5月12日。
5時50分に誰かのアラームで目が覚めた。暖房器具はあるのに作動していないので室内は寒い。
そして外は久しぶりの雨。乾いていない靴下をぶら下げて歩くことはできないし、当然テンションも上がらない。雨続きだったなら、絶対にフィステーラ行きは決めてないだろう。

上の青年と隣のおっちゃんだけすぐには起きなかったが、他はぼちぼち起き始めて、カリブ感のある3人の男女は早めに部屋を出た。
6時半前におっちゃんが起きた。自分は朝食として1つパン(のような物)を食べた。
6時50分に外へ出た。寒いけど今は雨は降っていないのでレインカバーだけ。

みんな町の中心部から坂道を下りてきていて、その様子を見ながら準備体操をして、5分後に出発した。

雨が降るなら邪魔だと判断していたが、マフラー(タオル)を出しておけばよかった。ストックを持つ手は寒いが、手袋は持っていないので、パーカー萌え袖オリンピック。

昨日とは違う橋を渡って対岸へ。

あと残りは何kmかなと確認しようとしたら、距離表記ではなく『C. Complementario』になっていて、この状態がしばらく続いた。わからないならはっきり言って。

出発から10分以内で登り坂が始まって、靴紐を結び直したかったが適当な場所がなかった。外側の方のソックスは毎日厚みが違うので歩き出さないと細かい具合はわからない。
小雨も降り出して、途中で雨具を取り出している人の姿もちらほら見えた。
長い登り坂だったので寒いのに暑い、キツイのにユルい状態。

山や林などの木々が生い茂った場所を見て、突然人の姿を発見することもそんなに驚かなくなった。彼らがお外で用を足すのも残り数日かな。

朝から挨拶無視のおっさんがいた。敬虔な教徒は無視しないだろうから、ただの観光マンだろう。返してくれる人が大多数なのだが、マナーの悪い人間が途切れることはない。

サンティアゴの先へ、最後まで、歩くと決めたので、もう迷いがなくなり気持ちはスッキリした。今日を含めてあと7日。選択肢は楽しめるか、楽しめないかだけ。

やっと数字表記に戻って88km。歓喜の丘からサンティアゴ着への感動と、フィステーラやムシア着の感動は切り離そうと思う。一旦喜んで、続きを歩いて、また喜ぶんだ。

カフェは見当たらないが、雨は止んだ。結局暑くなるパターンか、これから降るのか。

今日は焦る必要もなく、ゆっくりペースだからそんなに距離は歩いていないと予想していたが、意外にももう5km歩いてた。あと3km以内に村があるはずだ。

しかし再び雨が降ってきて、雨脚も先程より随分と強まった。

この韓国人の男女は以前アリアリグループにいた夫婦だった。挨拶したらおおおーという驚きの反応があった。

洒落にならない本気降りになったので、木陰になっている場所でポンチョを取り出した。ひとりでできるもん。
ひとりでできるかな(=エルレの細美さんの活動休止直後のブログタイトル)から10年か。長いな。
ふと思い出したが、あのポンチョをなくしていた日本語がちょいできる韓国女子は大丈夫かな。

柳の木の下にベンチやテーブルがいくつか設置された休憩スペースはあったが、もうこのまま次の村を目指すことにした。

そして発見。美味しいスモデナランハを出してくれるカフェはないかな。鼻を一時的に外したいほど匂いは最悪だが、この臭さは今に始まったことじゃない。

8時半にこのカフェバーに寄ることにした。どうですか!と聞こえた気がして店内へ入ると、日本人はいなかったがゲリンダがいた。Hiと自分に手を挙げていて気付いた。

サモスで同部屋だったノーソルおっちゃんや昨晩のディナーで一緒だったおばちゃん、トイレから戻ると韓国の獅童さんもいたので久しぶりと声を掛けた。
その他にもちょっとした顔見知りがわりかしいて、久しぶり~!的な挨拶が続いた。波に追いついたということだ。
1234ガールもいた。ケイはどこか知ってる?と聞いたら、わたしたちの前よ、と。でしょうね!!
どれも美味しかったけど、またトーストをバリボリやったので顎が疲れた。

