九州シンフォニカー 〈熊本大分復興支援コンサート〉

昨日はアクロス福岡シンフォニーホールで行われたオーケストラのコンサートに行ってきた。
演奏は九州シンフォニカーという主に九州で活躍する若手音楽家を中心に結成されたオーケストラで、今回の復興支援コンサートは特別編成として、関東や関西で活躍するメンバーも加えての演奏。

指揮者はロシアやルーマニアでも指揮の経験がある藤崎奈美さん。
ヴァイオリン独奏は一昨年まで大阪フィルハーモニー交響楽団でコンサートマスターだった渡辺美穂さん。
コンサートマスターは東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターで、真田丸のメインテーマのヴァイオリニストの三浦文彰氏の父親である三浦章宏さん。

プログラムは以下。


*1部
モーツァルト – 歌劇「魔笛」 K.620 序曲
ブラームス – ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

*2部
ブラームス – 交響曲第1番 ハ短調 作品68


演奏を聴いて何よりも強く感じたのは、音が綺麗に揃っていたということ。
指揮者の藤崎さんと九州シンフォニカーは確か初めての共演。それなのに本番前の数日で合わせたというのがとても信じられなかった。
個々の演奏技術が高く、指揮者との息もぴったり合っているから、こんなに整った音が届けられるのだろうなと感じた。
それぞれの楽器の演奏音の乱れがないので、旋律は聴いていて心地良いし、音圧も適切だった。

アクロス福岡シンフォニーホールの音響の素晴らしさ(残響の恍惚っぷり)も含めてになるけど、CD音源では感じられない生の音の届き方(休憩時に1階から2階へ移動して聴いてみた)。
オーケストラならではの各楽器奏者の演奏をしている姿の美しさ。休符が終わりに近付き、楽器を構えて、また揃って弾き始める、弾いている動作の美しさ。
そういった部分も楽しめた。これは実際に会場に足を運んだ者のみが感じられる特権だと思う。

でも演奏について気になった点を(偉そうに)挙げるなら、それはお利口さんというか、優等生すぎるかなと感じたところ。
もっと情熱的に演奏しても良いというか、少し抑揚が足りない気がした。
クラシックに限らず、全ての音楽(芸術とまで広げてもいい)は基礎が出来ているというのは必要不可欠で、その基礎という土台がきちんとあるからこそ、その曲の良さを引き出したり、独自性を演出したり、という言わば、”魅力”に繋がる部分を構築していけるんだと思う。
ヘタウマな演奏家みたいな異端もいたりするけど、でもやはり成功者の大半は演奏技術(基礎)に裏打ちされた何かを持っている人たち。

だから今回の演奏を聴いていて、凄くもったいない気がした。
音の綺麗な揃い方を聴けば、規律的な指揮のもとで、ステージ上にいるどの奏者も演奏技術が高いんだということは、きっと会場にいた誰もが感じたはず。
それなのになんだか少し物足りなさを感じたのは、お利口さんすぎたんじゃないかなと。
正しい表現かはわからないけど、演奏技術は高いのだから、もっとアグレッシブに、もっと冒険しても良いような気がした。彼らならもっと魅力的な演奏を行うことが出来ると思ったから。
基礎とは別にある部分に人は魅力を感じやすくて、この人たち下手なのになんか良いよなーと感じることがあったりするのは、音の乱れはあっても上手くマッチしていたりするからだと思う。悲しいことに、基礎力ハンパねぇ~~!!とはなかなかならないし。歌手だって歌唱力が全てではないように。

合わせてから日数も浅いわけだから仕方がないと思うし、指揮者の藤崎さんに挨拶させてもらった際、力不足ですみません、次頑張ります。と言っていたから、これからに期待したい。いや、なんか偉そうだな。書き換えよう。応援したい、心から。
何人かの20代の演奏者とも挨拶をさせてもらって(ちなみにこのブログで数回書いた恵奈ちゃんも参加していた)、彼らの個性的で才能を感じさせる雰囲気は気に入らざるを得なかったから、彼らの活躍もまた願っている。

とまあ演奏については以上なんだけど、今回空席が目立っていたのでそれについても書いておこう。
ざっと見たところの予想で詳しい観客数はわからないけど、だいたい200人くらいいたのではと思う。しかし、福岡シンフォニーホールの通常時のキャパ数は約1800席。この日3階と2階の横の座席(2階は撮影カメラがあった)が立ち入り禁止だったとはいえ、開放されていた座席だけでも約1500席はあった。
多分、観客の大半は関係者や知り合いで、繋がりはないけどクラシックが好きだから来たという福岡県民はほとんどいなかった気がする。
福岡シンフォニーホールという美しく素晴らしい会場、にもかかわらず高めではないチケットの価格設定、熊本大分復興支援コンサート、クラシック初心者でも足を運びやすい要素は揃えっているのに、こうなった原因は複雑ではなく、単に宣伝不足だと思う。最初は福岡人なにしてんだよ!!!と思ったけど。

