篠栗八十八ヶ所巡礼は無事結願したが、観光協会の公式HPで88箇所の堂宇+奥の院と一緒に紹介されている三つの番外霊場がとてもとても気になっていたので、数日前に参拝してきた。
歩いて回りたい気持ちもあったけれど、一日で一気に見て回りたかったので自動車という文明の利器を使用して。
三カ寺とも若杉山にあるので自然と車での登山になり、西日本の言葉でいうところの離合するのが難しい狭い道も長く、1000回くらいは崖でのカーブあるし、緊張しながらの運転にはなった。
まずは明王院から。
境内に入った瞬間から「ここは良いお寺だ…」と感じさせてくれる雰囲気。
古い旅館に見えなくもない大きな建物も。
インドの高僧である善無畏三蔵が開基で、弘法大師も修行に用いた滝がここ養老ヶ滝。若杉奥之院とも密接な関係にあると言えるだろう。
巡礼者や滝行での修行者のために広い休憩所も設けられていた。
番外霊場 若杉山養老ヶ滝明王院(不動明王)
山の反対側なので篠栗遍路の巡礼コースからは来づらいのは間違いないんだけど、番外だからと無視するのはあまりにもったいない、訪れられるのなら必ず訪れるべき荘厳な寺院だった。
滝行にとって完璧な落差と水量。水しぶきも音も迫力があった。
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お寺の方だろうか、お堂から下りてきたおばさんに挨拶をすると「いらっしゃい」と言ってくれた。
隣にある文殊院への道には何台か車が駐まっていたし、歩いていた何人かとも挨拶を交わした。平日でこれなのだから、訪れる人は少なくなさそうだ。
こちらから奥の院へと登ることも可能なのか。番外札所を独立させた日を組み込むのもありかもしれない。
住宅と一体化したようなお堂が見えてきた。こちらは昭和47年建立の高野山真言宗のお寺。
番外霊場 若杉山文殊院(文殊菩薩)
明王院と文殊院だけではなく、これから行く金剛頂院の分も合わせて、三箇所の納経を一度に書いてもらった。おそらく今までで最も若い同世代か年下の僧侶に。
なんと御守と共に、お接待でおせんべいやお茶まで頂いた。今日は歩いていないのでなんだか少しばつが悪かったが、思いがけないおもてなしは嬉しかった。
自分並に不器用さか経験値の低さが滲み出ていた納経にも番号印が押されていたように、篠栗八十八ヶ所の番外というよりは、九州八十八ヶ所百八霊場の札所と捉える方が適切なのだろう。お寺としては確実にそちらへの自負が強いはずだ。
ちなみに九州八十八~は九州本土に散らばる一応弘法大師ゆかりの地を巡る、温泉巡りも兼ねたモデルコースが設定されている(歩きは想定されていない)真言宗の広大な霊場会。お遍路や西国三十三所といった超有名な巡礼札所以外にもたまに札所って見かけたりするもんね。
期待を大きく上回ってきた素敵な寺院だった。来てよかった。
昼食はお寺のすぐ上にある「茶房わらび野」という福岡では人気のカフェレストランへ。平日13時過ぎでも駐車場の空き待ちは必要だったがわりとすぐに入れてよかった。
人気の理由はこの博多湾まで一望できる大パノラマ。夕方には夕焼けチャージ代が取られるというのも納得できる。席に空きが出て、料理が運ばれていなければ、窓際へと一組ずつ移動できるシステムも親切だ。
蜂蜜バニラの抹茶フロート。バニラアイスの外側が抹茶シャーベットのようにコーティングされていて美味しかった。
自家製ツナのホットサンド。
冷やし焼き林檎の蜂蜜バニラ添え。
豆乳もち 黒蜜きなこかけ(冷)これはちょっと優勝すぎた。
おしゃカフェなのに意外にも店員は若者ではなく、地元篠栗のおばちゃん達で、それゆえ逆に映えへのサポートが手厚かったというか、お会計後に「窓の方で写真撮らなくても大丈夫ですか?」といった気遣いも見せてくれた。
土日祝はピアノの生演奏も行われるらしい。そりゃ人気店にもなりますよ。
金剛頂院はなぜか駐車場が封鎖されていたので、目と鼻の先にある若杉学園キャンプ場の駐車場に駐めた。1時間以内無料ありがたや。
咲き始めが遅かった紫陽花はまだ残っている。
番外霊場 太祖山金剛頂院(大日如来)
せっかく来たわけだし、伽藍内も豪華そうだったが、施錠されていて入れず残念だった。人があまり来ないので閉めっぱなしなのだろうか。
お賽銭はこちらのお堂前の賽銭箱に入れるしかなかった。これで番外巡りも終わりなので最後はお堂の中でお参りしたかったな。