後ろに座っていた太り気味のカップルは、彼女が疲れてしまったのかため息を吐くと、彼氏がむちゅちゅと濃厚なキスをした。Understand…understand…the concept of love…
獅童が出るときにHow far are you going today?(今日どこまで?)と聞いたら、Yeahと返ってきた。前もこんな感じで通じなかったことがあるから、それはナイスだねと返した。
そして、ええ、レカが来たわけですね。最高に見覚えのある顔が入ってきて、笑ってたら抱きついてきたよね。レオンから飛ばしてきたことを伝えると、だから追いついたのね!と信じられないといった感じで驚いていた。
喉が乾いたから何か飲みたいとスモデナランハとアクエリアスを買ってきて、戻ってきた彼女に、I missed you and saying “Jó reggelt”と言ったら、最高!と言いながら爆笑してた。他に知り合いとかもいるだろうに自分の席に来るのが可愛い。(自分が再出発するときは寒いからと店内に入っていた)
今日はどこまで?と彼女にも聞いたら、ちょっと待って教えるからと一旦置いてから、パラス・デ・レイと言っていた。一緒だな。
それからアルベルゲは決まってる?と聞かれて、ノーアイデアな自分に、わたしはここを狙ってると教えてくれたので写真を撮らせてもらった。

今日これから雨降るかな?と何気ない会話を振ってみたら、降らないことを願うわと言いながらサンダルを指差した。このスタイルが一番快適という答えにたどり着いたようだ。
やっぱりレカとヘススに会うのが一番嬉しい。えりこ&シンも同じくらい好きだけど、前者の2人にはもしかしたら会えないかもしれないという不安があったので喜びもひとしお。
レカとはプラン的に今日で別れるだろうし、彼女は18日に飛行機で帰国するようなのでサンティアゴで会うのも難しそうだ。ゴールの瞬間も別々になるだろう。でも彼女が旅を振り返ったときに、きっと自分のことを思い出してくれるだろうから、何も気にすることはない。
JKもいて、バス使った?と質問してきた。毎日30kmペースで飛ばしたんだぜ~と話すと引いていたけど、また会えて嬉しいと握手を求めてきた。やっぱりナイスガイだ。

よし、これで追いつけたな。そう確信するカフェでの時間だった。9時過ぎに再スタート。

9時20分過ぎ、長い長い急勾配の坂道が始まった。

しかし登った先は素晴らしい見晴らしで、昨晩隣のベッドだったおっちゃんも写真を撮っていたので、最高の景色だね!と言ったらheheと笑っていた。彼が何語話者なのかすらわからないけど好きだよ。



のりさんから貰っていたティッシュをこのとき解禁した。のりさんはわりと前に靴を買い替えたらしいし、ゆみこさんもしっかり歩けているようだから、2人で順調なのだろう。
日本人女子2人はどこにいるのかな。ソノコがこの波にいて、朝早く歩き始めているのならもう少し前にいるかもしれない。でもレオンでそうしていたように、モデルプランに特別こだわって歩いているわけではないからわからない。昭和生まれ女子は後ろから迫っているのは知っている。


9時49分に本日第一村人のおじいちゃんを発見。

10時を過ぎた。白い息が無限に出てくる。


77,777kmなら人気のマイルストーンになり、撮影する人も増えただろうが、なぜそうしなかったのだろう。

内ももの疲労を感じるが、そのまま進む10時半。

上の写真のカフェから出てきた男性がすぐ後ろを歩き出したので、抜かせようかなとゆっくり歩いていたら、アーユージャパニーズ?と話しかけてきた。
メニメニコリアンだとか、出川みたいな英語を話す韓国人のおっちゃんで、出川イングリッシュに韓国語も頻繁に交ぜてきていたので、聞き取りはかなりの難儀ではあった。
アーユーソロ?とも聞いてきた彼もソロらしい。日本には三度来たことがあるとのことで、トーキョーやナゴヤの名前が挙がっていた。アニョハセヨやチャルガヨにはめちゃくちゃ喜んでくれた。
ある程度話が終わると、ゴー!と先に行けと指示されたが、休憩していた分あなたの方が元気だと思う…。

次の集落に近付くと笛の音が聞こえてきて、何事かと注視していたら何かの宣伝放送をしながら走行する車だった。
そんな風には見えなかったが、写真の奥はナランハなどの果物やその他諸々の販売をしていた店兼アルベルゲ。

店頭に立って呼び込みのようことをしている人もいた。フリーハグの人たち(?)はコーヒーいかが?と尋ねてきたが、前(後)の人もみんな素通りしていたので自分もそのまま進んだ。突然この類のイベントが発生しても戸惑う。

テータイムに入るときに後ろにいた先程の韓国おっちゃんに手を振った。


入店してすぐに雨が降り始めた。それもかなりの大降りで。自分にとってはベストタイミングだったが、後ろにいるレカなどは大丈夫だろうか。
エスプレッソを飲み終えてからも軒下で雨宿りしている男性もいた。雨の影響かテレビの電波も悪い。でもWi-Fiがあったから問題なし。

