たちだと判断していたので、話してみると意外と良い人たちだなととっても失礼なことを感じていたのは内緒。最後は応援の言葉をかけてくれた。
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参道も(ついでに公式HPも)含めてとても美しいお寺だった。
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次の82番へ。

この先徒歩のみと書かれた小さな看板を見て、大師様に出会えやすい閏年の逆打ちも、徒歩しか進めない場所にいたならどうするんだろう…と。
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山の中へ。
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下乗石。
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泥濘んでいる場所が多々あった。それもただの泥濘みではなく、たまに10cmくらい足が沈んだりするところもあった。
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きっとお墓で眠る人々も、ちゃんと止まってもっとゆったりと撮ったらどうかねと思ったに違いない。
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自衛隊の演習場があった。確か薬王寺近くの道の駅のテレビで見た男の子が行方不明になっていたニュースを思い出した。きっとこういう場所で発見されたのだろう。
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尖った石を踏んだときにウォーキングシューズごと足に突き刺さる感覚、この旅で何度経験したことだろう。
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泥濘みの泥に水溜りという状況からして虫が湧くのはわかるんだけど、それなりの数の人が歩いているはずなのに蜘蛛の巣の量が凄まじかった。短時間で作られたのだろうか。

小さな滝のような川を渡ったりしながら歩き続けて、8時前から閼伽井で休憩を取った。この間ペットボトルを入れ替えて、ブラックサンダーを食べた。
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昨日落とした際に付いたのだと思うが、iPhoneのカメラアプリのシャッターボタンのところに傷が入っていて、かなり押しにくくなっている。15分前に歩き再開。

これから根来寺を打って、お昼までに国分寺を終わらせることができていたなら嬉しいな。

木漏れ日と鳥の鳴き声、1人の遍路道。
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今まで生きてきてずっと、どんぐりころころの次はどんぐりこだと思っていた。だからここで、どんぶりこ!?とプチ衝撃を受けた。
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落ち着いて撮ればこういう綺麗な写真も残せるのに。
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この辺りの背の高い草には水滴が沢山付いていて、歩くとタイツ越しに肌まで濡らされるような気持ち悪さがあった。
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逆打ちの足跡かなと思った次の瞬間に、この先に三叉路のような場所があるし、そもそも自分が一時的に逆打ちをしていることを思い出した。
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もう一息!!!最も信用ならない言葉!!!!
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肩が痛すぎるから次のベンチで休憩を取った8時42分。大量の蚊に襲われながら、荷物をバランス重視のスタイルに変更した。
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今日は進みが遅い。山だからだろう。でも山の上とはいっても登りの道といった感じではなく、わりと平坦な道を歩き続けている。道自体はとても歩き辛い状態だったが。

9時前に十九丁という場所に着いた。またここには戻ってくるので、荷物を置いていこうかと迷ったが、この先の休憩所で改めて考えることにした。そこではゴミを捨てられるかもしれないし、人目がある方が盗まれる確率も減るだろうから。
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十九丁からはわりとすぐに車道に出た。
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休憩所かと勘違いしたここは足尾大明神。
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そして休憩所を見つけた。お手洗いの奥は結構広い公園になっていた。
駐車場には車が1台停まっていて中年の男性が書類を読んでいる。周りにいくつか民家はあるが人目はあってないようなもの。自販機がちょっと先にあるなと確認した後に車がもう一台来た。
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荷物はここに置いていくことにした。持っていくのは納経帳や財布等だけ。御姿や散華、もう一つのバッテリーなどいわゆる金目のものはあるけれど、盗まれたときは盗まれたときだ。

