サンティアゴ巡礼 -フランス人の道- Day 15

4月26日。
6時27分にスマホで時間を確認して、うとうととしていたら30分のアラームが鳴ったので一瞬で止めた。同時に教会の鐘も鳴っていた。
おっちゃんは最初いびきをかかず、めちゃくちゃ静かでラッキー!と思っていたのに、徐々にうるさくなっていった。面倒だったから途中で耳栓をつけたりはしなかったけど。
ふくらはぎが筋肉痛だ。右手首は相変わらず。肩は荷物を背負って歩いていたら痛くなるのはわかっている。足の目立つマメは減っている気がする。
ブエノスディアスと朝の挨拶をすると、この怪しいおっちゃんは意外と若いのかもしれないなと思った。40代前半あたりだろうか。

おじいさんはまだ起きてないのか、チェコ女性と2人で朝食だった。町の名前は覚えてないけど今日は30km程歩くらしい。多分同じカストロヘリスだろう。
彼女は15日にサンジャンからスタートしたと言っていた。自分より3日も早いので、タフですねと言った。でも毎日30km歩ける人なら無理ではない。昨日ブルゴスもそのまま通過したとのこと。自分はブルゴスでは休暇を取ったよと話すとナイスと言ってくれた。
彼女の娘も夏頃に歩きたいらしく、オスピタレロのおばちゃんに混雑状況を聞いていた。その流れで宿泊リストを見せてもらったのだが、7,8,9月は尋常じゃないくらいの宿泊数で、そういった繁忙期は(この小さな町でも)フルになるから、前後の大きな街のムニシパルの方が安全と教えていた。
チェコ女性はこの町は素敵ねとも言っていた。オスピタレロ曰く、教会の鐘は午前6時から午後11時まで鳴っているらしい。

満腹になるまで食べた。ビスケットにジャムを挟んだり、パンももうちょっと食べておこうとまた貰ったり。オスピタレロのおばちゃんもいっぱい食べなさい!といった感じで出してくれたし。

一階にも客室があることに気付いたが、混雑していると食事やシャワー等かなり大変そうだ。天気が良ければ外で食べたりもできるだろうけど。
昨日夕食を食べに来たと思っていた男女はこのアルベルゲに泊まっていた。でも巡礼者っぽくはない。
あ、充電器入れてないとか、日焼け止めを塗ろうとか、サングラスは初めからかけておこうとか、準備体操をしようだとかで朝の時間は経過した。

出発のときにオスピタレロのおばちゃんがペンダントをくれた。最初ミサンガをしてくれるのかと思って腕を出したけど、何重にもして手首に巻かないといけないのでやっぱり首にかけてもらった。
こんなプレゼントがあるなんてまったく想像していなかったのでとても嬉しかった。めっちゃ素敵やん?

チェコ女性が言っていたように寒い。でも朝はいつもこんなもんか。

この町も、このアルベルゲも、ありがとう。

それじゃあ、行こうか。


自転車夫婦が自分を追い越していったのだが、旦那さんは成功したのに、奥さんは上り坂を登りきれず完全に停止してしまい、何か一言呟いてから自転車を下りた。それからこっちを見て笑うので、そりゃもう笑い返すしかなかった。しばらくしてまた追い越されるときに、頑張れー!と手を挙げて応援した。

今日は今日とて美しい道。毎日こんな道が歩けて嬉しい。誰かが未成年淫行してたって、自分は聖なる道を歩こう。
これが今の僕の日常。頑張らなければ進まないけど、頑張りがいのある素晴らしい日々。

後ろから2人来ていたが距離は離れていく。いや、3人になっているな。一つ前の町に滞在していた人たちかな。(増えた1人はチェコ女性だった)
ブルゴスからは多くの人が発つだろうが、余程の早出・健脚じゃなければまだ追いついてはこないだろう。