残りはあと7kmほどか。そんなに焦る必要はないな。

なんか店内にいた猫が絡んできた。

荷物をいじるのはやめて。

そして膝の上に乗ってきた。完全にくつろいでらっしゃる。暖かいからいいけど…。

まあ…ブッダ譲りの(動物に)愛されゆるふわ系ボーイだからな…仕方ないわ…。

雨も治まってきたというか、むしろ晴れてきたから、もう出発してもいいんだけど、毛づくろいし始めた…。
トレッキングパンツはひどく汚れてるし、膝の上では猫が毛づくろいするし pic.twitter.com/d31jdE4n7I
— 末宗凌 (@SuemuneRyo) 2018年12月9日
カフェのお姉さん店員はあーあってな感じでこの光景を見て笑っていて、旦那さんらしき男性も厨房から出てくると同じような反応だった。珍しい光景だったようだ。
店を出たらサモスのアルベルゲで一緒だったスペイン人おっちゃんグループがいて、 エゲツないくらい元気良く手を振って声も掛けてくれた。休憩も充電もできた。雨も小康状態。ゴーゴーでしょ。

1234ガールも親くらいの年齢の夫婦といた。視線は合わなかったからそのまま通り過ぎようとしたら、自分に気付いて斜め後ろからハーイ!!と声を掛けられた。追い込まれた状況で本性が出るってだけで、通常時は良い子なんだきっと。良い子の定義がわからなくなるけど。

デカい蟻だな。

ラジオかと思いきや、オーディオブックを垂れ流していた男性。さっきレカが挨拶していたような気がする。

お墓を見る度に、棺を引いたら死体が出てくるという感覚が日本人の自分には実感できず、ただ恐ろしい。

そして12時。お昼をどうするか問題。早くアルベルゲに到着できたなら近くの飲食店で食べたりすればいいんだけど。距離はあと2kmちょっとなはず。
そして右足の内ももが疲れているという状態を超えて痛みすら感じる。今日だけであってほしいな。連日の疲れが出てるのかな。

荷物が軽くてハイドレーションスタイルのおっちゃんに抜かれた。ノープロブレム。

このレストランに行こうかどうか迷っていたら後ろから1234ガールが来た。今日どこまでか聞かれてパラス・デ・レイと答えたらme tooと。まあ、みんなそうだよね。モデルプランで宿泊する村の規模は小さいから宿が心配で、手前の大きめの町に泊まるという選択。

結局レストランには寄らなかった。

70kmを切った。

でもやっぱりさっきのとこでランチでもよかったな。ベッド確保の心配はほとんど必要ないわけだから。

あえて柔らかい道を歩くという賢者。

そして12時42分に到着。入口前にはゲリンダを含めた6人がいた。しかしスーパーマーケットは1km先よとゲリンダさん。

あと20分待たないといけない。

待っている間に、普段できないクールダウンをしたり、水を入れ替えたり、アミノ酸のドリンクを作ったりしていたら、1234ガールも来た。大型アルベルゲだからあれだけど、彼女と受付待ちなんて…。ってかケイ君は完全に別行動なんだな。
1234からここに泊まる?と聞かれた。まあ、多分。わたしはスーパーマーケットが近くにないから迷っていると。1km先って聞いたよと伝えると、うーん…と少し考えてからもっと町の中心部へと進んでいた。
レカさんはなかなか来なかったが、しばらくして雨がまた降り始める前におっちゃんと一緒にこのアルベルゲへ来た。自分が建物の中に入る直前にはJKも町の方へと進むのが見えた。

中央列の実質1人用レーンをゲット。他のベッドは密着していた。

えりこさんはお疲れで止まっているようで、靴を脱いで足を投げ出している写真が来た。ポルトマリン綺麗な町だねと、彼女も泊まりたかったようだが、その先へ今日はまだ7km残っていると。