9時半に出発した。とても歩き向きとは思えないアイスココアを自販機で買って、飲みながら歩いた。
しかしバンホーテンのココアをパウダーからよく作っていた冬はついこの前のように感じるのに、カレンダーではもう7月前だ。
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ミルクココアボカし。
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廃屋かと思ったら犬が出てきて、写真を撮っていたらやたらと吠えられた。
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下る。
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どこにでもいるな。
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荷物が少ないおかげで軽々歩ける。
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五色台子どもおもてなし処というヘンロ小屋があって、ここは素晴らしいと感動した。ヘンロ小屋の中で最も充実していると思う。ナンバーワンだ。
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小屋の前にはハーブティーや子供たちがお金を出して買ってくれたお菓子。
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電気もコンセントも二階もある。何より綺麗だし、もう小屋というよりログハウスだ。
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場所はここ。
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トイレもすぐ近くにある。素晴らしい。
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さあ、根来寺はもう、そう離れてはいない。
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確かお墓があったんだけど、門もあるし、物静かで重々しい場所だった。
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山門の前には体操服の中学生たちがいた。     
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第82番札所青峰山根来寺。時刻は10時前。
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石段を上がって、小さな像が無数に安置された暗い回廊をぐるりと回ってから、たどり着くという変わった本堂だった。本尊は千手観世音菩薩。
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大師堂。この赤いお堂もまた珍しい。
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構図ほとんど変わらないし、鮮明さも劣るけど、下にちょこっと写っている花が綺麗だからと貼るもう1枚の写真。
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白猴欅という樹齢1600年のケヤキ。今は枯死してしまって、屋根の下で保存されている。
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お参りと納経はしたが、消化不良というか、ちょっとあっさり終わりすぎた感があったので、ユニークな顔してる牛鬼像でも見ておけばよかった。

いろいろと説明でも受けていたのか、中学生たちはまだ山門をくぐっていなくて、僕が出て来る際にやっと入れ替わるように、お寺へと入っていった。教えの通り(?)しっかり一礼してから。
しかし残念なことに、駐車場の車から出てきた英語を話している黒人の少女は、落ちたゴミを拾わないどころか、車の下に蹴って隠していた。
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下りてきた道を今度は上る。だがその途中、泥濘みに足を取られて転けそうになった。杖がなければ間違いなく転けていたはず。

五色台の休憩所に戻ると、先程納めていなかった納め札をケースの中に無記名だが入れた。
こういうお接待って貰いすぎないようにと気をつけるけど、この時期、今日なんてほとんど人は来ないだろうから、もう少し遠慮せず貰ってよかったかもしれない。ハーブティーもそんな日持ちしないだろうし、お菓子も期限切れのものがあったから。
このとき僕はコップ半分のハーブティーと賞味期限が切れたミニメロンパンと黄金糖(飴)を貰った。特にハーブティーはもう少し飲んでおけばよかったと後になってから思った。

車道で自転車とすれ違った。この道なら車もほとんど来ないし、下りはほんとに気持ちよさそうだ。
しかし自転車は遍路であっても遍路の格好(白衣ぐらいしか身に着けられないけど…)をしてない人が9割。遍路とは完全に無関係な人も多いだろう。

例の廃屋っぽい家の2匹の犬は、帰りは吠えてこなかった。行きのように立ち止まったら吠えたんだろうけど。

アイスココアを買った自販機を置いている店(お食事喫茶 みち草)は戻ってきたら開いていた。うどんも出しているようだし、アイスも売っていたので気になりはしたが寄らなかった。

白い格好の人が前から来るなーと歩いていくと、ちょっと怖い顔の歩き遍路のおっちゃんだった。見覚えがある。昨日見たのかな。
見た目とは裏腹なとても親しみやすい笑顔で根香寺から来たんですか?と聞かれた。今行ってきましたと答え、少し話をして、彼も根来寺へと向かった。

休憩所に置いていた荷物は少し移動されてる感がなくもないけど、特に荒らされてる形跡はなし。無事だった。
ちょっと腰掛けてどら焼きを食べて、これからの道をどうするかを考えた。
少し距離は長くなるが途中まで車道を通ろうか。ベンチはないだろうけど泥濘みなど山道での負担を考慮したらそちらの方が賢明な気がする。

11時前出発。坂出市に戻ってきた。(根来寺は高松市だった。そう、高松市!!)
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やっぱり遍路道を歩くことにした。