会場代だけで、満員でも赤字の価格設定みたいだから(寄付の分もあるし)、儲けは度外視だとしても、それでもやはり主催者やステージに立つ人達が気の毒だった。
人生の記念に1回立派なとこでやっときますか~って目的にしてはメンバーは若すぎるし。
借金とかしてなかったらいいな…とか、これだけ素晴らしい場所で演奏するのだからもっと大勢の観客の前で演奏させてあげたかったなという、何様だよお前ってなるようなことを思いました正直。どうも。

藤崎さんが寒々しくてすみません…と楽屋裏にいた熊大の女の子たちの前で謝っていたけど、一般層に認知されていて、名前だけで客を集められる指揮者なんて日本には数人しかいないわけで、別に彼女だけの責任ではないと思う。
充分な協力者(マネージャーやプロモーター)がいないにしても、自分が主催側なら、西日本新聞と読売新聞福岡版にでも広告を出して、利益は然程変わらないにしても、観客を増やすことを目指しただろうか。
でもそういった宣伝等の音楽以外の部分が難しいのはとてもよくわかる。
会場によっては知り合いが知り合いを連れてくるだけでなんとかなるときもあるだろうけど、会場が大きければ大きいほど事前に観客がどれだけ来るかなんて予想つかないわけだし、どの宣伝をしたらどれだけの効果が見込めるかなんてのもわからないし。
うん、難しい。

でもとりあえず、僕は行って良かったと感じた。
オーケストラ自体生では久しく聴いていなかったし、交響曲をガチっぽい会場でガチっぽい演奏で聴きたいなーと長いこと思っていたから。
個人的に一番かっこいいと思ったのはティンパニの永野哲さん。さすが元九州交響楽団。かっこよかった。
あれこれと書いたけど、演奏には満足で、充分楽しめた。

コンサートが終わると、恵奈ちゃんの両親にご飯をご馳走してもらった(恵奈ちゃんは打ち上げの方に参加)。いつもお世話になりまくりでテイクアンドテイク感凄くて申し訳ない。僕に出来ることといえばもう観客としての応援くらいしかないので()クリスマスも大濠公園の近くで演奏があるとのことなので行く予定。

帰りは普段通らない道を歩いた。白い息を吐きながら、寒いからこそ綺麗な星を見上げながら、家路を辿った。


更にコンサートに関係なくなるけど、コンサートの前にキャナルシティでしか上映されていない「この世界の片隅に」を観に行こうと計画立てていたら、なんか天神でぶらつく予定って友達がいて、んじゃ一緒に観る?的な流れから、映画の前に天神コアの屋上でやってるHKT48の5周年イベントに行って、少し遠くから立ち見していると、前の方のブロックにあれよあれよと流されて、一発芸大会みたいなのを前で見られることになったのは良いものの、これ途中で出られないから映画はパスだな…となったのです。
HKTの知ってる曲はメロンジュースと最高かよくらいで、メンバーも有名な子以外は、なんか何気なく見てたローカル番組で面白かった村重っていうハーフの子と、若田部の娘の若田部、そのぐらいしか知らない感じな人間が、もうガチオタの異様な空気の中で数時間立ちっぱなしだったから、物凄く疲れた。
でも面白かったは面白かった。今まで経験したことのないものを経験するのはわりと好きだし、何より村重のキャラが良かったから。彼女は間違いなくMVP。口にマシュマロ詰めてただけだけど。

その後はスタバで抹茶ティーラテを飲みながら、自分はコンサートの入場時間を、友達はHKTのライブビューイングの時間を待っていた。
んでその間、ポケモン新作のムーンを買ったはいいけど、1週間ピチュー探し続けていて先に進めないって聞いてたから、レアすぎるというよりは場所違うんじゃね…?と思って調べてみて、出現するのは最初の草むらじゃなく、祭壇付近の草むらということがわかったので、適当にそこを探してたら4,5匹目で出てきて、出現させて、はい、出たよと渡して、ゲットするのを見守るというかっこいいことしてきました。ありがとうございます。ありがとうございます。
一日一善は理想だと思っているけど、この日の一善(?)はまさかのピチューっていう。
HKTの一発芸見てから、ピチュー探して、クラシックオーケストラのコンサートへ行くという不思議な日でしたとさ。

おしまい。


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