四国歩き遍路の旅 6日目

5月29日。
4時頃に目が覚めた。鳥は鳴いていたけど、そこまで騒がしくはなかった。
と思っていたけど時間が経つと少しだけ騒がしく鳴き出した。でも危惧していた虫はほとんどいなかったし、車も少なかった。耳栓とマットなしでここまでリラックスできるとは想像していなかったので助かった。

霧は晴れていたけど、さすがに寒いので寝袋の中にくるまっていた。
新聞配達のバイクや早朝出勤の車の人にちらちらと見られたけど別に気にはならなかった。

トイレに行くと大きな蜘蛛が壁に止まっていることに気付いたけど、電気もついたから問題なし。水場では顔も洗えて爽快だった。お店や自販機はないようだけど、寝床にする休憩所の近くにトイレと水場があるとこんなにも快適。
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朝食にはクリームパンなどを食べた。水があるおかげでしっかりと歯磨きもできた。

なんとなく置かれてあるノートを読んでみたら、岐阜の24歳(同い年?)がメッセージを書き残していた。この今まで見た中で最も若い人が書き込んでいるのはこれまでの休憩所でもきっと見た気がする。自分の少し前をきっと歩いている。一度も会ったことがないのに存在を知っている(一方的だけど)って面白い。ここで読んだかは忘れたけど佐賀の26歳も序盤のノートで数回見かけた気がする。
ソファーがあるなんてアメイジングだ!的な外国人の英語による書き込みも。他にもいくつかの異なる言語での書き込みがあって国際色豊かだった。
――5月の終わりのこの日から離れて少し現在の話をする。断片的なメモからブログをこうして書いている今気付いたけど、この岐阜の24歳とは多分この先出会っている。本人に確認はしなかったけど(僕が読んだということを忘れていたから)、それに気付いた今思わず笑ってしまった。旅が終わって1ヶ月経つというのに、こんな楽しい気分になれるなんて。

四国歩き遍路の旅 7日目

5月30日。
5時前に寒さに耐えていた。防寒具を送るのは失敗だった。そのとき着ていた服も多少湿っていたから余計寒さを感じた。
iPhoneの画面内部はまだ曇っている。
朝食を食べているときに、ふと足元を見たらムカデが這っていた。ほんとムカデはやめてほしい。蜘蛛や蟻とは大違いの恐怖感。
あれもこれも水分を吸ったままで重い。靴の中にテイッシュを詰めてはいたけど効果はなかったようで濡れたまま。仕方がないからそのまま履いたら、一瞬で新しい靴下まで浸水。まあ気持ち悪い。

出発前荷物をまとめる際に、自分のもの以外のゴミも袋に入れサイドバッグに詰めた。
お遍路さんの中にもみっともない人間は沢山いる。まあ菅直人や清原もしてたんだからそんなことはわかりきってはいたけど。
でも実際にそういった無責任な行為を目の当たりにするとイラッとくる。栄養ドリンクのゴミを捨て歩く人間なんて、もう最初から歩かない方がいい。
とはいっても、地元の人への恩返しも込めて自分が片付けた。誰かが拾うだろうではその誰かの負担になるから。問題に気付いた人間が(可能であるならば)その問題を対処すべきというのは常日頃から思っている。
(なにかこのゴミうんぬんのメモを読み返したらやたらと強い言葉で非難していた。機嫌が悪かったのだろうか。疲労も原因かもしれない)

7時3分に出発した。
疲れから準備を進める速度が遅かったというのもあるけど、今日は進む距離が短いから少しはゆとりがある。
トンネルを抜けて進んでもいいんだけど、車通りが多いとストレスだから、遠回りにはなるけど弥谷観音の方へと進むことにした。
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自分を追い抜いていった軽トラの荷台に柴犬が乗っていて目が合った。可愛かった。

四国歩き遍路の旅 8日目

5月31日。
今までの睡眠環境とのギャップが最大の理由だろうけど、驚くほどぐっすり眠れて、アラームで起きた。自分にとっては奇跡のような出来事。
浴衣から着替えた。スパッツはまだ履いていなかったけどほとんど歩き遍路の格好で朝のお勤めへ向かう。
階段を上がると掃除をしているお寺の方がいて、お勤めですか?と聞かれた。はいそうですと答えると、では本堂の方へお上がりくださいと。
スリッパは無礼だろうと靴で行ったけど、結局本堂に上がる際に脱いだ。

You bring light in…You bring light in…
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お寺へはかなり余裕を持って早めに向かったけど、自分が到着したときにはもう先客が2人いた。 
恰幅のいいお坊さんに本堂の中へと案内されて座った。他の宿坊宿泊客も着いた人から続々と中へ、とはいっても十人前後だったけど。

先程のお坊さんも含めて袈裟を着た若い僧(皆30代以下だと思う)が3人で本尊に対して凹の形で読経を始めた。お坊さんの中にもやはり読経の上手下手があり、中央にいた恰幅のいい人が太い声で伸びもあって一番上手だった。コーラスのように他の僧の声も重なるから、こういったお勤めは初めての体験だったので、静かに始まって徐々に迫力を増していくその神秘的な空間に完全に引き込まれた。
自分の位置からはよく見えなかったんだけど、途中から入ってきた4人目の方(この人は3人に比べると年を重ねていた。住職かもしれない)が奥で護摩焚きを始めた。
和太鼓や鈴、シンバルみたいな楽器(それぞれ妙鉢だとか正式な名前があるんだけど割愛)も加わりながらお経は読まれた。ライヴといったら一気に軽く感じてしまうけど、それでも目の前で鳴らされる楽器と三人の声で重なるお経はその場の空気を震わすような厳かな雰囲気があり本当に圧倒された。
 
読経の終盤で参加者はそれではお焼香をどうぞと勧められた。真言宗は3回焼香をすると調べたんだけど、3回したのは自分だけで、え…調べたのに…?となったけど、それぞれ宗派によって回数は違うし、人が多い際は1回に短縮することもあるらしいから、どうだったんだろう。皆知らなかったのか、知っていてそうしていたのか。
とりあえずは、自分がくべた抹香がその空間で煙として上がっていく様を見ているとなんだか感動した。
読経の最後の現代日本語?の部分では参加者の道中の安全等を祈願していただいた。
読経が終わるとずっと取り仕切っていたあの恰幅のいいお坊さんから法話があった。色々と説得力のある話をしてくださったけど、弘法大師がそうしたように、お願い事をする際は自分や自分の周りのことだけでなく、視野を広げ、世界平和等、全体的なこと(つまり宇宙そのものである大日如来を意識し)もお願いしてほしいという言葉が印象的だった。
その法話が終わると、最後に本尊の目の前でもう一度お焼香の機会があった。本当に間近で拝むことになった。貴重なことでありがたかったけれど、畏れ多かったというのが正直な感想。
本当に素晴らしい体験だった。30分だったけど何事にも代え難い30分になった。
お寺に行って大仏を見た。等では到底経験することのできない、仏教という宗教の儀式的で聖なる部分に触れることができた。参加して良かった。

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