四国歩き遍路の旅 1日目

5月23日。
出発の夜。だけど現地には着いてないというこの日を何日目と数えるかは難しいけど、この1日目に書いておく。
出発前の気分は不思議と無心に近い状態で、ワクワクもドキドキもなければ、期待も不安もないという精神状態だった。
お遍路だからなのかどうか理由はわからないけど、出発の何日も前からずっとそんな感じだったのは覚えている。

移動手段は夜行バス。安くて、宿代がかからない。良い乗り物です。もっと年齢が上がると抵抗が出てくるのかもしれないけど、まだ普通に乗れる。
元々はキャナルシティから出てる徳島行きのバスに乗る予定だったんだけど、実は四国八十八箇所巡りには出発の挨拶を京都の東寺でする習わしがあると結構ギリギリに知って、博多発の京都行きのバスに乗ることにした。
幸いキャンセル料は掛からなかったし、繁忙期ではないからチケットも普通に取れたんだけど、乗り継ぎの京都から徳島行きの高速バスは日付間違えてその分変更料を払うというドジはあった。うん、この手の不注意たまにやらかす。

バックパック背負って、あたかも観光客のように撮ったKITTE博多。実はまだ行ってない。
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馴染みのBUS STOP CAFEで時間まで待って、それから乗り込んだ。21時15分発。
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バスに乗り込んでも気持ちは変わらず、感情がまったく湧かないというのではなく、ただ落ち着いている、そんな状態。寂しさ等も感じない。
ただイヤホンから流れてくる音楽(落ち着いた気分だから落ち着いた曲が多め)と、使い捨てマスクの匂いとバスの走行音。
いつもこんな精神状態なら良いのになんて思った。普段思い出したり、考えたら心が乱されるようなことが頭に浮かんできても、ほとんど乱されない。ただ頭に浮かぶだけ。

車内で目についたのは、一人のおっさん。アナウンスで注意を促されていたにも関わらず、バスが走り出すと肘置きの上から両足を投げ出して、そのまま眠りについて通路を塞いでいた。
老若男女マナーが守れない人間ってのはいるけど、やはり割合的には中年以上が多い気がする。
若者の中にも当然いる。でも若者のときからそういう迷惑行為を繰り返し、もう罪悪感も羞恥心もいささかも感じなくなった厚顔無恥の、いわゆる老害と呼ばれる層が一番たちが悪いし、目立つ。

どれくらい遡っていいのか忘れるくらい、ずっと不眠症が続いていたからこのバスの中でも眠れなかった。
やっぱり睡眠導入剤あたり持ってくればよかったなあと後悔しつつ、美東サービスエリアで休憩。
無料の緑茶を紙コップに注いで、いやこんなに熱いのすぐには飲みきれない…と悲しいことになっても、癒してくれたツバメの巣。夜空には十六夜の月が浮かんでいた。(iPhoneではちゃんと写ってないけど)
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日付けは変わって、5月24日。
いつかと同じようにまた一人でカーテンに潜り、車窓から朝日を眺めた。
他の乗客はみんな当然寝ていて、そのことを素直に羨ましく思った。眠れないというのは本当に辛い。
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京都駅に7時半に到着。
歩いて東寺まで移動。すれ違うのはキャリーバッグを持ったいかにも観光客風な人達と、ビジネスバッグを持った通勤している地元の人達。歩きながら髭を剃る人を初めて見た。
だいたい15分ほどで東寺に到着。
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指がかかっているのか、空がこんな色だったのかは今となっては誰にもわかりません。
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通り抜けルートになっているようで、この時間は高校生や社会人が多かった。自分が去る際に修学旅行生の団体が来るまで参拝客は数えるほどしかいなかった。

