四国歩き遍路の旅 15日目

6月7日。
5時過ぎに起きると既に雨は降っていた。おっちゃんもわりとすぐに起きたので挨拶をすると、直後に寝起きの放屁をぶちかましていた。

雨の雪蹊寺を眺めながら朝食を取った。雪ではない。
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お手洗いが本堂の横にあって、通夜堂からその場所までは屋根がないので走った。朝からダッシュ。

出発したのは6時20分頃。
おっちゃんとは爽やかに別れた。いろいろとお世話になりましたと言うと、またどこかでという言葉を返してくれた。
良い人だった。人を見た目では判断してはいけないと戒めになった。これからも、誰とでも接してみるというのは決して悪いことではないはずだ。

荷物は昨日までに比べればコンパクトにまとまったけれど、予想通り今度は縦へと膨らんでしまったから、バックパックの上の部分が歩くたびに笠に接触するので、かなり後ろが気になる状態だった。
途中から笠を隙間に挟んで歩いていたけど、このときはまだそこから水滴が荷物へと染み込んでいるとは露知らず。
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九州シンフォニカー 〈熊本大分復興支援コンサート〉

昨日はアクロス福岡シンフォニーホールで行われたオーケストラのコンサートに行ってきた。
演奏は九州シンフォニカーという主に九州で活躍する若手音楽家を中心に結成されたオーケストラで、今回の復興支援コンサートは特別編成として、関東や関西で活躍するメンバーも加えての演奏。

指揮者はロシアやルーマニアでも指揮の経験がある藤崎奈美さん。
ヴァイオリン独奏は一昨年まで大阪フィルハーモニー交響楽団でコンサートマスターだった渡辺美穂さん。
コンサートマスターは東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートマスターで、真田丸のメインテーマのヴァイオリニストの三浦文彰氏の父親である三浦章宏さん。

プログラムは以下。


*1部
モーツァルト – 歌劇「魔笛」 K.620 序曲
ブラームス – ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77

*2部
ブラームス – 交響曲第1番 ハ短調 作品68


演奏を聴いて何よりも強く感じたのは、音が綺麗に揃っていたということ。
指揮者の藤崎さんと九州シンフォニカーは確か初めての共演。それなのに本番前の数日で合わせたというのがとても信じられなかった。
個々の演奏技術が高く、指揮者との息もぴったり合っているから、こんなに整った音が届けられるのだろうなと感じた。
それぞれの楽器の演奏音の乱れがないので、旋律は聴いていて心地良いし、音圧も適切だった。

アクロス福岡シンフォニーホールの音響の素晴らしさ(残響の恍惚っぷり)も含めてになるけど、CD音源では感じられない生の音の届き方(休憩時に1階から2階へ移動して聴いてみた)。
オーケストラならではの各楽器奏者の演奏をしている姿の美しさ。休符が終わりに近付き、楽器を構えて、また揃って弾き始める、弾いている動作の美しさ。
そういった部分も楽しめた。これは実際に会場に足を運んだ者のみが感じられる特権だと思う。

でも演奏について気になった点を(偉そうに)挙げるなら、それはお利口さんというか、優等生すぎるかなと感じたところ。
もっと情熱的に演奏しても良いというか、少し抑揚が足りない気がした。
クラシックに限らず、全ての音楽(芸術とまで広げてもいい)は基礎が出来ているというのは必要不可欠で、その基礎という土台がきちんとあるからこそ、その曲の良さを引き出したり、独自性を演出したり、という言わば、”魅力”に繋がる部分を構築していけるんだと思う。
ヘタウマな演奏家みたいな異端もいたりするけど、でもやはり成功者の大半は演奏技術(基礎)に裏打ちされた何かを持っている人たち。

だから今回の演奏を聴いていて、凄くもったいない気がした。
音の綺麗な揃い方を聴けば、規律的な指揮のもとで、ステージ上にいるどの奏者も演奏技術が高いんだということは、きっと会場にいた誰もが感じたはず。
それなのになんだか少し物足りなさを感じたのは、お利口さんすぎたんじゃないかなと。
正しい表現かはわからないけど、演奏技術は高いのだから、もっとアグレッシブに、もっと冒険しても良いような気がした。彼らならもっと魅力的な演奏を行うことが出来ると思ったから。
基礎とは別にある部分に人は魅力を感じやすくて、この人たち下手なのになんか良いよなーと感じることがあったりするのは、音の乱れはあっても上手くマッチしていたりするからだと思う。悲しいことに、基礎力ハンパねぇ~~!!とはなかなかならないし。歌手だって歌唱力が全てではないように。

合わせてから日数も浅いわけだから仕方がないと思うし、指揮者の藤崎さんに挨拶させてもらった際、力不足ですみません、次頑張ります。と言っていたから、これからに期待したい。いや、なんか偉そうだな。書き換えよう。応援したい、心から。
何人かの20代の演奏者とも挨拶をさせてもらって(ちなみにこのブログで数回書いた恵奈ちゃんも参加していた)、彼らの個性的で才能を感じさせる雰囲気は気に入らざるを得なかったから、彼らの活躍もまた願っている。

