篠栗八十八ヶ所巡り 一日目

5月27日(土)
おそらく最も荘厳かつ長い呼び方をすれば「篠栗新四国八十八箇所霊場巡礼」もっと呼びやすくするのなら「篠栗遍路」その1日目を区切り打ちしてきたので書いていく。
四国遍路を歩き始めたのが2016年5月24日なので、(ほぼ)ちょうど7年ぶりのお遍路になった。

相変わらずの不眠症なので前夜は3時間未満の睡眠になり、1年前からの膝蓋腱炎もまだ少し痛む日があるくらいには治りきっていないので、途中でぶっ倒れないかと心配だけども行きましょう。
メンタルもまああれだけど、心身ともに好調な時期なんて人生であったんだろうかみたいな人間なので行きましょう。多分5才児くらいの頃はまともだったと思うけど。
うん、でも久しぶりの巡礼だったので気分は良かった。巡礼の楽しさを知っている人間だというのも間違いないから。

同行者は神社仏閣や御朱印集めが好きな福岡市の20代女性、ゆきちゃん。まったく運動をしないというわけではないけど、スポーツ女子というわけでもない。
今日の予定距離は約20km。さあ、どうなるか。

博多駅からは20分で篠栗駅。結構近いわけです。

四国でも使った白衣だけ持ってきていたので駅のベンチで着替えた。他は巡礼の定番というか、トレッキング系の服装で揃えた。


電動アシスト自転車遍路も中にはいるかもしれない。いや、いないか。

なんだか感慨深くもあり、懐かしい白衣姿も、篠栗の人にとっては見慣れたものなようで特にじろじろ見られるということはなかった。「ん、お遍路か」くらいの感覚だろう。

駅前の観光協会の建物は9時から案内開始。だが特に尋ねたいことはないし、早く歩きたかったので8時半前に来た。

懐かしい道案内だ。このへんろ道を示す案内があるだけでかなり助けられる。

跨線橋を渡り、打ち始めの33番へと向かう。札所が1番から順だと数えやすいのだが、残念ながら篠栗遍路はバラバラ。

住宅街を歩きながら、たまに遭遇する地元の方に挨拶をしながら進む。挨拶の返りはとても良い。それだけで篠栗に対しての印象が良くなる。

駅から10分ほどで打ち始めの本明院へ到着。

8時44分 / 第三十三番札所 篠栗山本明院(薬師如来)

打ち始めのお寺なので参拝用品もこのように販売している。ゆきちゃんも白衣が着たいとのことでここで購入して着ていた。(サイズがなくても物置きに在庫が用意されている可能性あり)

この最初のお寺で一番気になっていたのが何時から納経をしてもらえるのか?という疑問。
ネットで検索してもその情報は特に出てこないし、グーグルマップは24時間営業になっているけど、その24時間っていつでも入ってお参りできますの24時間だろうし、四国は7時~17時だったけど、四国ほどは人が来ない篠栗で7時からやってくれるだろうか…?8時や9時じゃないか…?できれば朝早くから歩きたいけどわからない…と出発時刻も悩んでいた。
まあ、結局8時40分頃に到着したわけだけど、家の中からおばあちゃんが出てきて納経をしてもらえることに。

「時間かかるからお参りでもしてて」とのことだったので、本堂は既に参拝したけれど、三宝荒神を祀るお堂にも参ったり、境内を歩いて回ることにした。

先にお参りをしてから納経をもらうのが本来のマナーだけど、納経をしてくれる人が待ってくれている場合はもうお参り前に渡しちゃう方がいいな。臨機応変のマナーで。

同境内に神社も建っていた。田中八幡宮という名前らしい。

篠栗遍路最初の納経。ここから集めていく。

本当に優しいおばあちゃんだったんだけど、正直短時間の会話だけで認知症が少し入っているのが伝わってきて胸が痛んだ。
でも本当に優しかった。「両替大丈夫?」だとか気遣ってくれて、この先の旅の無事を祈って「気をつけていってらっしゃい」とお見送りしてくれた。
多分同じように気になっている人もいるだろうから、何時から納経をしてもらえるのかを聞こうと思っていたんだけど、それは聞けなかった。

