サンティアゴ巡礼 -フランス人の道- Day 11

4月22日。
目が覚めた時刻はまさかのアラーム超えだった。6時半に設定していたのに、ハッ!なんか鳴ってる…!!と焦って止めに行ったときにはもう10分以上経過していた。
ベッドとコンセントは距離があるのにアラーム設定していたのが間違いだった。みんなほとんど起きていたとは思うが、5,6人の同部屋の方本当にごめんなさい…。

昨晩、寝る前に貼った絆創膏のせいでスマホが押しづらかったので剥がすことにした。
アイリッシュブラザーズは結局戻ってこなかった。多分町へと下りた先で父親にやっぱりここにしようとでも言われたに違いない。なぜか荷物も持って行ってたし、このアルベルゲ6€だし。

いろいろと準備をしていたら7時半になってしまった。レカのように食べ物は持ってるっちゃ持ってるけど、手持ちのカステラは意外と賞味期限も長いから、一切れだけ食べて、やっぱりレストランに行くことにした。

焦っても仕方ないだろう。優雅に行こうじゃないか。パンも焼いてもらったさ。

思いの外オレンジが大きくて食べ終えるのに時間が掛かったが、オレンジジュースは今までの中で一番美味しかった。おばちゃん店員はいつも微笑んでいて感じが良くて、最後はブエンカミーノ!と送り出してくれた。宿泊客もそう多くなかったのでほぼ全員と笑顔で挨拶を交わした。これでエナルギーはたっぷりと補充できた。
トイレに行って、靴紐を結んで、準備体操をして、8時12分に今日の歩みを開始させた。残り約520kmの旅。

十霊山

巡礼路の中にも必ずといっていいほど山が組み込まれているように、信仰と山は密接な関係にあると思う。
巡礼はさておき単体として見ても、山岳信仰の対象の山の多くは、宗教の成立より前に、自然崇拝(アニミズム)から始まった古い歴史を持つ信仰なのだと伝わっている。
そして当然なことではあるが、かつての古き良き道が排気ガスだらけのアスファルトの道に変わっても、ほとんどの山は今なお当時の形のまま残っている。
建国以来(同一王朝の国として)世界最古の歴史を持つ日本という国に尊さを見出すことができるように、その歴史の長さに重きを置くのなら、山への信仰心は既存の宗教よりも大きな意味を持つのかもしれない。

個人的に絶対に歩きたいと思っていた巡礼路を歩き終え、次は何をしようかと考えたときに、山に登りたいなという気持ちがあることに気付いた。
ではどういった山に登ろうかと考えたときに、やはり百名山あたりが候補になるのだろうが、どうにも自分は百名山の価値に以前から疑問を感じている。
百名山というのは一般的には深田久弥という小説家が選んだ百座を指すのだが、その多さゆえに、どこか乱雑な印象を受ける。
というのも、いくつかの選定基準はあるものの、深田が登頂した山から選定されているので、登っていない山は除外されたり、百名山発表後に登った山を加えたくなり、やっぱりあれも…という形で紹介された山もある。要はまあ、突っ込みを入れられることの多いリストというわけ。
また実際に登ることを想定すると、日本全国に百座も存在するとなると(登山を仕事にでもしていない限り)膨大な月日と費用が掛かってしまうし、そうなるとやはり、作業感が生まれるライフワークとなってしまう。
熊野古道で出会った百名山の踏破を目指している男性は、残り僅かとなったところで病気に罹ってしまい、全制覇は難しそうだというようなことを言っていた。

ええ、ここまで書けばご理解いただけるでしょう。そうです、じゃあ自分で考えたらいいじゃないかという話になるわけです。
実は前々から考えていたことであるが、自分が選定したリストをここで勝手に提唱したい。
石鎚山を紹介する際によく用いられる「日本七霊山」を基に、疑問に思っている部分(被りや歴史的背景等)を考慮に入れてアレンジをした。
選定基準は「霊峰としての権威があること」「標高1,000m以上」この2つだけ。標高が高けりゃ良いってわけではないし、前者が特に重要なので。