先程から黄色の袋を後ろに付けているのだが、背中から引っ張られるような感覚がある。
下りの道は爪がより痛むし、足首がぐにゃっと捻挫でもしそうで怖い。

十九丁で荷物を本来の形に戻して、分かれ道から今度は国分寺への道へと進んだ。
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もうなんていうか、泥濘みがヤバすぎた。深く沈むもんだから、靴だけでなく、靴下まで泥水の被害にあった。最悪だ。
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道は悪いところが多いけど、でも悪くない。
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道標がなければ絶対道とは思えない道。
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草も生い茂りベンチが埋もれてしまっている。
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車道を渡ってまた遍路道に一瞬で戻った。
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この場所からの眺めはなかなか良かった。
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更に下っていく。
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既視感のある山肌。
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本格的な下り道が終わるとお手洗いとベンチがある場所に着いた。
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そこからあと30分ほど。
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平地に戻ってきた。
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こんなとこにラブホ…?とド派手な建物が道沿いにあった。
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お、お寺だと思ったが違う。逆側だし。
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山と空き地。
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そして到着。12時50分。
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第80番札所白牛山国分寺。讃岐の国分寺。
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松の木が立ち並ぶ参道。
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本堂。本尊は十一面千手観世音菩薩。
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七福神。中央はお願い弁財天。
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大師堂兼納経所。中は独特の雰囲気でよかった。かなり高齢のおばあちゃんばかりだったけど。
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まあどこにも参拝客はいるわけで、参拝客もそれぞれに人生があるわけで、いろんな人がお寺には来る。
この大師堂兼納経所の前にベンチがあって、そこに僕も座っていたんだけど、逆側には20代に見える男女が小指と小指を繋いだままほぼ無言か、もしくはほとんど聞き取れないくらいの声で囁くように話していた。どちらも全身黒い服を着ていて、それなりに綺麗めな女性はしゃがみこんで、小太りの男性はベンチでうなだれるような形で、向かい合っていた。
異様な雰囲気だったので水子供養あたりかなと勝手に予想した。いろんな人がいるなあとなんとも言えない気分になっていた。
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高松市のゲストハウスを予約した。ということで今日はあと17km近く歩かないといけない。時間は13時半前だが、かなりの疲労が溜まっているのは確かだ。そして雲行きが怪しい。嫌な話だ。

国分寺の少し先、迷ったけど踏切の前にあったうどん屋に寄ることにした。
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店員のおばちゃんは何選んだらいいかわからんやろうから〜といろいろ説明してくれた。
ご飯が余ったらおにぎりにするし、お茶は空いてるペットボトルに入れてあげるよと言ってくれた。ご飯はすべて完食したから余らなかったし、空いてるペットボトルもなかったんだけど、でもありがたかった。
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踏切渡ってすぐに見えた光景。でかい池だなと当然感じた。この湖みたいな池の名前は関ノ池。
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83番へ。
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バッテリー側ではなく、短いケーブルが断線しかけているということをこの日ようやく疑った。面倒でよろしくない事態だ。いや、でも散々過酷な状況に晒しているiPhone側かもしれない…と断定したわけではなかったが。
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高松12km。
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しばらく歩いているのに全然距離が縮まらない。まだ次のお寺まで5.8kmもある。
すべてが重かった。なのに上り坂は続いているという試練。

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やっと街が見えてきた。
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突然、道路の逆側の路肩に車が止まって、電話かなあと思っていたら、車の流れがなくなるとおじさんが降りて、道路を渡ってこちらまで来て、フルーツトマトを3つくれた。
トマトは正直苦手な部類に入るんだけど、それでも疲れきっていたので、ちょっと元気が出た。

野宿出来ると聞いていた唐渡山遍照院。
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見えているのは高松市街だろうか。こんな風に下りていくのは徳島を思い出す。
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蛇の死骸を越えて、更に先へ。
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荷物が重いと肩が一番辛かったが、でも歩いていくしかない。
うつむいて歩いてもキツさは変わらないから、顔を上げて、すれ違う車に乗ってる人の顔でも見ながら歩くことにした。
こちらを見ている人が非常に多いということがわかった。ほとんどの人が見てくる。

あと3km、15時7分。
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すれ違う人に挨拶をしたら返ってこなかった。だが構わない。もう返ってこなくていい。こっちがすべきだと思ってるからしているだけだ。