フランス人の道は西へと続く道なので、いつも後ろを振り返ると東の空から太陽が昇ってくる。日出づる国は最近寒いらしいけど、みんな元気にしているだろうか。僕の大切な人たちがみんな無事に、幸せに過ごせることを遠い異国から祈る。祈りながら歩いていく。

黒い犬たちが登場。

でも一匹が吠えたので飼い主が呼び戻した。

少し離れた場所にいた飼い主と手を振り合った。木の下にキャンプのような空間があり素敵だった。

旦那さんが鼻の頭に日焼け止めをたっぷり塗った自転車の中年夫婦とすれ違った。爽やかだったな。

振り返れば嘘みたいに美しい景色。太陽は偉大だ。

こまめにバックパックの左側のストラップの位置をずらしているからまだ肩は死んではいない。他はすこぶる順調だ。レベ作戦成功だな。といってもまだ8時50分だが。

ポーランド国旗にPorskaと文字が入ったフラッグを自転車に付けている人がいた。国旗が風になびいて、颯爽と走る姿がかっこよかった。


風力発電の風車や高架線が遠くに沢山見える。

まるで地平線をスプーンですくったみたいに、突然丘の下に町が見えてきた。後に出会った日本人女性はここからの景色が最も印象的だったと写真を見せてくれたが、それとほぼ同じ構図の一枚。

うお、結構歩いてる人いる!と驚いたのは、長く続く一本道をよく見てみると(小さな人の影だけだが)何人もの巡礼者が歩いている姿が見えたから。時期によってはもっと多いのだろうが、でもこのとき10人以上見えただけで充分感動できた。自分と同じ巡礼者たちだ。

ストックがないので坂の負担は増している。特に膝に来るが、仕方がないことだ。下り坂の後半はちょっとだけジグザグで下りた。

メガネをかけた女の子を1人抜いた。アジア系ではあったけど多分東アジアではない。珍しいな。

丘というより小山か。今あの場所にいる人が見る景色には、小さな影として自分も映っていることだろう。

途中の町から途中の町までの人もいるということは、レオンや巡礼証明書が最短で貰える約100km手前の町などからどっと増えるかもしれないな。

町が見えてから到着するまでかなり時間が掛かった。オンタナスまであと11kmらしい。カストロヘリスまではそこから+10km。

わかりづらいが、左の山の上に十字架が見えていて惹かれた。それだけでなく360度景色が綺麗で写真を何枚も撮った。カメラもきっと困惑してるに違いない。

残り469kmか。


この教会が見える場所で休憩を取ることにした。時刻は9時40分。

まずは近くのバルへ。


オレンジにも砂糖がつくってどエロいな。これを毎日飲んでいたら糖尿病になりそうだが、今は糖分補給ということで気にしない。甘いのは好きだし。

トイレは二階だと教えてもらったが、小便器がかなり高い位置にあって子供や背の低い人はできなさそうだった、という不要な情報。

バルから戻ってくると、自分が荷物を置いていた場所の近くのチェアに腰掛け、煙草を吸っていたおばちゃんに「ここ座ってるけどいい?」と聞かれた。問題ないさ。日差しがある方が暖かいもんね。ドイツ語を話していた3人のおばちゃんグループの1人だった。
それから水場で水を入れ替えた。重たくなりすぎるのもあれなので全部は入れてない。

7kmで10,000歩ということは、あと30,000歩ほど歩けば着くだろうか。

10時くらいまで休憩していた。発つ際は笑顔でおばちゃんたちとブエンカミーノ!

あ、財布をバッグにしまうの忘れてたとすぐ先のベンチで一瞬荷物を下ろし、背後から鐘の音が聞こえていた10時3分。

口笛を吹いていた男性とすれ違う際に挨拶したが、無視されたし、彼はそのまま口笛を吹き続けていた。酔っ払っているかドラッグでハイになっているような雰囲気だった。

カフェの前にいた親子は箒を持ったままダンスを踊っていてとても微笑ましかった。さっきの口笛男性にもきっとこういう時代が…

前述した十字架。


Love, TRUTH / Many way, One direction.