ちょっとプランに無理があったのかもしれないけど、頑張っている様子だから、明日アルズア(アルスーア)で待っていると激励の言葉を送った。

レカと雑談していて、お互いにそろそろシャワーを浴びようかなという流れになると、ここ(のシャワーは)評判良いんだよと教えてくれた。ほんと?ホットシャワーかな?と自分が言うと、その会話を聞いていた湯上がりゲリンダがホットシャワーよ!と飛び込み参加。
噂通りのホットシャワーから部屋に戻る途中、1階の受付付近から日本語が聞こえてきたので吹き抜けの上から見下ろすと、まさし&アマンダの日本人カップルがいた。
あるベネズエラの夫婦に会って、ラブリーなジャパニーズボーイがいると聞いたという話をアマンダがしてくれて、それ絶対ヘススだ…と面白かった。「りょう君だと思った。ラブリーだから!」「ありがとうございます…(笑)」
スーパーの距離等の問題で、このアルベルゲに泊まるかどうか2人は悩んでいたので、こっちのムニシパルにはキッチンがあって、向こうはないだとか完全に人から聞いた情報を教えてあげた。2人は少し悩んだ後に、りょう君もいるし、ここにしよっかと決めていた。
(2人がチェックインをすぐにはせずに、荷物を置いてベッドを確保してから、キッチンだとかの判断材料をいろいろと見て決めていたのは賢いな…と感服)
それからブルガリアカップルも来た。カップルはベッドが横並びで密着していても問題ないから良いよね。アルベルゲ側はむしろ、そういったカップルや家族などの宿泊を想定しているのかもしれない。
洗濯は今日はしなかった。干す場所もよくわからないし、天気も不安定だし。タオルだけ水洗いして、ベッドの柵部分に、昨日の乾いてない靴下などとと共に干した。明日洗うさ。
日本語の会話が聞こえてくるのが面白いなーと1階に下りたら、ちょうど韓国女子のポップがあの黒いドイツ人男性と一緒に来た。
1階のサロンような場所には日本人カップルだけじゃなく、ブルガリアカップルもいて、ブルガナがお腹減ってる?とサンドイッチをくれた。パンにハムとかチーズ挟んだやつ。
そして日本人カップルと話した。アマンダは27歳で、まさしさんは35歳らしい。夕食はパスタを作るらしく、一緒にどう?と誘われた。是非…!お邪魔じゃなければ…!
15人分を作るとのことで、なかなかの人数ですねと言うと、まさしさんは、そうでもないよ、昨日は20人分だったしと。どうやら節約のためにいつもそうしているらしく、キッチンのあるムニシパルに泊まり続けている様子。
何かアレルギーとかない?いつものみんなは知ってるけど〜と聞いてきたのはまさしさん。シェフがまさしさんで、アマンダはアシスタントらしい。
2人が受付するときにベッドルームがある2階に戻ろうとしたら、りょうくんもスーパー行きたい?じゃあ行くとき声掛けるね。往復2kmは寂しいもんね。とアマンダ。
なんていうか、めちゃくちゃ絡みやすいこの2人…となんだか感動するくらいだった。アマンダが特にフランクに接してくれるというのもあるけど、でもフランクさって人によっては馴れ馴れしく感じる。でもそうじゃない。レオンで会ってはいても、きちんと接するのはこのときが初めてなのに、周波数が一緒というか、一番快適な帯で自然とキープされているというか。
アマンダがわたし(パッチリ二重)とりょう君(奥二重)の目の形似てない?とまさしさんに聞いた。うーん…似てないと思う…とまさしさん。自分もそう思った。
外は雨がまた強く降り出して、洗濯物を干さないのは正解だったなと思ったが、えりこさん…頑張れ…と心配にもなった。明日彼女と合流できるなら楽しそうだがどうなるか。
ムニシパルだから仕方ないけれど、Wi-Fiはベッドルームへはほとんど届いてないし、 トイレの数も少なかった。
ベッドの上に寝転がり、ふと見上げたら日本語を見つけた。

「南京虫だけが俺を愛す。クソ!」という書き込みも。気持ちはわかる…。

眠たいけど、アマンダたちが呼びに来ても、夜に寝られなくなるのも困るし、ちらっとまた1階を確認しに行ったら、うつ伏せで寝ているアマンダにまさしさんがハンドマッサージをしていた。そしてまさしさんと少し話した。
今日自分の隣(前?)のベッドのアーロンとも初日からずっと一緒で、サンジャンのアルベルゲのベッドも近くだったらしい。髭があるから若く見えないでしょとアマンダは言っていたけど、みんなの弟的な21歳のオーストラリアからのイケメン。今日の道中でオーディオブックを聞いていたのも彼。(写真はゲームをするアーロン)

その3人と自分の4人でスーパーへ向かった。

アマンダがるんるんで先を行くので、まさしさんがストップ!と自分とアローンを止めて、気付いたら1人だけ先に行ってて、もー!!ってな定番のあれ。それから彼女は匂いを嗅ごうとした勢いで、花に顔を突っ込んでいて、後で痒くなっていたのも面白かった。なんか楽しいよね。こういうときのふざけたノリってね。

アマンダがまーくんは四国遍路を二回歩いていると教えてくれた。そのまーくんことまさしさん曰く、(日本人より)逆にこっちの人の方が四国を歩いていて、アルベルゲの人でもいたらしい。自分は多分会ってないな。

日本人が絶対好きな名前だよねとアマンダが言ったのは、スーパーマーケットの名前がエロスキだったから。そりゃ大喜びですよ。

どんな感じで買い物するのかなーと思っていたが、店に入ってすぐにアマンダが、自分の分買っていいよーと言ってくれた。何度も絡んでいない相手だと都合もわからないから、そういうのを言ってくれるのが一番助かる。
まさしさんがなぜシェフと呼ばれているかというと、彼のお母さんが調理師免許を持っていて、彼も仕込まれているから32日恩恵を受けていて、親子丼とかも作ってもらったたことがあるというのを聞いて、あれ、32日…?カップルじゃないのか…?いや、そうか…とちょっと混乱した。
グループにはベジタリアンのスェニャンって子が1人いて、その人のために少し別アレンジで作ったりするらしい。優しすぎないか。