「身は高野、心は東寺に納めおく」という御詠歌があるように、弘法大師空海は高野山の奥の院に入定していても、心はここ東寺にあるとしている。
東寺のホームページにも書いてあるんだけど、昔から東寺で出発の挨拶をして、奥の院で巡礼終了のお礼を四国八十八箇所の巡礼者達はしていたらしい。
出発前は慌ただしくしていたことぐらいしか覚えてないから、このことを自分がどうやって知ったのかは忘れたけど、でも本当に出発前に知れて良かったと思う。
道中で出会った人達も、終わった後に高野山に行くということは知っていても、東寺に出発の挨拶をするということは知らない人が多かったから。それに、旅が始まる前と旅が終わった後に特別な場所に行くってなんだか素敵だし。

本堂にあたる金堂の本尊は薬師如来。講堂には弘法大師が伝えた密教の象徴である大日如来を中心とする密教尊が安置されている。
もちろんお参りしたかったんだけど、拝観時間が8時半からで(この時はまだ8時半なっておらず)、おまけに有料だからその受付というか、支払い等の時間やお参りの時間も考慮して今回はやむなく見送ることにした。

それでも絶対に見送ることができないのはこの御影堂(大師堂)。東寺に来たらまずはここにお参りするのが決まり。
大師堂は多分開門の5時からお参り出来るのかな?8時過ぎでもお参りすることができた。
写真では外に人がいるけど、靴を脱げば中に入ることができて、そこで初めて南無大師遍照金剛と唱え、納め札を納札入に納めた。
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納札。これは途中で買い足したものだからこの時自分が持っていたものとは書かれてあることが少し違う。
それには奉納八十八ヶ所~の右に年月日、左には住所と姓名とだけ書かれてあって、シンプルなデザインだった。願意なんてまったく書くつもりないからそちらの方が好きだったかな。
個人情報を悪用する輩がいるから住所を細かくは書かない方がいいとのことだったので、名前と日付だけ書いて納めていった。名前は筆ペンで事前に書いておいて、日付はお寺に着いてから書き込むというスタイルだったけど、途中からは名前書いてある札がなくなって、日付を書き込むのも億劫になったから、何も記入せずに納める形に変えた。(今になって知ったけど、事前に書く場合は○年○月吉日でもいけるらしい)
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納札は巡拝した回数によって色が変わる決まりで、1回目から4回目は白。7回目までは青。24回目までが赤。49回目までが銀。50回以上が金で、100回以上が錦となる。青と銀は見かける機会が少なかったように感じた。金と錦は一般販売すらされていない。
納札箱にあるいわゆるレアな納札を自分のものと交換する人がいるらしい(自分が目にすることはなかった)けど、最高に品が無いし、そもそも不偸盗だからやめた方がいいと思う。
納札は基本的に200枚綴りで販売されているけど、88×2(本堂と大師堂)で180枚近くも納めるし、名刺代わりやお礼としても使うから人によっては足りなくなる。中には神(仏?)隠しに遭う人もいるらしい。誰とは言わないけど。

御影堂の正面にある大日堂にもお参りした後、納経所になっている食堂(じきどう)へ。
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食堂の中にも像があって、本尊として十一面観世音菩薩が安置されている。
でも一応お賽銭を入れたりはできるようになってはいるんだけど、まだ8時半前で中には入れない。
ここで88箇所+東寺+高野山のページがある納経帳を買い、納経を貰うという目的で来ていて、それを京都駅9時10分発のバスまでに済ませる必要があったから結構な焦りが生まれる。
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バス内でリラックスできる為にサンダルを履いてたんだけど、ここから京都駅までの時間を少しでも短縮する為にとりあえず待っている時間で靴下を履いてから、靴に履き替えた。
とりあえずもう待つことしかできずに、バス間に合うだろうかと心配していたら、自分の前で待っていたおばちゃんから話しかけられた。
これから自分は遍路旅に出ることを伝えた。そのおばちゃんは四国八十八箇所は交通機関で行けるところは行ったと話してた気がする。
今思い返せば沢山の人と話をした旅の一番最初に話をした人がこのときのおばちゃんだった。歩いて回るということを応援してもらったのも最初。