風はあるが、少し暖かくなってきた。

上り道。


遠くから見るとソーセージが刺さってるのかと思った。

なんでだろう。かなり疲労を感じる。アクエリアスやホワイトチョコ摂取でプチ回復を試みた。何気に食料は持っているから昼は多分手持ちで済ます。

景色には文句のつけようがない。


自転車のおっちゃんに手で挨拶したのがちょうど11時。黄色い看板には800m先にアルベルゲがあると書かれてあるが建物などあるのだろうか。


あれか…?人の姿はあるが、建物はかなり小さそうなので、いったいどんなアルベルゲなのか気になる。帰ったら検索してみよう。
(と今検索してみたら、なんとバーチャル訪問や予約フォームつきのHPまであるアルベルゲだった。インフラ面が完璧ということはまずないだろうが、写真を見る限り結構綺麗そうだった)

現在の歩行距離は11km。まだまだまだまだ先は長い。

今日は風の日だな。遮るものが何もない台地を歩いているので、ひたすら強い風に吹かれている。

ハートの石。

積まれた岩と鎮守の森のような木々。

自分のペースが微妙なので前になかなか追いつかない11時半過ぎ。むしろ離されているくらいだ。
12時には15kmに到達していてほしいが、左足の裏が気になりだした。多分水が溜まっているんだろう。もはや貯水タンクだな。

後ろとは離れている。前が早かったのか。

そこまで変化のない景色の中で今日は何枚もの写真を撮っている。それゆえ充電の減りも早い。

昔々あるところで、夫は道をそれて岩陰で立ちションを、妻は座り込んでスマホをいじっていて、オラには気づかない夫婦がおりましたとさ。

オンタナスのムニシパルまで2kmか。


遠くに見えていた風力発電の風車が大きくなってきた。結構歩いてきたんだな。

0.5kmになったが、町は全然見えていない。どういうことだ。

遍路や熊野古道に来ている外国人にもっと話しかけてあげたい、話しかけてあげてほしい。今はそんな気分。
誰かに強制されて歩くケースは皆無だろうが、異国を歩いているときに優しく話しかけられたなら、きっと嬉しい気持ちになるだろうし、その国のことをもっと好きになる要素にもなりえるだろう。
「ブエンカミーノ」のように合言葉のようなものがあってもいいなと思った。日本人が自然と受け入れる「きいつけてね」は外国人にはどういう意味だ?と耳に残るかもしれないが。

もしかして下に町があるのかと思っていたら、その通り、町が見えてきた。先程以上に突然現れた感が強い。

そりゃバスは週一しか出ねーよこんなとこに。でも、この景色を彼らは見てないんだな。もったいないとは思う。

ミニドームのような小屋の中には女性の像と、女の子の写真が飾っていた。もしかすると悲しい理由かもしれない。

12時過ぎの現在で16.8km。まあ、良しとしよう。

こんにちはオンタナス。

どの店にするかはどうせ悩むから一番手前の店へ。屋外の席でマリオヒゲのおっちゃんが休憩していた。

看板に写真が載っていたパタタブラバス(ポテト)&コカコーラを注文した。冷蔵庫からコーラを取ると、缶ではなく大きい方だよとペットボトルを指差された。
ポテトは注文から作り始めていたので完成に少し時間が掛かったが、できたてで温かったし、明太ポテトに似た味のちょいピリ辛で美味しかった。(でも気に入ったのに、このタイプのポテトを見たのはここが最初で最後だったと思う。バルの定番メニューらしいけど)

風があって肌寒かったが、室内で靴を脱ぐのは悪いし外で休憩した。充電もこの時間で。

チェコ女性に続いて、おばちゃん3人もこの店へと来た。マリオのおっちゃんは電話をしていた。
お店のスペースだったので申し訳なさ、背徳感を感じながらチョコのお菓子も一つ食べた。す、スズメの餌やりなんです…。ってかコーラがデカい…。缶でよかった…。