リストの名前は「十霊山」


第一座 富士山 3,376m
静岡県/山梨県

国内だけでなく国外でも有名な日本の象徴的存在。言わずもがな日本最高峰の山であり、富士信仰(浅間信仰)の対象。


第二座 立山 3,003m
富山県

厳密に言えば立山は単独峰ではなく連峰なので、ここでは雄山のことを指している。飛騨山脈(北アルプス)にある立山信仰の対象。


第三座 白山 2,702m
石川県/岐阜県

上の二座とともに日本三霊山に選定されている山。両白山地にある白山信仰の対象。


第四座 月山 1.984m
山形県

出羽三山の一つとして信仰の対象となっており、室町時代までは八幡大菩薩、現在は月読命が山の神とされている。十霊山の中では最東端となる。


第五座 御嶽山 3,067m
長野県/岐阜県

記憶も新しい2014年に自然の脅威を改めて全国に知らしめたが、その畏怖こそ本来の自然信仰に繋がるものなはず。三霊山入りも議論されるほどの権威を持つ御嶽信仰の対象。


第六座 大峰山 1.719m
奈良県

立山と同じようにここでは大峰山脈にある山上ヶ岳を指す。吉野と熊野を結ぶ古道、世界遺産でもある大峯奥駈道を構成する山。


第七座 大山 1,709m
鳥取県

中国地方最高峰であり独立峰でもある。最高点の剣ヶ峰は通行禁止なので、古くから頂上とされているのは第二峰の弥山。大山信仰の対象。


第八座 石鎚山 1,974m
愛媛県

四国だけでなく近畿以西の西日本最高峰。石鎚神社頂上社がある弥山までには鎖場があり、役小角や空海も修行した山岳としての雰囲気を残している。


第九座 英彦山 1,199m
福岡県/大分県

七霊山への最大の疑問は三大修験山(他は出羽と大峰)の英彦山が選ばれていないことだった。かつては八百坊・三千人規模の山伏集落があったと推測されている英彦山信仰の対象。


第十座 霧島山 1.574m
宮崎県/鹿児島県

こちらは高千穂峰を指す。富士山の対に置けるのは天孫降臨の地だけだと思う。頂上には天逆鉾が突き立てられている。霧島山信仰の対象であり、十霊山の最西端。


以上が十霊山のリストになるが、それなりに統一性のある基準・テーマで選定できたと思う。
実際に自分が登った山ではないので良い山かどうかはまだわからないけど、自然に神や仏を見出してきた日本人の信仰と深く繋がる霊峰ばかりというのは断言できる。

サンティアゴ巡礼 -フランス人の道- Day 10

4月21日。
ニワトリが朝を知らせてくれて、何時かはわからなかったが目が覚めて、少し経ってから起きてみると5時半前だった。2時や3時じゃなくて助かった。
部屋を出て洗面所へ行くと、韓国の大人グループや同部屋のジョンも起きてきた。アジア人の朝は早い。正直、朝が早いということは一切苦ではないので、もっと巡礼者の行動リズムが早くなっても構わない。まあ、ヨーロッパ基準で進むからそうはいかないんだけど。
あの流暢な英語を話すアジア系男性はテニスのマイケル・チャンに似ていることに気付いた。中華系アメリカ人などそちらの人種かもしれない。

昨晩は正直落ち込み気味だったが、これからの時間を大切に使うために、何か大きなことを考えようと思った。時間はあるんだから、その長い時間を掛けてアイデアを練ったり、考え事をしたらいい。

朝食タイム。左はカステラの形はしているがザラメはついていなかったが、右のパンは中にクリームが入っていた。温かいものが欲しくなって、コーンスープでも買っておけばよかったと思った。

キッチンにある自販機が使えないと白人のおっちゃんと韓国人妻が少し困惑していた。故障なのかどうかはわからない。

部屋に戻っても真っ暗だったしほとんどみんな寝ていたから、ジョンが電気つけないだろうかと期待した。でも部屋に戻った瞬間に一番気になったのは部屋の臭い。なんていうか、人間の匂いが充満している。悪臭とまではいかないが、人間といっても歩き旅をしている人間だし、換気扇もなさそうだし、ご想像あれ。
そして何もしていないというくらい、寝袋をまとめたりといった負担の少ない作業をしているだけなのに肩が痛かった。そりゃ10kg以上を担いでいたら死ぬほど痛くもなる。
ソナが目を覚まして時刻を尋ねてきたのは6時14分。韓国ズにはうんざりしているが、無理にペースを変えて彼らから逃げてもどうせ違う韓国人がいるだけ。体力を消耗して韓国ガチャをするのも面倒だ。
韓国人についてだけでなく、勉強になることは多い旅ではある。そういった面では収穫を得ている。
でも遍路だって100%楽しいというわけじゃなかった。今は上手く思い出せないが、どんなだったっけな。

6時48分に荷物をまとめて広間のある階へと下りた。昨日確認はしていたが、ほとんど日本人の形跡のないノートに日本語で書き込んだ。(Pop…)

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