買い物を終えて、帰り道に2m超え巨人のダニエルとすれ違った。覚えてるよ君のこと!と言われたので、こっちも覚えてるよ!と返した。
自分が自営業だと話すと、わたしもこれから自営業とアマンダ。人の悩みや問題を聞いて、それを解決するためのアドバイスをしたりするコーチングという職業に就くらしく、既に顧客もいるという話だった。
アマンダとまさしさんは途中でバックパックを交換したらしい。マメの話になって、アマンダは2個あるらしく、まあできますよね…できない人はどういう足してるんだって思いますと言ったら、前を歩くまさしさんは0個だった。えりシンの合言葉のノーペインノーゲインの話をしたらアマンダは信じてないと。まあ、信仰みたいなもんですから…。
そしてニューアシスタントとして自分もお手伝いをすることに。調理をしながらもいろんな話をしたんだけど、一番驚きだったのが2人が別々に来たということ。
サンジャンの宿で、上で外人寝てるなー、まあカミーノは単独の女の子もいるのかと思っていたまさしさんが、翌朝よっこいしょと起き上がったら、それを聞いていたアマンダが日本人ですか?と話しかけたらしい。
完全に馴染んだカップルの空気感だったから、日本から一緒に来たのかと思ってました…!とその驚きを口にした。
まさしさんは世界一周中だったけど、でもお金がなくなってきたから、ほとんど回ったユーラシア大陸の残りを回って帰ろうかと思っているとのことだった(南米などウユニ塩湖みたいな絶景系はあまり興味ないからいいかなって)。料理は率先して作る代わりに、食材を少し自分の分として貰ったりしていると。ヨーロッパは自炊できる宿が多いから。
職業クイズになって、アマンダが小学校の英語の先生だとわかった。まさしさんは遍路繋がりで就職したのが仏具(曹洞宗)等の販売店らしい。遍路から仕事を得るという話は聞いたことがあったが、その体現者とヨーロッパで出会うとは。
るんるんアマンダは隙を見つけると踊ったりもしていた。日本人がこんなに踊るとは思わなかったよとカミーノ中に言われたことがあるらしい。そのアマンダから、今どんな気分!?と聞かれたので、今にも踊り出したい気分!と返したら、じゃあ踊ろ!とFatboy Slimだとかサカナクションなどの曲を流しながらちょっとダンスタイム。
歩くときもいつも音楽を流しているから、絶対他の人たちにうるさいと思われてると言っていた。2人は音楽の趣味も合うらしい。
アマンダがどんなのが好き?と聞いてきたので、今頭に一番あるのはELLEGARDENと答えた。エルレのことはアマンダも少し知っていたが(世代的に当然か)、まさしさんのリアクションの方が大きかった。
活動再開すること知ってます?と聞くと、え、マジで戻ってくるの!?ハイエイタスもモノアイズもあるのに3つも掛け持ちで細美さん大丈夫なの!?と完全に通じていた。その2つのバンドを聴いてもやっぱりエルレは違うと。うん、言いたいことわかります。the HIATUSもMONOEYESも好きだけどね。
とりあえず、誰かとエルレ談義がしたかったけど、この環境でできるわけもないよなと諦めていたので嬉しかった。

玉ねぎやニンニクの皮を剥いたり、オリーブの種を取ったり、パスタのソースをカップに注いだり、洗い物をしたり、といった作業が自分の担当だったんだけど、まさしさんが的確に指示を出してくれるからスムーズだった。
調理は全部3人のジャパニーズチームでやった。もちろんシェフのまさしさんがメインだけど。
美味しそうな物を見つけてぴったり窓の向こうにスタンバる犬。