太陽の光を浴びながら、小鳥の鳴き声を聞きながら、美しい日だな、ずっとこんな日が続けばいいのにと思った。

55分頃にチェコ女性は発った。ブエンカミーノ!マリオのおっちゃんは足を痛そうにしていると思っていたが、女性の運転する車に乗ってどこかへ行った。
それなりに残っていたコーラを飲み干して、13時10分過ぎに歩きを再開した。1時間休憩していたのでリフレッシュできた。残りはあと11kmほどだ。

ちょっと遊びがありすぎな気がして靴紐をすぐに結び直し。

先程自分が休憩していたカフェテリアを、若い白人のイケメン巡礼者が通り過ぎる際に互いに手で挨拶していたが今度は彼がバルで休んでいた。彼やベンチで煙草を吸いながらビールを飲む地元のお姉ちゃんと挨拶して進んだ。

靴紐が外れてまた結び直し。焦らず行きましょう。

この写真はお気に入りの一枚。山肌を移動する羊の群れと牧羊犬。


あと457km。始まりからは離れたが、終わりまでもまだ距離がある、この形容しがたい心境。


あー、登りが始まるのかな。

と思っていたら進むのは左の平坦な道だった。蝶が蜜を吸っていて、それを見ていると気温がかなり暑くなっていることに気付いた。

隕石みたいな飛行機雲をたまに見かける。落ちてるでしょ。

標識か集落でも見えればモチベーションになるのだが、まだ見えてこない。

縄張りに踏み込んでしまったのか、蜂がしばらく近くを飛び続けていて不快だった。地面を這う大きくて羽の生えた虫もいたし。


カストロヘリスの看板だ。Casa Ruralというのは民宿のこと。ここは豪華なようだが。

時刻は14時。今日は何時に着けるだろうか。もちろんできる限り早くに着きたい。

前にも後ろにも誰も見えないなと思っていたら並木道から(というほど揃ってはないが)、遠くに動く人の姿が見えた。

そして、またカッコーが鳴いている。

左の道端で休憩していた2人の白人男性にオラーと挨拶すると、君はどこからだい?と聞かれて日本と答えると、ケイという名前の日本人に会った?とすかさず聞かれた。
ケイ…?いや、会ってない…ボーイorガール?と聞き返すとボーイとのこと。ほうほう、この先にいるのかケイ君。後ろかもしれないが。
おっちゃんの方がオランダからで、お兄さんの方は上手く聞き取れなかったが、ブルガリアかどこかと言っていたはず。教えてくれてありがとう。ケイ君は同世代とかかな。会ってみたいな。

愛の落書きは多い。別にそのこと自体はなんとも思わないのだが、さすがに木に書くのはマズいんじゃないか。

なんだこの壊れたままの遺跡のような場所は…かっこよすぎだろ…。

と近づいてみると、 Hospital de San Antónと書かれていた。

このサン・アントン修道院にはアルベルゲもあって、電気や水道などはないが、建物の雰囲気そのままのような神秘的なアルベルゲらしい。
自分は泊まっていないが、評価は高いようなので、これからカミーノに行く人が宿候補に入れるのはアリかと。


すぐ先にお手製のカフェバーがあり、わりと大きめの音量で音楽を流していた。通り過ぎる際に中を見てみると数人がいて、1人はチェコ女性だったので手を振った。彼女もすっかり知り合いだ。

