6月20日。
5時前に、雷が近くに落ちて大きな音が響いた。雷雨だ。
朝食はテントの中で冷えた焼き鳥を食べた。
トラックの水しぶきはテントまで飛んでくる。激しく降っている雨も風に吹かれて当たることがある。外に置くしかなかったものはほとんど濡れてしまっている。
大雨警報は出ているし、雷洪水注意報も出ている。雨の予報は3日間だったのに、これから1週間全部雨になっている。まじかよという言葉しか出ない。
これだけ雨が降ればお寺までの4kmもない道でもびしょ濡れになってしまいそうだ。
テントから上半身だけ出して荷物整理をしていたら車の水しぶきを被りびっしょ
テントの中にはやはり蚊が1匹入っていた。さぞかしお腹いっぱいになったことだろう。重くなった体で目の前を飛んでいたので、最終的に殺生をした。豚と同じように、肥えゆく蚊もまた幸せとは限らない。
状況が状況だけに、今が87番手前とかだったらいいのになと切実に思った。だが今から参るのは43番。
もうこのままテントの中に居続けたいってほどの大雨だった。7時前になってもまだまだ降っている。一日中降るのだろうけど。
休憩所にあったありがたいメッセージ。だがお手洗いは時間外だから使えない。
自分の価値観が固められていくのがわかる。自分なりに生き続けてできあがった自分のもの。
濡れながらテントを畳まないといけなかったが、あまり早く行き過ぎてもヒッチハイクしてくれる参拝客がいなそうだから、準備はゆったりと進めた。
もう今日はサンダルで歩くことにした。どうなるかはわからないが、どうせ濡れてしまうわけだから。
通勤通学に向かう人々の目には自分はどんな風に映っているだろう。遍路なんて見慣れすぎていて何も思わないか。
通勤の車や通学のバスは通っても、歩いている人はいない。雨の日に歩くということ。重い荷物を背負って、爪を腐らせながら、歩くということ。頭がおかしいと思われそうだ。
なぜこの時期にと疑問に思う人はいるかもしれない。
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