6月13日。
夢なのか現実なのかわからない夢を最近見る。5時半起床。
朝食のコーンサラダ。もちろん他にも食べたけど。
準備を進める中で、不要な靴下を2セット捨てた罰なのか、必要な靴下の片方が見つからなかった。やばいな…どこだ…と焦ったけど、落とした可能性のある場所は限られているので、屋上まで行ってランドリールームの扉を開ければすぐに見つかった。乾燥機から取り出す際に落として気付かずに部屋に戻っていたみたい。
7時半前、雨は今は降っていない。
ホテルを出たのは8時20分。このときは雨はぱらぱらと降っていた。
病院の手前にあった薬局はシャッターを下ろしているというか、永らく営業していない様子だったので不安だったが、清谷医院はやっててよかった。周辺からちょっと下水の匂いはしたけど。
診療開始時間になるまで入口前で過ごした。そして8時30分になってそろそろ開くかなと内側から誰かが開けに来るのを待ったけど、誰も来なかったので数分経ってから、もしや…と自分で開けてみたら普通に開いていたというオチ。
朝イチだから患者は誰もいなかった。月曜の朝を恐れすぎただろうか。早く行動したいから後悔はないが。
現在の症状、このとき原因と考えていた膿を針で抜いたら~という処置をしたことを説明した。
結果は、若いけど無理はしないでとの忠告。5日分の抗生物質の飲み薬(クラリス錠200)と塗り薬(デキサンVG軟膏)を処方してもらった。朝晩ちゃんとお薬を飲んで、塗って絆創膏をしていたら、5日もあれば化膿は引いてくると思うとのこと。
ちなみに薬はここ清谷医院で出してくれた。薬局閉まってるけど…という危惧はその場で解消。人が少ないとはいえ、無作法で申し訳なかったけど他に場所もないので、待合室で塗り薬を塗り、絆創膏を貼った。
距離は抑えてとは言われたけど、歩くなとは言われてないので(多分言わないでいてくれた部分もある)、歩くしかない。
複数の箇所がこれから絶対痛くなるという確信はある。というか既に痛い箇所もある。
昨日買ったケアリーヴが役に立たないので、もはや馴染みのローソン宿毛中央七丁目店でバンドエイドを買ってから9時40分に出発した。レインウェアはなし。
宿毛街道を北へ進み、その先の宿毛トンネルを抜けた。ひたすら歩く。
トンネルを抜けると一気に田舎に。やはりこの旅ではこういった風景が似合う。
雨だからiPhoneを扱うのは怖いけど、でも写真は撮りたいし、メモも取りたい。だからポケットから取り出しては使う。
歩道に草が生い茂り、路肩を歩くしかない道路状況はやはり危険。写真には写ってないけど走行する車もわりとあったから。
世界遺産を目指すにしても目指さないにしても、そういった雑草は刈り取っていいと思う。歩行者にとっても車にとっても、双方に危険があるわけだし。
その通り。
ラブホの横を通りすぎるときに、ちょうど車が一台出てきて、月曜の朝からいったい誰だけしからん!と、どんな人が乗っているのか顔を見てやろうと思ったら、助手席に乗っていた女性は両手で顔を隠していた。
うーんwwww浮世!!!!! 素晴らしい世の中!!!!!と叫びたくなった(照)
30歳前後くらいな気がしたけど、結果的にラブホ帰りの彼女は、歩き遍路の若者から顔を隠すということに成功したわけだ。アメイジングですわ…。大喝采ですわ…。
トラックの水しぶきがほんとに凄かった。まあでも、この時点でもう20日を越えていたので、水しぶきから顔を逸らす自分の技術も凄いことになっていたけど。来てるな…サッ…!的な()
そしてそして愛媛県。3つ目の国、伊予国。菩提の道場。やはり県境を越えるこの瞬間は否が応でも高まる。
愛媛県に突入したことだし、11時過ぎに先程県境から見えていた正木トンネル内の奥で小休憩。
足を労わるためにも休憩はこまめに、長く取るべきだろうと、ちょっと先に休憩所もあったのでそこでも休憩をすることにした。