いや、もうカストロヘリスやん!!早い!!嬉しい!!と一気にテンションが上がった。


町が見えてきた。そして丘の上にはこれまた壊れたままの城のような建物の残骸がある。なんだこの辺りは。とてつもなくグッとくるぞ。ロマン街道2001やん。

自分のサングラスは偏光グラスなので、サングラスをかけたまま首を横に振ると一瞬で空の色が変わって面白いという、最高に馬鹿っぽいことに気付いた。

徐々に近づいていく。

でもまだ中心地までは1.8kmもあるらしい。

あの教会には入れるのかな。どうだろうな。

城跡が映えてらっしゃる。

入りはしなかったが、近づいてみるとより巨大に、より厳かな雰囲気を感じたマリア教会。

アルベルゲはどこかな。オスタルじゃなくてアルベルゲとしっかり書かれてあるとこがいい。


脇道を1分歩けば着くのか。でも巡礼路沿いにある宿がいいなと、まだ他にアルベルゲはあるみたいなので先へ進んだ。ムニシパルでも何でもいい。

15時2分、町の反対側の教会から鐘の音が届いた。

よし、あった。

でもここにしようと尋ねてみたのに、受付に誰もいなかった。奥で人の声はするし、近くのベッドでは寝ている人もいたけど、呼び出しベルを鳴らしてもやはり誰も来ない。他を当たることにした。


いろいろとアルベルゲはあったが、なぜかどれも入る気持ちにはなれなかった。こういうのは悩まない方がいいのだが。

そうこうして物色をし続けるうちに、どんどんと奥へと進んでしまった。

そして島村さんに遭遇した。今はフランス人の夫婦と歩いているみたい。自分はもっと先にいるかと思っていたと。ええ、ブルゴスで休んでましたよ!
アルベルゲはこの先二つあるとのことなので行ってみよう。その片方に島村さんたちは泊まっている様子。

どっちだ…どっちもムニシパルだけど…。

あれは韓国の背の高い男子ではないか…?韓国語で誰かと話していた。

玄関から出たり入ったりしていたわんちゃんさん。ボーダーコリーの子犬かな。可愛い。


うーん、どうしようと悩みながら歩き続けていたら、町の外れまで来てしまった。よく町の端に設置されている航空写真の看板を目にすると思わず笑ってしまった。

せっかく来たし、ついでに水を飲んどいた。まあ、アルベルゲへの矢印を無視して道を普通に進んできからな。重たい荷物を持ったままの散策になってしまったが、まあいいさと引き返した。

ああ、このロザリアが自分を呼んでいるんだ。

細かい道が入り組んでいてわかりづらかったがなんとか到着。15時半過ぎのこと。

さっき日本人のケイ君の情報を教えてくれた男性2人が入り口にいた。名前を聞かれたので聞き返した。オランダ人のおっちゃんの方がヘンドリックスで、もう片方がレナス。その先にはチェコの女性もいて受付をしていた。なぜ自分が後ろにいた3人より遅れて着いたのか、知る人ぞ知るとはまさにこのことである。

受付の男性の名前はハビ。スキンヘッドにタトゥーという一見怖そうな見た目なのにとても優しい男性だった。
どこからか聞かれたのでハポンと答えると、ゲンキデスカ!と返ってきた。少し日本語を知っていたので、(英語で)日本語が上手だねと言った。
クレデンシャルに押したスタンプの横に、日本人の友達に貰ったという名前のハンコも押してくれた。日本人にだけこのハンコを押すらしい。特別だ。

自分のルームナンバーは1だったのだが、1と書かれた先に階段があり、扉も2つあって、え…どこ…?と困っていたらハビが来て、ごめんね、案内するよ!とその上の屋根裏の部屋まで連れて行ってくれた。優しい。頭上には気をつけてねとも言っていた。

同じスペースに東アジア系はいるが、日本人ではないカップルが1組いるだけ。チェコ女性は近くのベッド。でも彼女以外本当に知らない人だらけだった。
ここまで歩いてきたのに、カミーノの人間関係がリセットされたようで寂しいけれど、話し相手が欲しいのならまた新たに作っていくしかない。っていってもそういう相手は縁で繋がるのだけど。