料理が終わるとサロンに移動して、ニューアシスタントとしてみんなに紹介されてから、隣に(というか最初は椅子が足りなかったから同じ椅子に)アマンダが座って、グループのことをいろいろと説明してくれた。
みんな長いこと一緒にいるから、完全にあいのり的な空間ができあがっていて、実に興味深かった。
北欧(デンマークだったかな)の小悪魔的な可愛い女の子スェニャンがいて、その子を巡って争う男たちがいた。誰かわたしのパスタを茹でてくれないの?と小悪魔が言っても、彼女から離れてしまったらライバルがその間彼女と密着することになるから結局茹でなくて、彼女がキッチンへ移動したら下僕たちも一斉に動くという現場を実際に見た。
元はその取り巻きの中にいたけど、最近はポップとくっついたマービン(ドイツの黒人男性) だとか、Cutestという愛称をつけられた男性はこの日いなかったけど、教会併設の二人で一部屋のアルベルゲに宿泊した際に、ドアを開けたらフ●ラをさせていたというハレンチな事件が起きたんだとか。
レカと今日一緒にアルベルゲに来たのは同国ハンガリーの爽やかなおっちゃん。良いパパだけど、ウィンクとかしてくるチャラ男気質な男性で、昨日は肩を抱かれたから、急いでまさしさんに話しに行ったらしい。
ショートカットの(インディアン感ある)カナダ人女性は薬をやっているとのこと。馬に乗ってドラッグを売っている売人の話を聞かされたけどそれは見たことない…。下僕君の一人の名前はサンティアゴ。みんなが目指すサンティアゴ。
韓国のママ(弟と一緒)はまさしさんとシェフを交代することがあるみたい。カーネルサンダースみたいな白ひげのおじいちゃんだとかいろんな人がいたけど、今日このアルベルゲに泊まっていない人もいるようだった。
どのアルベルゲに絶対泊まろうというのは決めないが、出発前や道中でどの辺りまで進むか少し話しといて、だいたい同じムニシパルに集まるという流れらしい。
料理をしない人たちは、ワインやビール、おつまみとしてのスナック菓子など持ち寄るのが定番らしく、このパーティーのような空間にはレカやゲリンダも来ていた。彼女たちの紹介も受けたけど実は知っています。どうやら自分が後ろにいる間にここのグループと親交を深めていたようだ。

本日のメニュー。値段はなんと1.6€。ジーザスプライスと誰かが言っていたけど、仲間と喋ったりしている間に用意してくれて、1.6€って…。腹の足しとしてお酒やスナックを買ってもそれでも安い。