しかし近寄ってみると先客の自転車があった。でも遍路ではなくて、雨対策を入念にしてある地元のママチャリのおっちゃん。コンビニで買ったであろう雑誌を読みまくっていた。会話は無し。
エネルギー補給ということで、塩とバターのロールパンを食べたけどあんまり美味しくなかった。一本満足バーのチョコタルト味は美味しかった。
11時53分にこの休憩所を離れた。休憩を長く取りすぎて、少し体を冷やしてしまった。
今日は誰ともすれ違わない。
爪は痛いけど、雨は今はほとんど止んでいる。
現在の状況が状況なだけに、歩くということに関しては不快感だらけ。でも短縮したら高野山とか気持ち良くないんだろうなという感情だらけ。
今日はカタツムリを見つけた。おまけに愛南町のご当地キャラなーしくんも見つけた。よう来たなーしと歓迎してくれた。お、おう。
愛媛を歩いているという事実。しかしまだ先は長い。お寺もまだ半分もお参りしていない。
温かい飲み物が欲しくてローソンで抹茶ラテを買い、外に出ると自転車があり、もしかしてと思ったらやはり昨日同じホテルに泊まった自転車のおっちゃんだった。
雨が止むのを待って11時に出発して今ここらしい。64歳のおっちゃんは昨日のフロントのおっちゃんのスキンヘッドに近付くくらい髪を短くしていた。元々は愛媛出身らしく、これから知り合いの家を尋ねる(泊まる?)と話していた。
自分が病院に寄ったことを話すと、休むのも大事だよと言ってくれた。居心地良い宿を見つけたらそこにいっとき滞在するといい。4、5日休んだところで人生何の影響もないさというようなことも言ってくれた。とても気持ちが楽になってありがたかった。
昨日洗濯の終了時間が終わらず何度も行き来して、そのたびに屋上へと行っていたであろう人はこのおっちゃんだった(おっちゃんもいつ終わるかわからなくて何度も見に行ったらしい)。予想はしていたけど、そのことに関してちゃんと謝れたのもスッキリした。
自転車の写真を撮らせてもらったら、僕のことも撮らせてくれと頼まれたので、ラテを飲みながらピースしといた。イェイ。
ほんの少しでも、取った行動やタイミングが違えばこの再会はなかっただろう。
オレオを一つ頂いて、握手してから別れた。さよならおっちゃん。
ひたすら歩いた。蛇がいたということ以外特に書くことなんてない。ただひたすら歩き続けた。
トンボの大群。
長期ではないにしろ、5日間程の休養のための滞在場所について考えた。どうせ滞在するならこの辺りではなく松山の方が何かと便利なんだろうけど、残念ながらまだ遠いし、次の40番を除いても、宇和島の先に3カ寺、久万高原の難所含む2カ寺を残すことになる。(おまけに電車のアクセスもない)
トンネルを抜けたら天候が変わった。空が晴れた。
阪神タイガースのステッカーを車につけたおっちゃんが家の前にいて、あと2.?キロだよという残り距離と、あといくつの信号があるのかも教えてくれて、頑張ってと100円の愛媛県最初のお接待をくれた。これからどうすべきかを考えていて残念ながら正確な数字は頭に入ってこなかったけど、ありがたい。本当に優しい人ばかりだ。
ここから松山に行くのは大変かと思っていたらなんとバスターミナルがあった。これは(仏教的ではないけど)啓示だろうか、それともなーしくんからの贈り物か…。
歩いているうちにお寺までの距離は縮まり、残り1.4km。気分が良くて、久しぶりに歩き専用の遍路道を選んだ。悪路ではなく、川沿いの歩きやすい道で助かった。
参道前に下校をする小学生がいた。お寺の隣にある愛南町立平城小学校の生徒だと思う。
そして愛媛県最初のお寺、第40番札所平城山観自在寺。15時7分到着。
本堂。観自在菩薩は観世音菩薩(観音様)のこと、しかし観自在寺の本尊はまさかの薬師如来。本尊だけでなく脇侍の阿弥陀如来、十一面観世音菩薩の像を弘法大師が一本の霊木から刻してはいるようだけど。
大師堂。
このお寺は1番札所の霊山寺から最も遠い場所にあって、四国霊場の裏関所とも呼ばれている。