では進んでいきましょう。裏道のようなへんろ道を通って二つ目へ。GPSログもここから開始。

山の方へと上って、そして下りてくるのが今日の道程。無事完歩できますように。

金剛杖と菅笠は持ってこなかったけれど、白衣だけでお遍路さんだということは充分わかるだろう。

多々良川に架かる高田橋を渡った先に二つ目の札所。

9時4分 / 第二十一番札所 高田虚空蔵堂(虚空蔵菩薩)

有人で納経を手書きしてくれる寺院以外、つまりお堂は自分で納経をしていく形。ちなみに納経料は手書きが300円で、セルフは100円。

朱印で ①札所番号印 ②本尊(梵字)印 ③御堂名印 を押し、最後に黒印で梵字の上に本尊名印を押すという流れ。

最初の押印の出来。ちょっと中央が左寄りになった気はするが、まあ…まあ…。

南蔵院で購入していた巡拝図(マップ)に描かれているのは目の前の道か…?いや、もう一つ先の道か…?と悩んだ結果間違えて、少し遠回りをして次の札所へ。

9時18分 / 第三十七番札所 高田阿弥陀堂(阿弥陀如来)

こじんまりとしているが新しめのお堂。どうやら四国のように本堂と大師堂が毎回セットになっているわけではないようだ。御堂名は地名+本尊名になっているパターンが多そう。

納経所もまた片隅にあって愛おしきかな。

トンネルを通るへんろ道。いろんな風景が四国での旅を想起させる。

9時31分 / 第六十九番札所 高田観音堂(聖観世音菩薩)

いや、ぽんぽん着くな。1200kmに88箇所と50kmに88箇所じゃそりゃ詰まってて当然なんだけど。押印はかなりスムーズになってきた。

君はシェイクうどんに混入しなくていいのかい?


歩いていると仏像の多さに自然と気付く。ブロック塀の中に仏像が安置されているのは初めて見たかもしれない。またお花がお供えされている場合も多く、地域全体で大切に管理されていることが伝わってくる。

古民家カフェでも開けそうな家の前で左折。

石のアーチをくぐらないと進めない構造。くすぐられるね。

9時46分 / 第三十二番札所 高田十一面観音堂(十一面観世音菩薩)


素敵なお堂だなと感じつつ、押印中ずっと屋根付近を小動物(ねずみ?)が走り回る音がしていて、降ってこないか普通に怖かった。
それと前の人が朱印のところに間違えて一つ黒印を押していて、他に予備もないのでそのまま押すしかなかった。まあ、そんなこともあるか。

かなり年季が入っているようで、98年というほど昔ではなかった写真。

普段は歩かない道の景色が見られるのも巡礼の楽しさの一つ。知らない場所を歩くのって楽しい。

篠栗町の人口は約3万人。篠栗駅から奥はもはや山村地域の雰囲気すらある。

何の建物だろうと思ったら料理教室か、良いな。

実は探していた自販機発見!

気温が30度近くまで上がる日だったので炭酸が飲みたくなり、メッツライチを購入。

古い道標もあるようだ。お仏壇のはせがわ提供らしきものも。

大木と出くわす。

金出天神森の大楠という名前らしい。推定樹齢500年か、そりゃ立派なはずだ。

300年の二号木も充分デカい。

10時8分 / 第四番札所 金出大日堂(大日如来)

ユニークな納経料入れ。ただ自分で納経をしているとちょいちょい手が汚れるのでウェットシートが活躍していた。

お堂と大楠を一緒に撮ろうと試みたが、大楠が巨大すぎて収まらず。

トイレは定期的に設置されているので、その点ではあまり困らないかな。

駐車場があるタイプのお寺だ。

10時23分 / 第三十五番札所 金出山珠林寺薬師堂(薬師如来)