まさしさん曰くワルンダ(悪いアマンダ)がたまに出てくるらしく、2€取っちゃいなよ!とさっきも言っていたけど、たとえ2€でもその安さは信じられない。本当にすごい…ありえないと思う…と言うと、だよね!とアマンダ。
こんな感じでカミーノをしている人もいるんだ…と正直衝撃的だった。10€で外食して不味いのに当たったりしていた自分が馬鹿らしくなった。まさしさんから離れないように行動する人たちがいるのは間違いない。
もっと早くに出会っておけば!ちくしょう!って感じですよと言うとアマンダもまさしさんも笑っていた。
自分が食事していたテーブルにはアジア系のおばちゃんがいて、英語のできる韓国人と思って話していたのに、釜山が多分伝わっていなくて、あれ…?と感じたが、寝る前は弟らしきおっちゃんと韓国語で話していたから、韓国系カナダ人なのだろう。
その日限定の参加者もいるとのことだったが、見覚えのあるおっちゃんもいて、誰とも話していない感じだったので、味どう?って聞いてみた。美味しかったなら良かったです。
食後はティータイムで、キッチンの椅子に座ってチームジャパンの3人でまた会話をした。今日までの一ヶ月の出来事を挙げきれないほどに沢山。
自分より1日前に出発した彼らは、2日目で川を渡る場所で膝まで濡れたらしい。その前日の人たちは洪水になって渡ることすらできなかったと。流木など川沿いに溜まっていたけどそういうことだったんだな。アドベンチャーじゃんカミーノ!とアマンダは思ったらしいが、でもそれがピークだったというのでよかった。うん、確かに最初の数日が過ぎると天気もずっと良かった。
2人のことをそのこから少し聞いていたように、そのこの話題もあった。夕食一緒に食べる?と聞いたら、はいという答えが返ってきていたのに、何人いるから何分後ね~と決まっていた状況を、やっぱわたしいいですと断ってきたことがあるらしい。 先程パンプローナでの悲劇のエピソードを披露したら、そのこっぽい(笑)と2人とも笑っていた理由がわかった。
でも集団でずっと一緒にいるってすごいよな。先に行ってしまった奴らにおい!と思う気持ちもわかる。きっとみんなでゴールをして感動を共有するんだろう。とても楽しそうだ。もし自分が彼らと序盤から一緒だったならどうなっただろう。わからないな。
こんな人たちがいたんだな…と改めて、目の前にいた愉快なグループについて考えていると、フィステーラまで歩くというのはかなり孤独な選択に思えてきた。
韓国人が自炊をすることが多いのは知っているので、キッチン使えないことないですか?とまさしさんに聞いたら、そんなときは抱き込むと言っていた。
国民性の話もした。東アジアでは台湾が近いと感じたということだった。韓国は、うん。でも東アジア人が共通して使う調味料があったり、料理の行程なども似ている。ヨーロッパ人が見たら、え?みたいな顔をするときもあるけどと。
そういった食や料理などの文化での交流も面白いですねと言ったが、本当にそう思った。自分はこの旅で全然自炊をしなかったから、そういった面での印象を抱くこともなかったので。
サリア以降のアルベルゲは攻めてるよねと2人は言っていた。昨日(ポルトマリン)はキッチンはあるのに調理器具がなくて、意地でもレストランにお金を落とすかとフライパン等をみんなでお金を出し合って購入したらしい。今はそれをアーロンが持ってくれているみたい。
アマンダから、りょう君はモテる?と聞かれて、人並みかなと答えた。この質問するの好きとのことだったので、全然って返すのはズルいと思うと自分が言うと笑っていた。ちなみにアマンダはモテるらしい。今はベリショってるけど、そりゃ綺麗な感じのハーフだもんな。モテないわけがない。
ドイツ系アメリカ人の血が入っているみたいだが、彼女の弟はすごい童貞臭いとか、まだ俺はこんなとこでは終わらないぜ…みたいな厨二臭がするとかで本人の知らないとこでネタにされていて、写真も見せてもらった。ドラッグをやってるカナダ人女性もそれを見て、ピュアな感じがするわと遠回しに言っていたが、まあお姉ちゃんと同じようなイケてる感じはなかったということ。悪い子ではなさそうだったけど。
アマンダが持っていた板チョコを昨日自分も食べたということを伝えると、毎日一枚は食べていると彼女は言っていた。ヨーロッパの楽しみ方の一つだ。
昨日寄ったカフェではおしゃれケーキが出てきたらしく、オシャレTOKYOだ…みたいな話だとか、今までのアルベルゲについても話した。
カリン様が住んでそうな塔みたいなのわかる?と聞かれて(貯水タンクっぽかったところ)、そこのアルベルゲがめちゃくちゃ寒かったとか、下ネタをガンガン言ってくる面白い女将さんがいるアルベルゲもあったという話などを聞いた。
日本のAV女優が人気だったりすると自分は話したが、アマンダも笑ってくれてよかった、というか、結構女優の名前とかも知っていたから、えりこさんピュア説浮上。
まさしさんは海外を旅しているとき、パソコンを持っている人に日本のAVを売ったことがあるという話をしてくれたが、それが面白かった。結構売れるらしい。
山のときにまさしさんが熱が出して、一回だけ荷物サービスを利用したが、明日も使うとのことで、パパ(韓国系のおっちゃん)に聞いといてとアマンダに頼んでいた。計画としては、パパたちが行くリバディソまで2人も一緒に荷物を送って、そこに着いてからアルスーアまで行くかどうか決めると。
あの韓国系のおばちゃんが、まさしさんに風邪薬(漢方薬)を、アマンダにもビタミン剤を渡していた。2人は風邪気味とのこと。
漢方好きだよとまさしさんは言っていた。正露丸の匂いが好きらしい。というのも吹田の正露丸(大幸薬品)の工場近くに住んでいたと。
ちなみにアマンダの英語は完全にネイティブのそれ。まさしさんはあまり得意じゃないらしく(とは言っても旅人なので最低限は当然使える)、アマンダが通訳をしてくれて助かると。うん、本当に誰と出会うかでまったく違うカミーノになるな。