山号の平城山は平城天皇が勅額を下賜したことから。平城天皇の勅命によりこの地を訪れた弘法大師がここ観自在寺を開基したらしい。
お参りを済ませてから本堂の中で納経をしてくれたのは、めっちゃくちゃ若い女の子だった。今までの若いが指すのは30代とかだったけど、彼女は間違いなく自分と同世代。
わりとお決まりの九州の地震の話をしてから、通夜堂へと案内してもらった。コンビニの位置も地図を持ってきて教えてくれたんだけど、その際少し会話をした。
納経を書くようになったのは今年からと話していた。どう見ても20代前半だし、奥さんという年齢ではないから気になっていたけど、このお寺の娘だと教えてくれた。
境内を一緒に歩きながら、小さい頃からいるところですと話す彼女がとても素敵で、そう本気で思ったからそう伝えた。こういった環境で育ったということ、彼女自身が素敵な女性だったということからも。
納経もまだ完全には慣れていない様子だったし大変なことも色々とありそうだから、頑張ってくださいと伝えた。
同世代の今時の普通の女の子が巡礼の地である霊場で働いているということが、若い巡礼者として素直に嬉しかった。彼女自身もとても良い子そうで、話しているだけで癒やしを与えてくれるような女の子だった。
昔なら茶屋娘に癒やされる旅人みたいな感じかな。うん、可愛いなーと癒やされました。連絡先聞いておけばよかったというのは煩悩ですかね。ええ、はい、煩悩です。
上の地図を宿坊前で受け取ったので、風が気持ちよく吹いているベンチに腰掛け、無難にコンビニでも行くかなと眺めていたら、掃除を終えた住職らしき男性が近くを通ったので挨拶をした。今日の宿はどうするの?と聞かれて、今日は通夜堂でお世話になりますと返した。住職もまた優しそうな方だった。
通夜堂。ちらっとしか見てないけど、昨日の宿泊者リストにはゆうた君の名前があった気がする。
綺麗な通夜堂だ。毛布もあるし、ロフトっぽい二階まである。
今日は20km少々歩いた。しかしその程度で済ませたが足は予想通りかなり痛い。もはや表面上の痛みだけではないから、今の状態に適した即効性のある薬なんてないのかもしれない。
5時にコンビニへ向けて出発した。身長が110センチくらいのおばあちゃんが、四国参りに来たの?お天気よくなってよかったね~と話しかけてくれた。
晴れたがいいが、5時とは思えない暑さだった。
ローソンからの帰り道、行きは気付かなかった子猫の死体を見つけた。
写真以外のものもあって、とりあえず買いすぎだし、写真はなんか中華感ハンパない。でも旅が楽しいと思えるなら問題はない。3つ目の県にも来たことだし。
参拝者もいなくなった午後6時前、太陽は傾いてはいるけど、まだ空は明るくて、青空と白い雲が見えた。
周りには建物が沢山あるのに、このお寺の境内の雰囲気はなんだろう。深い森の中にいるような落ち着きがあった。優しい風に揺れて木の葉が鳴る音、鳥の鳴き声。日が暮れてほしくないと思った。いつまでもここにいたいと思わせるようなそんな素敵な時間が流れていたから。
そういえば通夜堂は3回目。前の雪蹊寺のときは雨だったし、他に人もいたので、とてもお寺の雰囲気を味わうような過ごし方は出来なかった。でも今日は違う。
良い旅をしているなと心から感じた。今日ここにいること、こんな素敵な想いを味わえているのは世界にたった一人だけ。自分だけ。
松山道後計画を立てた。明朝バスで松山まで移動して、湯治とまではいかなくても足を休ませながら付近の札所も回るという計画。
一気に観光臭くなるし、41番から45番は残すことになるけど、でも今の足の状態を考えれば懸命だと思う。今日も距離は抑えたつもりなのに案の定ひどく痛んでいるし、誰もこんな劣悪な状態で歩いてなんかいないわけだし、気楽に行こう。誰と争っているわけではないのだから気楽に行こうと、今日の自転車のおっちゃんの言葉を思い出しながらそうすることに決めた。
寝巻きに使っているシャツはまだ湿っている。でもまあそのうち乾くだろう。わざわざ濡れているものを着るのもあれだし、とりあえず今日は違うシャツを着ることに。