ベッド横にミニデスクとコンセントがあるのは最高としか言いようがない。隣はスウェーデン妻を単独にしたような、言ってしまえば冷たそうな雰囲気のおばちゃん。


朝食とディナーのカード。このアルベルゲ内で食べることにした。

シャワーを浴びている際に、カミーノ道中の町は、観光産業が成り立っているとはいえ、有名観光都市や留学生を積極的に受け入れてる街などとは違い、地元の人々のリアルな生活がわりと身近にあるので、そういった町を転々とするのはとても貴重な経験だと思った。
観光をしたり留学をしたりする人は少なくないが、ヨーロッパを歩いて巡礼する人はそこまで多くはないだろうし。

洗濯物を干したかったが、日に当たる場所はもう空きはなかったので、ベッド近くにあったスタンドを使うことにした。でも乾く気はしない。
アルベルゲ内を歩いて見て回っていると、マッサージのお姉さんがセクシーというか綺麗だったので、施術を受けるおっちゃんたちは歓喜だろうなと。
ベッドルームには第九を着メロにしているおばちゃんがいたのだが、その着信音が大音量で何度か流れていたのに、彼女は寝続けていたので長い時間それを聞くことになった。もしかするとアラームかもしれない。

少し寝ていたが、起きると足が攣りそうになって驚いた。明らかに疲れているな。右足親指の爪付近にもぷっくらとマメができていて、ほんの僅かだが水も溜まっているので気になる。

部屋の奥に、以前出会ったジャックという男性がいることに気付いたが、ほとんど絡みはなかったので話しかけにはいかなかった。
でも意外にも彼は自分のことを覚えていた。その親指の水を抜いていたら、Hiと笑顔で挨拶してきた。なんとなく見覚えがあったんだろうな。

建物内の張り紙撮りがち。

週間天気予報。

洗濯物がずらり。こちらも陽が当たらなくなっている。手前の女性はディナーで話すことになるゲリンダ。

キッチンでは女性が調理をしていた。ディナーの料理か、普通に巡礼者が自炊をしているのかはわからない。

メニュー。朝食の方に、明日は次の村まで12kmと書かれているのが良い。

午後7時からディナーだが、まだ30分以上ある。

探索終了。

アルベルゲ周辺の地図。様々な施設がある町のようだ。

少し外も散策することにした。飲み物も欲しいし。

スポーツ用品店の自販機でファンタを買った。

韓国人たちがいたところもムニシパルのアルベルゲだったんだな。今はフルになっているけど、先程はどうだったのだろう。

親子犬可愛い。可愛い。可愛い。

見覚えのある女性がいたが、お互いに顔馴染みの人はやはりHiのテンションも違う。はじめましての意味がこもったHiと、おー、また会ったねの意味がこもったHi。

アルベルゲへの帰還。

そしてディナー。全員で10人いて、長テーブルを囲む形で食べた。
以下がメニュー。キノコやグリーンピースが入ったトマトパスタの写真は撮るのを忘れていたので無い。

コリアンは沢山見るけど日本人は初めてだよという人たちが多い中、リトアニアのレナスは3人見たと。マサキという人とも会ったらしい。島村さんの下の名前を知らないからあれだけど、他にもいるんだろうな。
レナスは自分の対面に座っていたが、デザートが自分のだけ来ていないときに、コック兼ウェイトレスにここにまだ来てないよと率先して言ってくれるような優しいお兄さんだった。

チェコ女性の名前はイリアナ。どんな仕事をしているの?とどこか母親感を感じる質問をされたが、自分が話のネタになる職を持っていてよかったと思った。
ベッドが隣のベリショおばちゃんはデンマークからで、夫は怪我をして現在車カミーノ中らしい。
その隣にはスウェーデン人のおばちゃんがいて、あの夫婦の奥さんとは正反対な優しそうな雰囲気の女性だった。
右奥でよく喋っていたガタイのいい女性はロシア人で、以前日産で働いていたらしい。

最も巡礼者の多い国はどこかという話題になった。ドイツ、フランス、サウスコリアなどの国が挙がった。ドイツはそんなに多いイメージないけどなあと思いつつ、でもこの場にも3人いたし、今日のおばちゃん3人も多分ドイツ人だった。