土曜日のわりにはあまり人とすれ違ってこなかったけれど、このお寺では檀家の方十数人と会った。

それなりに大きめのお寺だが、お参りは外のお堂だし、納経も手書きではなかった。人手不足なのか、面倒くさいのか。曜日や時間帯によっては書きますというところもあるかもしれない。


あのメロディが勝手に流れてくる。

札所一長い階段とのこと。

野花が咲いていたり、だんごむしが動いていたり、イモリが人の気配で隠れたり。

10時34分 / 第八十六番札所 金出観音堂(十一面観世音菩薩)

たまにお供えされている鬼ころし。故人の好きだった物として墓前に供えるのはわかるんだけど、これは仏に日本酒を勧めているという解釈でいいのだろうか…?(違う)

更に上まで登れそうだったが、階段を下りて次へ向かう。へんろ道をひたすら進む。


まずは左側の神峯寺へ。へんろ道は奥の山の方へと繋がっている。

四国霊場と同じ名前の寺院がたまにあるな。御本尊が勧請されている箇所も。

福生園という割烹料理屋も近くにあり、この辺りは庭園になっていた。

夏の到来を知らせるような風鈴の音色にとても惹かれた。お堂の写真を撮ることを忘れるくらいには。

10時58分/ 第二十七番札所 金出神峯寺(十一面観世音菩薩)

ここでYAMAPを確認してみると正直ドン引きするくらいには驚いた。まだ3km!?え…?もうすぐ半分とかじゃなくて!?3km!?と。

何が原因だろう。ちょっとペースが悪すぎる。写真を沢山撮ったりはしているけれど、とにかくお寺の滞在時間が長いことか。そこまでだらだらと過ごしているつもりはなかったが、お参りや押印等もっと効率よく進めていかなければ。

次は道路の反対側のお寺へ。

楓が多い気がするので篠栗遍路は秋がベストシーズンだろうか。だがそうなると人も車も増えるという苦労も生まれる。何もかも一長一短。

広い境内だったので本堂を探す必要があった。

男厄除坂の上に発見。この坂で白衣等のお遍路用具を身につけたグループとすれ違った。おそらく車遍路だが、初めての篠栗遍路の同士だ。

上にも下にも沢山のお堂が立ち並んでいた。

11時14分 / 第八十七番札所 篠栗山弘照院(聖観世音菩薩)

納経をしてくれたおじさん(住職?)に「四国は行ってみたいと思うかい?」と尋ねられ「僕は行きました」と答えると、どうやらそのおじさんも経験者のようで懐かしい四国遍路の話になった。
横峰寺に自前のバイクで移動する配達員や、石鎚山を滑落して国民宿舎の近くに遺体が落ちてくる話などなかなかディープな話題もあったが、おじさんの方も楽しそうで盛り上がったし嬉しかった。歯はなかったけど、とても明るい人だったな。「尊敬するよ」とも言ってくれた。
もっと話せばもっと楽しかったんだろうけどそう時間に余裕はないし、お母さんが御朱印集めをしていそうな小学生男子を連れた三人家族がちょうど待っていたので話を切り上げて先を急いだ。おじさんからは「長々と話してごめんね!」と謝られたけど何一つ嫌な気持ちになんてなっていない。自分も三人家族に「お待たせしてしまってすみません」と謝ったけど嫌な気持ちにさせていなければいいな。

修験者の修行にも使えそうな巨岩。

針ノ耳親子岩の隙間をくぐり抜ける自分。


あの巨岩…柵があるな…とは思っていたが、へんろ道になっていたのか。まさか岩の上に道が繋がっているとは。

しかしながら、最後までたどり着けるかは少し不安になってきた。切羽詰まって急いでいるわけではないが、余裕をこいてちんたらと進んでいるわけでもない。それで思ったように距離を稼げていないということは、登り降りや曲がりくねった道で体感以上には進めていないということか。堂宇が詰まっているゆえに経過時間のわりに歩いている時間がそう長くはないということもあるだろう。