今後の予定を立てたりしていたのに、日が落ちて暗くなると一気に行動力、思考のペースがダウンした。
羽アリのような虫が二匹飛んでいて、昨日買ったスプレーを使ったら、電気に当たって落ちてきた。これで解決かと思いきや、まだいるぞ…と他の存在に気付く。どこかから侵入して来ているとかじゃなければいいんだけど…と願う。
正真正銘、もう虫の季節。プレハブ小屋に50cmくらい隙間を開けて床があるというその作り的に虫は床下にいるのかもしれない。何か動いている音がする。小蝿っぽい虫も飛んでいる。
飲み屋でも近くにあるのか、外からはお酒を飲んでいるであろう人たちの声がする。
別に飲むわけではないのに、トイレは井戸水だから飲めないと教えてもらい警戒してしまったのか、タオルを濡らして体を拭くのではなく、汗拭きシートで済ませてしまってなんだか気持ちが悪かったけど、とりあえず寝ることにした。
しかし、11時半頃に我慢ができなくなって電気をつけた。 まず死ぬほど痛痒いのが無理…となって、ずっと電子音だと思っていた音はよく聞いたらフクロウか何かの鳴き声で延々と聞こえていて、寝る前から聞こえていた飲んでる集団のワハハハって笑い声は最高に騒がしいし、周りがカサカサうるさいなと思っていたらゴキブリが5、6匹動き回っているし。
ゴキブリに関しては2匹倒したけど、でも床の下に逃げたのがまだいるので、気が気じゃなかった。明るくなったから隠れたんだろうけど、先程電気つけた瞬間は自分のすぐそばにいたから。
重量(そんなに重さないのに…)と戒律を意識して、iPodも手元に今はないから音楽を聴いて安らぐことはできない。しかし起きているにはまだ夜は長過ぎる。
それから寝たは寝たけど、まあ大変な夜ではあった。明日はほとんど歩かないということで気楽だったけど、明日も歩く予定なら更にストレスは溜まったと思う。
ここからは完全に余談。
これを書いている今、なんとなく観自在寺の通夜堂について調べていたら、なんと前日にここに泊まっていた人のブログを見つけた。
27歳の秋田の男性で、彼だけじゃなく、ゆうた君も通夜堂に一緒に泊まって、チタもいたみたいだけど、通夜堂あるあるの一番先に来た人と同性しか泊まれないというルールなので、お寺の方に言われて境内の雨の当たらない場所にテントを張っていたらしい。
そこまでは別にノーサプライズだけど、なんとゆうた君は夜中に虫に起こされて外に避難したら目が冴えてしまい、コンビニで休んでいたらそこで寝てしまったみたいで、5時半に通夜堂に戻ったとのこと。
それを読んで、いや、まじかよwwwwと笑ったけど、でも自分以上に虫とか苦手そうだったし、うん、わかるよその気持ちは…。コンビニで~のくだりは凄すぎるけど…。
自分が朝病院に行ってなかったり、翌日バスに乗らなければ多分どこかで会って、追い越していたんだろうけど、27歳の秋田の彼とは旅を通して会ってはいない。
遍路ブログはいくつも読んだが、やたらと攻撃的な人が多かったり(他の遍路に対してだったり、泊まってもいない宿にあそこは見た目が汚いから泊まるのはやめた方がいいと書いてる人もいる)、道程を淡々と説明しているだけのブログだったりで、正直読んでいて面白くないブログが多いというか、この人がどんな景色を見ながら、どんなことを想いながら、遍路をしていたんだろう。もっと読みたい。と思わせてくれるブログはほとんどない(もちろん面白いものもいくつもある)んだけど、真面目そうな青年臭のする彼のブログは少し興味深かった。
多分、自分の前日に同じ場所にいた人だからというのもあれば、自分は会っていないのに自分が会った人たちと出会っていた、その2人がどう過ごしていたかが書かれていたからかな。
様々な人々の出会いと出会いの隙間で、出会わなかった人から出会った人たちのその後を知るということ。ネット社会の恩恵と書くとロマンは薄れるけど、でも面白くはある。これもまた一種の出会いなのかもしれない。