左側3人がドイツ人で、隣に座っていた同世代の女の子はゲリンダ。彼女もサラダやハムなど積極的にこっちに渡してくれて優しかった。水取ってくれる?って頼まれて取ろうとしたら、その水をちょうど他の人が取っていったときは2人で笑った。
ヒゲが伸びているダニエルがシェイバーを持ってくるのを忘れたのさと発言したとき、デンマークのおばちゃんが私もよ!と笑いを取っていた。
もう1人のおっちゃんはスリーピングバグについて話していた。正直そのくだりがわからなかったというか、そのときはスリーピングバグってなんだったけ…?と思い出せなかったのだが、あとで調べて南京虫のことだと思い出した。
実はカミーノでは南京虫に刺されて旅が続けられなくなる人がいるということは後日知るのだが、おっちゃんは(完全にピストン運動のそれっぽい)下ネタ感100%の手の動きをしながら話していたのですぐに話を理解できなかった。

マメ(blister)がいくつあるかという話もした。レナスは5個あるらしい。自分は4個かな。
彼はワインを飲んでいなかったが、あなた幸せそうな表情してるわとゲリンダに言われていた。綺麗な瞳だし、優しい男性だからなと、このときは思っていたが、違う理由があったのかもしれない。

基本的にヘンドリックスとロシア女性がよく喋っていた。彼は洗濯物をかなり高い場所に干していたのだが、あれはどうやって干したの?と聞かれると、机の上に乗ってさ!まだワイン飲んでなかっから干せたんだよ!と。
それを取ろうとするとき、ドイツ人の下ネタおっちゃんがフライングダッチマン!と叫んだので、クライフやベルカンプが思い浮かんだ。
完全にヘンドリックスは酔っ払っていたので、アルベルゲ側の女性は気が気がじゃない不安そうな様子で見守っていたし、ゲリンダやみんなも大丈夫かと見守っていた。なんとか無事に取れたけど。

ヘンドリックスによる、カミーノはみんな初めてかい?という質問の流れは、みんな初めてと答えていたが、自分はカミーノは初だけど、巡礼自体は初めてじゃないと少し説明した。
日本には行ったことはないけど是非行ってみたいとヘンドリックスが言うと、みんなそうよ、みんな日本は好きなんだからとロシア女性。
でも物価が高いイメージらしくて(日本で最も物価が高い街はどこかという質問もされた)、君の部屋に泊めてくれとヘンドリックスが言うと笑いが起きた。ベッドはいくつある?とかそんなくだらないことで皆で大爆笑した。

他にもいろんな話をしたが、パンプローナスタートがちらっといたのが意外だったかな。ほとんどの人はサンジャンでスタートするもんだと思っていたから。
ボナペティ(フランス語で召し上がれ)のような言葉は自国語にあるかとか、ムイビエン!(スペイン語で素晴らしい)をやたらと連呼していたのも印象的だった。

夕食を終えて8時半頃に、バスルームで歯磨きをしていたらヘンドリックスがちょうど来て、部屋は上?良い感じ?と聞かれた。Sleep well! グンナイ!

部屋に戻るとジャックはもう寝ていた。東アジアカップルは中華系かな。彼氏が彼女の足をマッサージしていたのだが、小声で話すのが逆に気になった。体力的に楽な旅ではないが、2人にとって良い想い出になることだろう。

先程のディナーでの会話などを思い出して、また改めて、日本人に生まれて良かったと思った。これほどまで世界中のみんなが好意的に見てくれる国が他にあるだろうか。多分、ない。好感度は世界一だ。ずっとそんな国であってほしい。

時刻は午後9時。外はまだ普通に、日本の夕方くらい明るいけれど、部屋は消灯した。

明日はどんな一日になるだろう。わからない。いつも寝る前に考えるのは似たようなこと。順調で、楽しい日になればいいな。


今日の歩み
Rabé de las Calzadas – Castrojeriz / 28.5km


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