食堂は8時半になる少し前に開けてくれた。(開いてないということに気付かず普通に扉を開けて入ってしまって、まだです…という流れが先にあったからかもしれない)
本尊の左手前に売店兼納経所があって、自分が探している納経帳の位置を教えてもらってから、その教えてくれたおばあさんにそのまま納経をしてもらった。
ちゃんと東寺から始めるなんて勉強熱心ねえと褒めてくれた。お寺の匂い、つまり線香の匂いが印象的だった。
外からもお参りはしていたけど、中に入れたから本尊の前でもう一度お参りしてから出た。ちょうど8時半だったと記憶している。助かった。

納経帳。サイズは多分B5で、ハードカバーだから結構サイズ感がある。
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御詠歌が書かれてある各ページに納経を貰っていく。始まりの東寺(教王護国寺)で90分の1。
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もっとゆっくり見て回りたかったけど徳島へのバスの時間が迫っていたから慌ただしく東寺を去った。
五重塔もせっかく特別公開してるのに残念だった。またの機会に。
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早足で京都駅へ向かう。早く食堂を開けてもらえたから少し余裕を持って到着できた。
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KIMONO.
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バス乗り場前で待っている間に前日に買ってあったサンドイッチとおにぎりをバスの中で食べるために取り出した。
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バスに乗り込んで、適当に外を眺めていたら、行き先に金閣寺や平安神宮がある京都はやっぱりかっこいいなあと。
多分良い気分になっていたんだろうけど、今の僕はここにいて、今の人生を生きているんだななんてしみじみと感じたり。
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バスは予定通り9時10分に出発。ちょうど東寺の横を通ったりしてくれて、バスの中から見る・感じる古都というのもまた良かった。
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バスに揺られていれば、勝手に運ばれていくもの。気付けば明石海峡大橋を越え、淡路島。
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そして徳島へ。
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正午過ぎに徳島駅に到着。
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電車で1番札所のある坂東駅へ。板野駅行きのこの電車は勝瑞駅で(特急列車追い越しで?)しばらく停止していた。
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でもきちんと午後1時前に鳴門市にある坂東駅へ到着。無人駅だった。
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一人のおばちゃんと一緒に降りたけど、そのおばちゃんはどうやらタクシーを呼んで一番札所まで行った。
スパッツを履きたかった自分はトイレで着替えた。ぼっとん便所で。仕方ない。
なんだかいろいろと足りない気がしたけど、追々で整えていこうと。気持ちが整っていないだけで、別に足りないものは特になかったんだけど。