四国の時のように行けるとこまで行ったらあとは野宿、というわけにはいかず、今日の行程をすべて予定通りに終えて交通機関(JRの駅)までたどり着かなければならない。最悪タクシーを呼ぶという選択肢もあるけれど、もちろんそれは最後の手段。うん、今日のゴールは決まっている。決まっているから焦っているという面もある。

だができることは特にない。ただ歩いていくだけ。

奥の建物は「バーガートウカ」というおしゃれなハンバーガー屋さんで一度来たことがある。その際にHENRO 88のTシャツを着た女性グループが入店してきた記憶もある。だが今はお昼にはちょっとだけ早すぎるのでそのまま進む。

最後までたどり着けるかなという不安はあるけれど、楽しいのは楽しいんだ。こんなマンションの横を通るへんろ道なんて面白さしかないよ。

11時39分 / 第十五番札所 篠栗山妙音寺(薬師如来)

納経所に次の66番の印も置かれていて、階段昇降等が困難な人のためにこちらでも押せるように置いてあるのかな?でも自分たちは次も歩いていくし次で押せばいいか。と簡単に判断したのがいけなかったんですねこれが…

猫がいるな…いや!タヌキ!と、狸が駆けてきて驚いた場所。(※写真には写っていない)

はい、そうです。次の66番、納経道具一式が置かれていませんでした。次のも押せますよじゃなくて、次のも押しなさいだったのか。うん、選択肢はない。戻るしかない。「タヌキに化かされたね」なんて話しながら登ってきた道を下りた。やむを得ないタイムロス。

戻って注意書きを読み返すと「参拝者のみなさまへ 当寺院にて、六十六番札所観音坂観音堂のお納経を承っております」と書かれていた。
まあ、落ち度はきちんと読んでいなかった自分たちにあるんだけど、多分同じミスは自分たちが最初ではないから「注意!!次の札所ではお納経不可です!!必ずこちらで済ませてください!!デカデカと書いてくれてもいいのになとまったく思わなかったわけではない。

11時56分(2回目) / 第六十六番札所 観音坂観音堂(千手観世音菩薩)

ここからしばらくは普通の山登り。消耗はあるけど町中を歩くより楽しい道。

これまで水を汲めそうなところはなかった。お寺の水道を勝手に使うことはできないし、使える場所があったとして飲水可能かはわからないし。

樹芸の森公園でトイレ休憩を取った。水道はあったが飲料不可。

休日に山の方まで来て、テントを設置して、家族でバーベキュー。完璧だね。

ダムが遠くに見えているが、これからまだ上へと登っていき、そこからあのダムの下まで降りていくという行程。いや、本当に大丈夫か…? 

自販機ここにあったんかい!飲み水不安になってたんだよ!とりあえずアクエリアスを購入した。複数購入して水筒に注ぐこともできたけど、次の集落まではもつかなとそれはしなかった。

こんな山の中に老人ホーム。山だから会いに行けないという理由をつけられて家族が面会にあまり来てくれなさそう。

久しぶりに民家が見えると嬉しかったり、やっぱり巡礼はただの登山とは違う。短くても冒険のような旅。

お、またもや自販機。

アクエリアススパークリングなるものを見つけて飲んでみたけど、めちゃくちゃ炭酸が強かった。気が抜けるとアクエリアス味だったけど。

無人販売。たけのこ有ります。

こちらは戻ってきてからの分岐道。まだ進めない。

日本人の多くがイメージする「The 田舎」というような風景だ。こんな風景の中を歩けているという喜び。

現在地付近の三箇所を打ってから右の呑山へと上がり、戻ってきて70番やダムの方へと下りていく。まだまだ先は長い。

この集荷場から左の道へ。


お寺がある雰囲気がまったくしない林道のような道をひたすら歩かされた。

悠久の歴史はなくとも(とはいっても200年近くはあるが)、何百万(何千万?)の人々が歩いてきた道で、ウグイスや蛙の鳴き声を聞きながら歩けば自然と湧いてくる感情はある。
一人ならばより考え事に耽けただろう。二人ではそうした状況に話は尽きなかった。今一人だとどうしても負の感情で押し潰されそうなのでよかったと思う。自分の心と向き合う時間は大切だけどそれが重荷になりすぎるのは良くない。