でもこの辺りの雰囲気は素晴らしかった。聖天堂も和多都美神社も。
今になって気付いたんだけど、多分あの奥の院への道はトラップのような案内を無視して急坂から右側に逸れていれば、遊歩道を歩けて楽しい登山になったんだと思う。
満足度を大いに削るあの急坂をどう避けるかが問題だ。こちら側からならゆるぎ岩の近くや駐車場の先の道から太祖宮の石段を目指すべきだろう。どう続いているかはわからないが。
とりあえず番外霊場参拝を済ませ、納経も貰ったので、納経帳に残す空白はお礼参りの高野山だけになった。気軽には行けないが今年中に行きたいとは思っている。前回四国の時は歩く余裕がなかった町石道を歩いてから。
先細りする恐ろしい道を再び運転。
そしてたどり着いたのは米ノ山展望台。
圧巻だ。博多や天神まで見渡せる。
米ノ山展望台 pic.twitter.com/ZvxysK52A6
— 末宗凌 (@SuemuneRyo) June 28, 2023
右側に鳴淵ダムや老人ホームが見えたのは笑った。篠栗遍路を経たからこそ面白い。
これだけの眺めなので車は定期的に来ていた。10分程滞在している間に7,8台は見たかな。その中の1台はタクシーだった。
夜景が見える時間帯に来れば更に綺麗なんだろうけど、街灯もろくにない崖道で離合はしたくないな…。ハメ外しピーポーとかも多くなるだろうし。
このボコボコの車に乗っていたのは金髪の若い男で、ギターで大声で弾き語りしながらもう一人の男にスマホ撮影させていて、それがなければもっと満足できたと思う。下りの道で後ろから煽られそうになった時はなんとか譲れるスペースがあってよかった。
展望台の次は荒田高原の集落に移動して、「まあ、さすがに大丈夫だろう…」と64番の納経所を確認してみたら、納経箱は出ておらず、正直もう呆れの溜め息しか出なかった。
車が二台駐まっていて、前回納経できた際は一台だったから、どちらかが外出するタイミングで納経箱を出して、在宅時はインターホンを押させるというやり口なのかもしれないけど、なんで手書きでもない納経所で、箱を外に出すだけの作業すらしないのか…ともはや絶望する。最初と何も変わらずインターホンを押しても誰も出てこずに納経ができないという状態かもしれないし。
協会から伝えられて、納経できずに困っている人がいることは知っているのに、ほんの少しの作業すら放棄するというのはもう本物だ。
注意されたことに腹を立てて、嫌がらせのように意地を張っているのか。いや、もうまったく、何一つ理解できない…。
篠栗遍路をもっといろんな人に楽しんでもらいたいと自分は思っていて、だからこそ、巡ってきたのに納経ができない、たった一つの納経所で悲しい気持ちになる、といった事態を避けたいのに、どうしたものか。
この実情を篠栗側が認識して、深刻に捉え、本気で変革に取り組まなければ、被害者が減ることはないだろうな。いや…ただただ悔しい。
うん、同じ被害に遭われた方が電話なりメールなりで問い合わせて、その数が増えない限りは何も変わらない気がする。
理想は荒田屋旅館から明治屋旅館等に権利を移すことだろう。でもこういう本物の人って権利や力を手離すことは渋るケースが多いしな…。
まあ、観光協会や霊場協会が解決するしかない。問い合わせのメールは今回自分も送ったし、改善されていない現状を訴えるというやるべき作業はもう済んだ。観光協会の返信からは誠意や暖かさを感じたけど、結果どうなるか。
(※後日またメールが届いて、玄関先に張り紙をして電話番号等の記載を行うという対策は取るとのことだった)
困ったちゃんが一人いるもんだからね、こうなっちゃうんだ。鳴淵ダムにいたわんちゃんさんを見て癒やされるしかない。
ダム展望台へ登っていたら蛇がいて驚いた。うねうねする生き物オールノーサンキュー。
もう夏だね。篠栗自体は本当に素敵な町なのさ。
展望台に吹く風がとても気持ちよかった。五塔ノ滝からの道で反対側を選ばなかったのは失敗だったと車で知ってしまったけど。嘘のように起伏がなかった。まあ、ミスはミスで楽しめたけどね。
なんだか終盤で愚痴っぽくなっちゃったけど、篠栗遍路リターンズというかアフターパーティーというか、歩き遍路で歩いた道を車で改めて通るのはめちゃくちゃ面白かったし、番外霊場にも参れて納経も貰えたし、おまけに茶房わらび野にも行けたし、ダムの展望台にも来られたし、結果完璧な一日になった。
ええ、皆さん、篠栗へ行きましょう。篠栗はあなたを待ってまs