1番札所の霊山寺に向かって歩く。最寄り駅だから1kmもない。このタイプの道標は矢印もわかりやすく、残り距離もあって、旅の間何度もお世話になった。
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始まりへと向かう道はこんな道。あふれ出す日常感。
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すぐに参道へ。奥にはもうお寺が見えている。さすがにワクワクするような気持ちが高まる。
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一番札所が目の前に。いよいよ。
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と見せかけて、まずは遍路用具を揃えることに。きちんと揃えてからお寺の中に入りたかったから手前にあるお店で菅笠と金剛杖を購入。
菅笠はサイズが大きいものと小さいものがあったんだけど、大きい方が深く被れて雰囲気出るからかっこよさそうという理由でそちらを選んだ。浅はか()
梵字が前だからねと売店のおばちゃんが複数回注意してくれたおかげでしっかり覚えた。弘法大師を表す梵字を前に正しく被ると真後ろには同行二人という文字が来る。弘法大師が道中常に導いてくれるという意味になるらしい。
その2つの他には四方に「迷故三界城」「悟故十方空」「本来無東西」「何処有南北」と書かれてある。
意味は「迷うから三界(欲界・色界・無色界)の城壁に囲まれてしまう。悟れば周囲は空のようにひらける。本来東も西もなければ、南も北もないのだから」といった感じかな。解釈は人によって変わるかもしれない。
金剛杖はお大師様の化身とされているから、頭にあたる部分を直接触るのはどうなんだろうということでカバーがある方(ないものより値段は少し高い)を購入。カバーには鈴が付いていてこれが良い音が鳴らしてくれる。カバーの下には梵字に続いて、「南無大師遍照金剛」と「同行二人」と書かれてある。
「南無大師遍照金剛」は、南無は帰依するという意味で、大師は弘法大師のこと、遍照金剛は宇宙の真理そのものである大日如来と灌頂(キリスト教でいう洗礼のようなもの)で縁を結んだ空海に贈られた名前。つまりこの世の一切をあまねく照らす最上の者=大日如来の別名でもあり、「南無大師遍照金剛」は御宝号という真言宗で最も短いお経。意味は難しいけれど、この御宝号を唱えることは、真言密教の「即身成仏(=何度も生まれ変わって仏になるのではなく、この身のまま仏になる)」という教えを私は信じます。で合っているはず。
ちなみに大日如来は神仏習合の考えでは天照大御神と同一視されていたみたい。この宇宙を感じられ、天照大御神と同一視されていたという点が自分を(今まであまり興味を抱いていなかった)仏教へと導いてくれた、深い関心を持たせてくれた理由の一つだと思う。日本人である空海が説いたわけだから当然っちゃ当然なんだけど、実に日本的だとも思う。大日如来(無限宇宙の超越者であり内在者でもある)の元で全て(仏も人間も)は同一という考え。
白衣と納札は既に持っていたから購入せず。でも白衣はここで取り出して遂に自分も遍路の格好になった。(この時点では写真撮ってないから他の人を見てみてください。ほぼ一緒の格好だから)
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そして第1番札所、竺和山霊山寺。始まりのお寺へ。
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境内に入ってまず何をしたかというと、まずは、そわそわした。なんだか落ち着かなくて、いっとき何をしていいかわからなかった。
辺りを見渡して、とりあえず本堂にお参りをすることに。
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本尊は釈迦如来。御宝号を唱えお参りをした。自分は読経等かなり省略しているけど、それでも流れにまだ慣れておらず、数カ寺回るまで戸惑い続けた。
自分のお参りの流れは、山門で一礼して境内へ入り、手水舎でお清めをして、本堂で一礼してから、三回合掌礼拝、御宝号を三回唱え、一礼して終わり、次に大師堂へ向かって本堂と同じようにして、納経を貰い、山門で一礼して去る。という流れ。
最低限御宝号は唱えましょうというのを読んで、まあ最低限は…ということでこの形にしたけど、宗派等気にせず般若心経等読めば良かったと後に後悔することになる。
最初は手短に済むし、これで良いやといった感覚だったのに、不思議だ。信仰心が旅の中で芽生えてきたということなんだろう。