12時58分 / 第四十九番札所 小松尾山雷音寺(釈迦如来)

梵字が仏足に囲われている。良いデザインだ。

めっちゃ西洋。

この辺りの集落は特に仏像へのお花が綺麗だった印象。

13時15分 / 第四十七番札所 萩尾阿弥陀堂(阿弥陀如来)

罰が当たってほしいとまでは思わないけど、何度だって言えるくらいには「千社札を貼るのは寺社で最も品の無い行為」とは思っている。

斎藤一人が実際に来たのか、教祖的な意味合いで貼られているのかはわからない。

13時28分 / 第七十六番札所 萩尾薬師堂(薬師如来)

お堂の扉を自分で開けて中へ入っていく経験というのも珍しいだろう。様々な種類の寺院・堂宇があって面白い。

この集落にある「RIYAKU」という古民家カフェで昼食を取ることは事前に決めていて、だご汁が気になるとか、ティラミスが食べたいだとか話していたんだけど、まさかのサタデードライブおしゃカフェ女子&カップルズで満席で、いや、困ったね。めちゃくちゃ困った。

一組が既に待っているとのことだが、時間が読めなさすぎるし、そもそもその時間に余裕がない。そして何より困ったのは飲食店が他にないということ。
君たち車あるんだからどこでも食べれるやん…とは思っても、ここ目当てで来たのだろうから仕方がない。しかし自分たちには選択肢がない。
結局土曜日限定でオープンしているパン屋さんが少し戻った場所にあることも事前に調べていたからそこに賭けることにした。このカフェで食事するものと決めていたから残念だったけど、でもどうしようもない。

そういえばここのお客さんたちはドライブがてら福岡市等から来ている、要は篠栗以外の人たちばかりで、やたらと物珍しそうに見られたな。でもね、見世物じゃないんだぜ。弘法大師なら「今巡礼中なんですか!?私たち別にあとドライブするだけなんで!お先にどうぞ!」って譲ってくれない人たちには多分罰当ててるぜ。よかったな、うちらが弘法大師と慈忍のコンビじゃなくてよ(誰)

はい、ちょっと戻ります。

「自家製酵母パン なないろ」

売り切れ次第営業終了という情報も得ていたので正直かなり不安だった。ここでも食べられないとなるともうハンガーノック一直線だし。

まだ売ってたあああああああ ありがとおおおおおおおおおおおお

ええ、いろいろと購入させていただきました。店主は超ゆったりと喋る男性で「歩きのお遍路さんは珍しいですね~車の方はたまにいらっしゃるんですが~」等々少し話をした。
彼がとても親切な人で、水道の水も自由に使わせてくれて「井戸水なのでしばらく出していたら冷たいのも出てくると思いますよ~」とかね。
いやもう、本当に感謝しかない。彼とこのパン屋が更に繁盛しますように。わりと本気で恩人です。

このへんろ道の奥に男性が一人いたけど、とりあえずパンを食べたいので車道の方へ進み…

ベンチではないベンチで昼食タイムへ。

篠栗小学校萩尾分校を見ながら。

こんな大自然が広がる景色の中、シナモンロールや豚まん、ピザパンなどの美味しいパンが食べられるという、結果的に最高のお昼になった。
おしゃカフェには行けなかったけど、あの男性の優しさに触れて、いや、縁だね。これこそが旅であり、人生だね。いや、本当に。

写真はちょっと飲んだ後だけどあずき茶も買ってみた。味は想像通り。

お昼休憩終わり。ありがとう丸太たち。

さあ、また歩いていこう。

上に見えているあれは何だ。

右奥にはフリースクール山ねこ。自然の中で傷ついた少年少女たちの心が癒やされたらいいな。

ひたすら歩いていたら結構登ってきたことに気付いた。ご飯を食べて体力は回復したし、あの遥か上に見えていた別荘っぽい建物が同じ高さになって、先程まで自分たちが歩いていた道が小さくなって、なんだか風景から元気をもらった。