地下道もトンネルと同じくらい杖の良い音が鳴り響いていた。
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15時半前にファミリーマートに寄るために、店内に入ろうとしていると駐車場の今から出ようとしていた車のドアが開いて運転手のおばちゃんに呼ばれた。そしてこれどうぞと今買ったばかりであろう明治のブラックチョコをくれた。ちょうど糖分が欲しかったのでめちゃくちゃ嬉しかった。
ミルクティーフラペチーノが気になりながらも、またレッドブルを買って、充電しながらイートインの椅子に座って食べた。もうありがたい限りだ。
どうでもいい情報だが捨てるところがずっとなかったゴミはここまで持ち続けていた。
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ちょっと小雨が降りだしたか。15時42分再出発。
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この辺りの中高生はまったく挨拶をしてなかった。だがそれがどうした。何の問題もない。しない人がいるから、されると嬉しくなる。
全ては、すべて、上手く回っている。
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中高生が挨拶をしないというのはお年頃というのもあるから理解は出来るし、今までもそんな街は経験してきた。だがここでは珍しく小学生も挨拶をしていなかった。高松市は挨拶しない運動でもしているんだろうと考えれば納得。
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そして第83番札所神毫山一宮寺。16時6分。
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本堂。本尊は聖観世音菩薩。
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大師堂。
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納経を書いてくれたのは今まで一番若い人だった。息子さんかな。無口だったけど、もしかしたら10代かもしれない。

納経が終わると根来寺の戻りですれ違ったあのおっちゃんが来た。16時20分前、おみやげを買おうかと思っていたらこんなに遅くなったと。自分がゆったりしていたのもあるけどもう追いつかれるとは。
別格も含めて通しでここまで来た。あと3日で終わると話していた。凄いなあ、みんなほんと凄いやと脱帽するしかなかった。
別格もあるから明日は半日休むらしい。ここまで来て今更焦ることもないからと続いた言葉には、ほんとにその通りだとハッとさせられた。
その言葉で、明日強引に88番まで行かずに、登り口前の道の駅で切ろうかなと計画を変更することにした。
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この地獄の音が聞こえる(悪い事をした人が頭を入れると抜けなくなる)薬師如来の祠について先達さんがおばちゃん数人にガイドしていて、その後に僕と同じくその話が聞こえたであろう30代くらいの女性2人が試していた。僕も気になったけど、雨が強くなってきたし、もう行くことにした。
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お寺を離れる際、ちょうど納経へ行くおっちゃんと目が合って手を振ってくれたので、お辞儀をした。お互い結願まで頑張りましょうという気持ちを込めて。
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今日のお寺は打ち終わったのでこれから高松市の街中にあるゲストハウスを目指して歩いていく。
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隣接する田村神社の鳥居が見えた。
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歩いていると、いやいや、そんなに降る!?と驚愕するほど雨が激しく降り出して、まあ小雨だし大丈夫だろうと考えていたからバックパックにレインカバーもしてないし、地図も横のペッドボトル入れに入れたまま。おまけに財布も上のポケットに入れていたし、大いに焦った。チェックしていたセブンイレブンも想像以上に遠かった。

セブンイレブンに避難して、雨対策をしてからまた歩き出した。しかしまだ1時間以上は歩かないといけない。
さすがにペースが落ちてきたことを感じながらもひたすら歩いた。

何気に歩道橋初かも?と思っていたら、橋だ。杖はつけない。
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雨で靴も濡れてしまったが、山道で付いていた汚れは落ちたという複雑な現実。
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犬の散歩している人が、ご苦労様、大変やな雨で。と声をかけてくれた。
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ほほう。
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どこに行っても元気印の球児すら挨拶をしない高松に逆に感動した。すげえよ高松!と。

途中、マルナカから曲がる方向を間違えて、逆に進んでいた。あれ、なんか違う気がするな…と思ってグーグルマップを確認して気付いた。

しかし挨拶がないというのはやっぱり寂しいなと感じた。もう残り数日になってこんな想いをするとは思わなかった。
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濡れて重い靴を履いた疲れた足で、とぼとぼと宿を目指した。
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もうすぐ到着だ。どんな人がいるだろう。
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そして今日の宿のゲストハウス若葉屋に到着。18時20分。
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入り口前で濡れている笠やカバーの水滴を落としていると、中年女性が1人外から帰ってきた。しかしこんにちはと挨拶したが、スタッフではないようでそのまま中へと消えていった。(長期滞在とかでなく奥に普通に住んでいる人だった)
呼び出しボタンを押しても誰も来なかった。なのでしばらくして来ない場合はこちらへと書かれていた携帯番号へと電話を掛けた。すると男性が出て、今から向かいますと。
そしてすぐに来た。今日の宿泊客である2人の女性も同じタイミングで来た。
出してくれた麦茶を飲んで(一瞬で飲み干したけど)、サインを書いて、説明を受けた。
どうやらここは家族経営のようで、男性は旦那さんで、ベリーショートの奥さんと母親似のまだ小さな息子さんがいた。その男の子はハイタッチを求めてきたので、イェーイ!ってなノリで返した。