本堂の前で白人の男女が線香やロウソクに火を灯しているのを目にした。どうやら結願したみたいだった。

大師堂へ。本堂と大師堂でお参りするのが四国遍路の巡拝。本堂はそれぞれ本尊が違うけど、大師堂は名前の通り大師像が安置されている。
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鐘を突けるお寺も多かったけど、この一番札所から自分はほとんど鳴らすことはなかった。もし大きな音が出たら他人に迷惑をかけてしまうからという理由で。
この先数え切れないほど、どれだけ大きな音を出せるか競争しているのかというような団体客等に遭遇し、その人達が鳴らす(大きすぎる)音で幾度と無く不快な想いをした。自分がそちら側ではなかったことは良かったと思う。(そういう迷惑な参拝客対策なのか鳴らせないようにしてるお寺も沢山あった)
鐘を参拝後に鳴らすと戻り鐘といって縁起が悪いということも事前に勉強しておいたんだけど、結構戻り鐘をする人は多かった。単純に知らないだけなんだろうけど。
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多宝塔。
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なんだか無駄にバタバタして、持っているミラーレス一眼を出す暇がなかった。
ペットを連れてお参りする人がいたけど、この先お寺によっては境内に動物を連れ込むのは禁止になってた。
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お参りを済ませたので、本堂の横にある納経所に向かったけど、今はお昼休憩中だからできないと言われた。(確か午後1時半頃)
そんなことがあるとは知らなくて驚いた。そこは靴を脱いで上がるようになっていて、時間のかかる旅になりそうだと感じた。
焦ることはないけど、でもただ時間が過ぎていくのは気になる。
荷物のとこまで戻ったら、他の人に売店のとこなら納経できるよと言われたけど、どう見ても今のとこが売店っぽいし、どうしていいかわからないまま。
いっとき待ってたんだけどなかなかお昼休憩は終わらない。困惑すること以外何もできない。
でもこのままじゃ時間がもったいないから、売店って他にあるのかもしれないと探すことに。そして、はい、わりとすぐに見つかりました。奥というか手前というか、駐車場の方に。
そこでおじさんに納経をしてもらった。納経をすると御姿と散華という名刺ぐらいの大きさの紙も貰えることを知った。御姿は本尊が描かれていて、散華は閏年限定のものみたい。
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とりあえずこれで一番札所はおしまい。山門の方へ戻り、一礼して次へ向かおうとしていたら、おじさんに写真を撮ってほしいと声を掛けられた。
彼が山門を前に映る姿を撮った。話をすると今ここで逆打ちの車遍路が結願したらしい。おめでとうございます!と伝えると、ちょっと待っててくれとのことで待つことに。
その待っている間、売店ですれ違った60代くらいの白人男性二人と日本人女性と接した。僕の姿を見て男性が歩きたくなったとのことで、次の札所までの距離を教えた。
戻ってきた車遍路のおじさんはメロン最中をくれた。メロン最中というものが存在することを初めて知った。静岡の人だったから地元から持ってきてたのだと思う。
そしてこれが初めてのお接待。お礼を言って、二番札所へと歩き出した。

風が強くて笠が何度も飛ばされそうになって、これ買わない方が良かったんじゃ…と思ったのは事実です。はい。
また、杖のカバーが結構ぶかぶかで、突いて持ち上げるたびにカバーが取れそうになって、これもry…と。はい。(正しい持ち方・突き方に慣れれば大丈夫だった)
そして熊野古道を歩いた自分がまず思ったことは、目印が少ないということ。熊野古道は旗が要所要所にあるから結構遠くからでもあれが正しい道かと気付くことができるのに比べて、遍路道は旗はなく、小さなシールが貼られているだけだから、これはなかなか大変だなと。正しい道を進んでいればまだマシなんだろうけど、間違うと絶対面倒なことになるということはすぐにわかった。
多分即道を間違えてて、車道コースを歩いていた。早めに気付いて訂正できたのは良かったけど。
マットをいつの間にか落としていて一台の車が自分の先でわざわざ止まってくれて「落としたよー!」と教えてくれた。ありがたい。恥ずかしかったけど助けられた。何十メートルか戻って拾い上げると、固定する紐をしっかりと締め直した。

のどか。
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多分この見えている道を歩いてくるべきだった。
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正規ルートに戻ってきたからあった遍路マーク。
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大きな鳥居がある神社をスルーして、
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第二番札所、日照山極楽寺。14時半頃到着。
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庭園の先にある階段を登って本堂と大師堂へ。
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本堂。本尊は阿弥陀如来。
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大師堂。
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弘法大師が植えたとされる樹齢1200年の霊木、長命杉。
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この後納経所で納経をしてもらうんだけど、終わってから次へと向かって歩いていたら杖を忘れていることに気が付いた。
購入したお店のおばちゃんが若い人は杖つかないから忘れやすいので気をつけてねと言ってたのを思い出した。本当にすぐ気付いて良かった。

3番札所へ。この辺りは札所の距離が短いので落ち着く暇もなく次へと進む。
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歩き遍路の為のへんろ道。
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横から入るような形で、第三番札所亀光山金泉寺へ15時15分頃到着。
本堂。本尊は釈迦如来。
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大師堂。
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境内は自分以外の人はいなかった。納経は30代ぐらいだったかな?そのくらいの年齢の女性にしてもらった。おじいさんおばあさんと言えるような年齢の人だけではないのだと知った。