山の上に舟…ノアの箱舟…

道中には札所に入っていてもよさそうな寺院やお堂が沢山あって、その中のいくつかは番外札所になっているらしい。

アクエリアススパークリングを買った場所でも確認していたんだけど、バスは二便だけ。もう少し遅い時間もあれば交通機関移動も上手に分けられるんだけどな。需要が少なすぎるか。

歩き続け、上り続け、ようやく最奥の地が見えてきた。

呑山観音寺は初めて訪れたが、紅葉の名所として名前は何度も聞いたことがある。大駐車場があるということは見頃の時期やお正月はかなりの参拝客が訪れるのだろう。

この呑山には二カ寺ある。まずは天王院から。

紫陽花が咲いてたら嬉しかったのにな!少しだけ早かったか。

14時49分 / 第三十六番札所 鉾立山天王院(波切不動明王)

紅葉の時期ではなくてもとても綺麗な境内だったし、同じ時間にいた映えクリエイター?みたいな男女も巡礼者へのリスペクトを感じる方たちで心地よく過ごせた。いろいろ撮る前にお参りしたらいいのにとは思ったけど。でもお参り目的ではないならそうなってしまうか。

もう一つのお寺へ。

一筋じゃないやん!

こういったお店が常に開いているくらいの賑わいが地方にも戻ってきたらいいのにな。紅葉や桜の時期には営業しているのだろうか。

15時4分 / 第十六番札所 鉾立山呑山観音寺(千手観世音菩薩)

本堂の天井に無数の千羽鶴が吊るされていて美しかったし、厳かな雰囲気がしっかりと感じられる寺院だった。四国霊場巡りが始まる前からの長い歴史を持つらしい。

大師堂まであるというありがたさ。ここまで登ってきた価値がある。この呑山の二カ寺はお勧めしたいな。花は見頃でなくても、人が少ない時期もきっといい。

もう!登らなくていい!あとは!下るだけ!

お昼の流れで先程は車道から来ていた区間を今度はへんろ道で。



ああ!あれはお昼ご飯の場所!と笑った。

人がいる…絵を描いてる…?

なるほど、この景色を描いているのか。素晴らしいな。きっと文句のつけようのない田舎ライフを過ごしているのだろう。

この下り道は呑山でも見かけた60代くらいのご夫婦が近くを歩いていた。会話をする機会はなかったし、多分納経はしていなかったけど、霊場巡りをしていたのは間違いない。

いつぞやの分岐がある萩尾橋まで戻ってきた。

それはつまり…一年中では…?

伐採されている山肌も見えていたので、そういった場所と繋げられているのだろうか。

お寺らしき建物が見える。下りていく。

この木の板の橋ね、そう遠くない日に壊れると思うわ。恐怖を感じるくらいには劣化していた。

やっぱりお寺だった。

猫もいる。

しかし、しかしね、このお寺、餌置きっぱなしで人もいないから、まあ猫の糞尿の匂いがキツくて、しかも札所じゃなかったっていうね。

疲労は溜まってきているが、進むしかない。下りるしかない。

篠栗耶馬渓とも呼ばれている渓谷の中にある五塔の滝。インドかネパール辺りの男性二人もスクーター二人乗りで見に来ていた。



札所はここにあった。時間的に今日の最後かもしれない。

16時25分 / 第七十番札所 五塔ノ滝観音堂(馬頭観世音菩薩)