部屋に行くと無口そうな20代後半ぐらいの男性が1人ベッドにいたが、会話をする暇もなく、すぐに折り畳み傘を持って外出していった。
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女性2人も同部屋だった。こっちにいる友達に会いに来たらしく観光目的とのこと。どちらも30代前半くらいで、片方は太ましいというか、かなりの巨漢だった。

シャワーでも浴びるかと、荷物を見てみると大惨事が起きていた。横に付けていたバッグの中で、お接待で貰ったトマトがぐちゃぐちゃに潰れていた。まだ原型を少しは留めているが、かなり潰れまくっているので最悪な状態だ。水分に近い状態でバッグの中で広がっていたので、サンダルの袋の中まで侵入していたし、レインウェアの袋にも少し匂いが付着してしまっている。
回収出来るものはコンビニの袋に入れ生ゴミとして捨てられた。しかしシャワーを浴びる際にいろいろと洗ってみても、サンダルの袋はもうどうにもならずに捨てるしかなかった。コンビニで貰うビニール袋よりは大きめのものなので替えの袋がもうなかった。
トマトは自分で食べないなら宿の人にでもあげようかと思っていたのにこんなことになるなんて。ツイてない。(余裕がなくて県庁所在地で髭を剃る流れは途切れた。もう最後まで旅人ルックな感じで進むことに)

外はかなり雨が強くなっている。スーパーなんかに買い物に行くのが面倒だ。外に出ればサンダルも足も濡れるのは間違いないし。
ベッドで絆創膏を張り替える際に激痛で叫び声を上げたいくらいだった。
それからいっときしたら誰かが帰ってきた。外国人でもいるのだろうかとちらっと見てみたら個室に東アジア系の3人ほどのグループが出入りしていて、その中の1人の女性に挨拶してみたけどわりと無反応だった。多分日本人ではなく、中華系だったと思う。

もう何もする気が起きない。洗濯物も干さないといけないし、明日のプランも考えないといけないのに。20時前、まだ何も出来ていない。

それから洗濯は終わったが、洗濯物干場には屋根がなくてどうしようかと悩んだ。しかし、ああ部屋に物干し竿みたいなのあるわと思い出して、持って上ったらなんとかなって助かった。ベッドの中にも短い竿があったので下着等はカーテンを閉めてそこで干した。
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紹介してもらったラーメン屋は気になるし、スーパーの方がこの時間は安いらしいけど、もう一番近くにあるコンビニに行った。
ガソリンスタンドの奥にセブンイレブンがあり、そこで親子丼、甘辛チキン、飲み物、朝食、歯磨きセットを買った。
帰りは更に雨が強くなり足元はもう惨劇といった感じだったが、バス停の屋根の下で迎えを待つ美女と長時間目が合ったということもありましたどうも(なんかもう喜びを感じるレベルが凄い)。
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そういえばこの宿の奥さんの杖への対応は親切で、理解もあるようで、洗ってくれて上へ持っていけるみたいだったが、断った。
わざわざ洗ってもらうのもあれだし、それに僕の弘法大師はきっと怒ったりしないだろうから。
傘置き場の近くに置いていても、今日も出発が遅いのお、たるんどるんじゃないか? とちょっぴり小言を言われることはあっても、部屋にあげんとは何事か!!くたばれ!!とはなったりはしないと感じていたから。

女性2人組が部屋に戻ってきて、洗濯物を干していることを、なんかこんな感じになっちゃっててすみません…(照)と謝ると、全然大丈夫ですよと言ってくれて、それからほんの少しだけ話した。
男の人はベッドにカメラを置いているが、どんな人かはわからないまま。21時40分のこの眠くて仕方ない時間でもまだ帰ってきていない。
ゲストハウスでもこんな絡みの薄いこともあるんだなあと感じた。でもまあ完全に1人よりかはマシか。

一応5時に目覚ましは設定したけど、だらだらしてしまいそうだ。
右足の小指裏にかなり水が溜まっていることにふと気付いたて、久しぶりの針作業を行った。でも明日明後日とかなり痛みそうだ。
明日の降水量はそう多くなさそうだが、どんな日になるだろうか。


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