仁王門。
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お寺が閉まる5時は迫っているから急いで次の4番札所へと向かう。

散髪屋に決意の大坊主!って書かれてあるポスターを見つけて何でもありだなと笑った。
リアカーを引く歩き遍路の男性とすれ違った。今日はどこまでかね?と質問され、6まで行けたらいいんですけど厳しいですかね?と返すと、いっぱいいっぱいやねと。頑張ってと言ってくれた。

こんな道を歩いて4番へと向かう。この時点で16時前だから6番は当然厳しい。(お寺はどこも17時に閉まる。つまりお参りができたとしても納経が貰えない。)
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どこを歩けばいいのかはわかるけれど、古い道。結構こんな道が残っていた。
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住宅の裏に続く道。熊野古道でもあったけど、グッとくるものがある。
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田植えから少し成長した稲が見える。
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へんろ道を抜ける。
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そして第4番札所黒巌山大日寺に到着。16時20分過ぎ。
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お参りと納経を済ませてお寺を出た後で本堂(本尊は大日如来)や大師堂の写真を撮ってないことに気付いた。
戻って撮っていたら次が間に合いそうにないなと諦めた。撮ったのだけを載せるようにすればいいやと。

2km先の5番札所へ。
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ピント合ってないけど、気合の入ったカカシ?。
向かいにある珈琲を出しているお店からはカラオケの声が聞こえてきた。
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そして歩いて5番札所地蔵寺がというとこで、大師堂が見えた。とりあえずもう5時前だったから早くお参りしなきゃと焦っていたら、お寺の人が出てきて下だよ、急がないと時間ないよと教えてくれた。
そうか、本堂は下にあるのかと。階段を何十段か降りて、もう走るぐらいの速度で本堂でお参りを済ませて、次は大師堂だ!と急いでまた上がってきた。(本堂→大師堂という順で参るのが習わし)
うん、実はここ別のお寺でした。ありがとうございます。
5番札所とは無関係ってことはなく奥の院ではあるんだけど、五百羅漢というお寺で、うん。地蔵寺に本堂も大師堂もありました。ありました。
下にある地蔵寺にまたまた走って戻るという激萌えドジっ子プレイ
戻ったら境内にいたおばさんに時間ないから先に納経貰って~と言われて納経所へ向かった。(このとき急ぎすぎてて最初上手く聞き取れなかったのが理由なのか、外国の方?というお言葉をいただきましたどうもです)

第5番札所無尽山地蔵寺の本堂。本尊は勝軍地蔵。
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大師堂。本堂の向かいにある。
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梵鐘と修行大師像。
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近くにあった自販機で飲み物を買って、5時過ぎにイチョウの木の下にあるベンチに腰掛けて小休憩。
今日のお寺参りは時間切れということで、ここまで。

7,8分ほど休憩してたかな。とりあえず今日の寝床候補の小屋へと向かう。
さよなら地蔵寺。
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確か参道を離れてすぐのとこでおばさんに今日の宿は決まってるの?といった質問をされた気がする。多分民宿森本屋の女将さんだと思う。

まだまだ落ち着かない気分のまま、歩いて行く。
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途中家の前で泣いているのか疲れているのかうなだれていた男の子とおばあさんに会った。挨拶をしたけど、この組み合わせはこの旅ではやはり感慨深いものがあった。幼い自分と祖母を思い出すようで。

神宅小学校の近くにある小屋へ到着。間違いない。ここなら寝れる。良かった。
すぐ隣はお墓だったけど、まったくそんなこと気に掛けてもいなかった。気にする余裕がなかったのかもしれない。(お墓側に板が打ち付けられていた配慮のおかげでもあると思う)
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お墓付近をうろちょろしてた黒白の猫。
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歩いて少し離れたセブンイレブンまで行き、夕食を購入。小屋に戻ってから食べることに。
冷たいものが食べたくて買ったアイス。先に食べないと溶けちゃうから先に食べた。美味しかった。
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小学校から聞こえてくる野球少年の声を聞きながら、冷やしうどんで晩餐。
でもお腹減ってるはずなのに全然食べられなかった。時間経っても食欲を感じられずに、無理やり口に運べる量にも限度があって、苦しくなって途中で諦めた。
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ずっと放置ってわけにも行かないから一つだけ取り出して食べたメロン最中。美味しかったとは思うんだけど、案の定喉は乾いた。
飲み物はメロンソーダだったから、もう無意識的にメロンフリークに。
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とりあえず目についたポテトチップスと煙草の空箱は自分のゴミ袋に入れた。