あと三箇所あるが、二つは有人のお寺なので17時までにたどり着けなければ納経はもらえないだろう。ゆきちゃんがかなり疲れているようなので厳しいか。

何かが朽ちたか、土砂で流れた跡。

興味深い番外。

ダムが見えてきた。

鳴淵ダム。なぜか対岸からドラムの音が届いていた。

神殿っぽさもある展望台。気になるけど今は寄り道している余裕はない。

まだ登りあったんかーーーーーーーーーーーーい。反対側の道を歩くべきだったかな。

でも綺麗。選んだ側でないと見られない景色はあり、日は少しずつ沈んでいく。晴れの日を狙ってはいたが、時折曇り空になる程度で天候には恵まれていた。ちょっと暑かったけどね。

ムーミン感ある。

内部見学通路入口か。楽しそう。

お寺と隣り合わせで建っている旅館。歩き終わって疲れ切った体で入る温泉はたまんないだろうな。

札所にはたどり着いたけれど、時刻は惜しくも17時15分。鍵は掛かっていなかったので扉を開けてみたが、つい先程まで人がいた気配はあるものの無人で、納経も自分で押せるような状態ではなさそうだったのでここで断念。

GPSもここまで。一人だったら残り三つも行けただろうけど、まあいいさ。次回再開の駅から少し戻ってくる必要はあるが、それも大した距離ではない。何も問題はない。朝何時から納経可能かはまた気になるけど。

とりあえず駅に向かおう。

なんだか素敵な場所がいくつもあるな、篠栗。良い町だ。

左に映っているのも札所。巨大な不動尊だ。

せっかく電車通ったのに撮るのが遅れちゃった。

歩いた後のオロナミンC優勝。

歩き遍路のおじさんが後ろから来たので「今日は最初からですか?」と聞いてみたら、のみやまさんからとのことだった。バスに乗って二日目として歩いたようだ。「お疲れ様でした」とお互いを労って別れた。

帰りの筑前山手駅を見てもう笑うしかなかった。

疲労たっぷりの体には処刑場のような階段だ。どうやら九州一階段数の多い駅らしい。このタイミングで登場しなくても。

あ、駅の下も札所だ。

まあ、上るしかありませんよ、この階段を。

風景は素敵だけどね。きっと二日目の朝は清々しく感じられるだろう。

駅舎内のベンチで汗を拭いたり、Tシャツを着替えて篠栗線博多行きの電車に乗った。

(おまけ)博多駅くうてんのパスタ屋でその日のうちにリベンジしたティラミス。ちょっとコーヒー感強すぎたけど。

この日歩いた総距離。

一日終わっただけの感想だけど、正直言えば、せっかく50kmとコンパクトな遍路なのに初日のハードルが高すぎるのがもったいないなと。
普通の一般人でも決して歩けない距離ではない。ただ、もう少し難易度が低ければ、もっと気軽に参加できるし、人気も高まって、口コミも広まって、更に人が増えるだろうに。
ちょっとね、初日コースのこの20kmは距離以上に難しさを感じた。一日目や二日目でリタイアする人もいるみたいだし、自分が体力不足だからこんなにキツいんだ…と落ち込む人もいるだろうけど、ちゃんとキツいよこれは。足が作られていない初日では特にね。しっかり歩ける人でないとお勧めできないもん。
でも仕方ないよね、そもそもレジャーではないし、お寺や駅を移動させるのは実質不可能なわけだから。ちょっと残念ってだけ。

しかし人が増えてほしい。きちんと準備をしていれば歩けるし、苦労が増せば達成感も自ずと増すというもの。四国遍路の予行演習でも何でもいいから、全国からもっと沢山の人に訪れてほしいな。
道中の旅館がこれ以上営業終了しちゃうのも寂しいしね。宿を上手く利用していけばもちろん難易度は下がる。

うん、楽しかった。それは間違いない。久しぶりの巡礼への期待を超えてくる満足感があった。
ここまでの長距離を歩いたのはそれこそ一年ぶりだけど、膝の痛みが悪化することもなかったし、体調も万全でない中で、暑さもあったのにもかかわらず、上出来な日じゃないかな。
今日の目標としていた21箇所のうち18箇所も打てたし、次も楽しみにしている。
奥の院も歩くモデルプランだと4日間だから、おそらく残りは3日。どうなるかはわからないけどね。


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