とまあ演奏については以上なんだけど、今回空席が目立っていたのでそれについても書いておこう。
ざっと見たところの予想で詳しい観客数はわからないけど、だいたい200人くらいいたのではと思う。しかし、福岡シンフォニーホールの通常時のキャパ数は約1800席。この日3階と2階の横の座席(2階は撮影カメラがあった)が立ち入り禁止だったとはいえ、開放されていた座席だけでも約1500席はあった。
多分、観客の大半は関係者や知り合いで、繋がりはないけどクラシックが好きだから来たという福岡県民はほとんどいなかった気がする。
福岡シンフォニーホールという美しく素晴らしい会場、にもかかわらず高めではないチケットの価格設定、熊本大分復興支援コンサート、クラシック初心者でも足を運びやすい要素は揃えっているのに、こうなった原因は複雑ではなく、単に宣伝不足だと思う。最初は福岡人なにしてんだよ!!!と思ったけど。

会場代だけで、満員でも赤字の価格設定みたいだから(寄付の分もあるし)、儲けは度外視だとしても、それでもやはり主催者やステージに立つ人達が気の毒だった。
人生の記念に1回立派なとこでやっときますか~って目的にしてはメンバーは若すぎるし。
借金とかしてなかったらいいな…とか、これだけ素晴らしい場所で演奏するのだからもっと大勢の観客の前で演奏させてあげたかったなという、何様だよお前ってなるようなことを思いました正直。どうも。

藤崎さんが寒々しくてすみません…と楽屋裏にいた熊大の女の子たちの前で謝っていたけど、一般層に認知されていて、名前だけで客を集められる指揮者なんて日本には数人しかいないわけで、別に彼女だけの責任ではないと思う。
充分な協力者(マネージャーやプロモーター)がいないにしても、自分が主催側なら、西日本新聞と読売新聞福岡版にでも広告を出して、利益は然程変わらないにしても、観客を増やすことを目指しただろうか。
でもそういった宣伝等の音楽以外の部分が難しいのはとてもよくわかる。
会場によっては知り合いが知り合いを連れてくるだけでなんとかなるときもあるだろうけど、会場が大きければ大きいほど事前に観客がどれだけ来るかなんて予想つかないわけだし、どの宣伝をしたらどれだけの効果が見込めるかなんてのもわからないし。
うん、難しい。

でもとりあえず、僕は行って良かったと感じた。
オーケストラ自体生では久しく聴いていなかったし、交響曲をガチっぽい会場でガチっぽい演奏で聴きたいなーと長いこと思っていたから。
個人的に一番かっこいいと思ったのはティンパニの永野哲さん。さすが元九州交響楽団。かっこよかった。
あれこれと書いたけど、演奏には満足で、充分楽しめた。

コンサートが終わると、恵奈ちゃんの両親にご飯をご馳走してもらった(恵奈ちゃんは打ち上げの方に参加)。いつもお世話になりまくりでテイクアンドテイク感凄くて申し訳ない。僕に出来ることといえばもう観客としての応援くらいしかないので()クリスマスも大濠公園の近くで演奏があるとのことなので行く予定。

帰りは普段通らない道を歩いた。白い息を吐きながら、寒いからこそ綺麗な星を見上げながら、家路を辿った。


四国歩き遍路の旅 14日目

6月6日。
朝を迎えると、奥さんがリビングにいたので挨拶をした。昨日は88番札所まで行っていたというようなことを聞いた気がする。
気掛かりだった昨日遅くなったこともちゃんと謝れた。心配してくれていたみたい。こっちにいる友達と会えたの?それはよかったね。と言ってくれた。
優しくて気さくなおばちゃんで、お遍路の話を中心に楽しく話した。元々山とかも登る人らしくて、お遍路さんと仲良くなったことがきっかけで、周りの反対を押し切って、このゲストハウスを始めたらしい。
自分の肌の色(日焼け具合)を見て、本当に歩いている…?と笑いながら言われたりもした。比べ物にならないくらいみんなもっと黒くなるらしい。
カメラは送り返したと話したら、この前来た台湾辺りの女の子もそうしていたと教えてもらった。やっぱり少しでも荷物を減らしたいというのが歩き遍路の共通点。

準備をしているだけで暑い朝だった。きちんと奥さんと話したかったから5時や6時に出発したりもしてないし。

自分がバックパックの両端に荷物をぶら下げているのを見て、改良の余地ありじゃない?といった指摘をされた。自分でもなんとかならないものかと思いつつも、仕方ないのかなとそのまま歩き続けてきたけど、でも確かに言われた通り、ぶらぶらと揺れ動くのは気になる。もう出発間際だったから、このときはそのままだったけど、次に荷物を整理するときは服をもっと小さくまとめたり、そういう工夫をしようと決めた。
この先の清瀧という町のサニーマートというスーパーの花屋さんに奥さんの勤め先はあるから、よかったら寄りにおいでと言ってくれた。
昨日電車に乗った土佐一宮まで車で送ってあげようか?と聞かれたけど、戻って歩き直すということはしないから遠慮した。すべてを歩くというこだわりがないなら、あれだったら路面電車を使って次のお寺の近くまで行けば?とも提案されたけど、ここから竹林寺までは歩くことにした。戻りはしないけど、歩いて行く。変なこだわり。
でもそういった知らない土地の情報は素直にありがたかった。路面電車で近付けるということなんてまったく知らないことだし。

この先もまだお世話になるけど、本当に優しさに溢れた奥さんに感謝でいっぱいだった。
見送られながら、このゲストハウスがもっと賑わいますようにと願った。

高知駅とは逆方向なので、通勤通学の流れに逆らいながら、竹林寺へと歩いて行く。
元は雨予報だったのがまさかのかんかん照り。
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道は多分合っているんだけど、念の為に国分川の手前で地図を広げていたら、信号待ちをしている原付に乗ったワイルドなおじいちゃんが後ろを指差して、何か言っていた。
発していた言葉はまったく聞き取れなかったけど、お寺がある方向はわかった。ありがたい。
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