長々と書いたように、2人ともいろんなことを話してくれて楽しい時間だった。
まだ書いていないことで印象的でメモしていた内容は、アマンダとの話は、藤棚見た?桜も日本より見てるよねとか。坂本九のSukiyakiをTeriyakiと言い間違えていたのが面白かった。
まさしさんとは、終わったら自分はグラナダとかに行くと教えると、いいねえ、俺たち世代はグラナダと聞くとガンダムが思い浮かぶとか、ガリシア地方に入ってからゼルダの曲が合うだとか。うん、草原ですもんね。
歯磨きをしたり寝る準備を進めて、ベッドルームに戻った。
えりこさんからシンと白人たちと一緒にビールを飲んでいる写真が送られてきた。シンもやる気を取り戻したのかな。明日はどうするんだろう。
ブルガリアカップルは通路側に大きなタオルを掛けて、中でいちゃついていた。まさし&アマンダも密着ってくらいの距離で、まるで恋人のようだ。
あいのりの衝撃の余韻なのか、こうして誰かと一緒に寝食を共にしているのに、こんなに近くに沢山の人がいるのに、とてつもない孤独を感じた。自分は誰かと一緒だけど、誰かと一緒じゃないんだ。
カミーノに参加していない人にこういった心理状況を話しても、出会いの連続なのに何言ってんの?(笑)と理解してもらえない。でもここにあるのは間違いなく孤独だ。
カップルや家族で賑わうクリスマスの街中で托鉢をしているような気分、というのは別に上手い表現ではないが、日本にいて他のカップルなんて普段はまったく意識しないし、自分が誰かと一緒に過ごすこともそりゃあるけど、周りを意識せざるを得ない状況がゆえに、なんだか余計に一人なのだと感じてしまう。
22時2分。突然部屋の電気が消えた。でもまだメモをまとめたい。会話の多い日だったから追いついていない。
22時18分。どこかに行っていたポップとマービンが帰ってきた。まあ、人が近くにいる場所ではできない行為をしていたのだろう。メモは書き足りない気がするが、もういいや。
22時25分。真っ暗だし寝ないといけない。今の感情はやっぱり寂しさが強い。この孤独が何の役に立つかな。
22時30分。アーロンはいつもゲームをしているが、今もプレイ中で、それが心理的に助かった。寝ないで一人でスマホを見ているのが自分だけじゃないから。
22時40分。明日が楽しくなればいいな。朝起きてから夜寝るまでずっと。
こちらの日付はまだ12日だが、5月13日は母の誕生日なので、おめでとうメッセージを送りたかったのにもうWi-Fiが繋がらない。
ポップたちは抱き合って寝ている。アマンダたちもそんな感じかな。まーくん、あーちゃんって呼び合ってたしな。
でもまあ、付き合っていなくても、同じ困難を乗り越えていく共同生活の中で、異性とずっと一緒にいれば親密にもなるか。新宿のようにカップルになるケースもあれば、擬似恋人として仮想恋愛を楽しむというケースもあるだろう。
終始楽しくカミーノの日々を過ごしてきた人たちからすると、自分は可哀想に思われるんだろうな。巡礼者の誰かに打ち明けたわけじゃないから、同情されることはないんだけども。
とても中途半端なんだ。酒を楽しんだわけでもなければ、恋愛をしたわけでもないし、信仰心の元に歩き続けてきたわけでもない。
では自分は全然楽しめていなかったのだろうか?いいや、少しは楽しめたはずだ。美しい景色を見ながら歩けたのは純粋に良かったと思う。でも、求めていたのはそれだけなはずなのに、なんて悲しみに満ちた夜なんだろう。
あまり賑やかな場所は好きじゃない。そういう自分が賑やかな場所に来てしまったというだけか。アマンダは楽しそうだから来てみたと理由を話していたが、本来そんな気持ちで来るべき場所だったんだ。
序盤でもあった”こういうのじゃない…”という、キリスト教のこの巡礼路に予想・期待していたものと、実際に待ち受けていた現実とのギャップにまた苦しみを感じている。
汚い言葉を使う人が山程いる。でも遍路にだってマナー違反な巡礼者はいた。でもドラッグを使っている人は皆無だったし、ここまで騒がしくはなかった。
イメージしていたのはキリスト教徒の敬虔な信者で溢れた道。そこでは自分は異教徒ではあっても、でも聖なる道の上では、巡礼に対する心持ちを理解してもらえると思っていた。だがそんな考えもどこ吹く風だ。
背景にあるのは間違いなくキリスト教だが、教会を巡るわけではないから、まったく神聖さを感じられない。
羨ましさとも違うし、楽しんでいる人々を妬んで言うわけでもないし、決してカミーノを卑しめるために言うわけでもないが、正直こんなに汚らわしい旅だとは思ってもいなかった。どこに神々しさがあって、どこに感動があるのだろう。自分が受け取れていないだけなのか。巡礼中に恋人を作ったりしなかった自分が悪いのか。
巡礼要素を求めて来た自分が間違っていた。他の日本人参加者の臨み方の方が遥かに正しい。
みんな普段着で酒を飲んでエンジョイしようとしているパーティーの場に、一人だけスーツで着て浮いてしまっているようなもんだ。場違いなのは自分だ。
どう気持ちを切り替えればいいのかがわからない。こんな終盤になんて想いを抱えているのか。ため息が出る。
でも夕食のテーブルが一緒だったあの女性は、25才?きっと良い経験になるわ。という言葉を掛けてくれた。
まだ旅は終わっていないから、最後に何が待ち受けているかもまだわからない。旅を終え、そこでどう感じるか。まだ結果は出ていないんだ。
せっかく眠れていたのに、寝返りを失敗して、はしごに顔(眉上)をぶつけてしまい、3時前に目が覚めてから寝れなくなった。
邪念に囚われすぎなんだ。孤独な巡礼者であれ。だとか、明らかに落ち込んでいる自分への慰めが浮かんだ。だが楽しめる旅を楽しめなかったという後悔が心のほとんど真ん中の位置にある。
心理的に悪くない状態でも眠れなかった夜は今までにもあるはずだが、この夜は特に眠れなかった。聞こえ続ける他人のイビキと放屁の音が不快だった。
今日の歩み
Portomarin – Palas de Rei / 24.1km