我が荷物と遍路用具。写ってないところに出してる分があるけど、それでもこのときはまだ少なく感じる。
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とりあえず初日の活動を終えて思ったのは、これがあと39日も続くのか…。なかなか帰りたいな…。と。
楽しむ余裕もなくて、心は落ち着かないままで、ただお寺を急いで回っているだけだったからそんな気持ちになっていたんだと思う。

日が暮れて一人のおじいちゃんが来た。どうやらここを管理している人らしい。
この人はいろんな話をしてくれたんだけど、ネイティブすぎるせいか全然聞き取れなくて、おまけにお年のせいか同じことを何度も繰り返すから、なかなか聞く方も大変だった。
この辺りをうろついていたべっぴんの女の子が実は失恋をして遍路旅に来たらしく、今すぐ親に電話しなさいと言ったという話。
ここらへん出身の人々が北海道に移り、出世していったという話。
聴き取りづらかったけど、いろいろと話してくれた。聞き取りづらかったけど。
最後に今日は一人みたいだから畳で柵を作ってしまえばいいとのことだったので、柵を作って快適空間を作った。
この小屋は畳があって、その上に布団に寝れるという素晴らしい小屋だった。他の小屋がどうなってるかは知らないけど助かった。前日は外国人とかもいて、満員だったらしい。

言われた通りセットしたらこんな感じに。
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まだ早いけれど明日はもっと歩くのだから、その為に寝ようと試みる。
虫の鳴き声、カエルの鳴き声、車の走行音、人の声、どこかから聞こえる太鼓の音。
いろんな音が聞こえるけど、時間が経って、なんとか寝れるんじゃないかという睡魔の波が来た。

その睡魔の波と一緒にさっきのおじいちゃんもまた来た。
「んんんーwww寝れそうだったのにーwww」と思いつつ、暗い中、畳の柵を外して、聞き取りづらいお話をまた聞くことに。
マシンガントークと言っていいほどおじいさんはずっと話し続けていた。自分の中にある眠気がどんどん去っていくのを感じた。
いろいろカオスで何話しているかわからなかったけど、無視するのも良くないから適度に相槌を打った。
かろうじて聞き取れたのは、九州に行ったときの話、80を過ぎてからの同窓会の出席率の悪さ、最近のおなごは金がかかるからいかん昔は映画に連れていくだけで大喜びしてたのに、人生とは。そういう内容だった。
家内が一年前に倒れて今は寝たきりらしく、話し相手がいなくて寂しいのかなと思って、自分もなんとか頑張ってみた。
後に出会った人はこの小屋で多分同じおじいちゃんに話しかけられて、話が長くなりそうだと思って逃げたらしいけど、まあこの状況では逃げることもできない。
二、三年後とかにまたおいでと言っていた。自分は生きてないかもしれないけどと。そういうのは切なくなる。
話すということに満足したのか、おじいちゃん帰って行ったときには自分の睡魔は完全に消え去っていた。

再度寝ようとしても、元々不眠症というのも含めて、寝れそうなタイミングを逃すとその後長時間眠れない人間だし、おじいちゃんまた来るんじゃないかという恐怖もあったし、まあしんどい状況に。
思いがけず、とても厳しい初日の夜だった。

(ルートマップは基本的に歩いた道を忠実に再現してるけど、境内を歩きまわったり等で歩いた距離は万歩計アプリより少なく表示されている。また山道や細い路地はなぞる道がなかったりで大雑把なルートになってたりもするから、全てが正確ではないのでご了承を)

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